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haunted world   作者: ぞえ
溝島ショッピングモール編
18/42

第十七話 四ノ宮天音




 死の恐怖を感じなくなったのはいつぐらいだろうか?戦い、戦い抜いた私は・・・いつしかキラーマシンへと変貌してしまっていた。 

 しかし、譲れないものぐらい、一つや二つ。変わっても私にはまだあった。




















「さてと・・・・」


 天音さんと別れ、俺は飲食店の戻る。中ではまだ瞼が重そうな佐治と進哉が欠伸をしながら起きていた。

 コップに水を入れて二人に差し出す。


「ほれ」

「おお、サンキュー」

「ありがとうございます」

 

 二人はそれを受け取り、ゴクゴクと一気に飲み干した。

 数分すると、下から朝食の用意が出来たぞー。と、声が聞こえた為、俺達はそそくさと三階へ移動した。

 朝食はサンドイッチだった。

 野菜とハムを食パンで挟みであった、随分と普通のサンドイッチだった。


「それじゃぁ、皆集まったところで今朝のミーティングをしようと思う。現在、このショッピングモールの生存者は昨晩の四ノ宮天音さんを含めて二十七名。今日は残りの食料を整理して、物資調達は明日にしようか」


 そう太田重信が言った。


「それと、見張りの時間割も決めたんで、見ていてくださいね」


 一枚の紙を壁に貼り付けた。

 まぁ、いつでもいいけどよ。いや、よくない。夜だ!夜はダメだ。しっかり寝ないと。この世界じゃ体調崩したら終わりだ。常に万全の状態でいる為に寝不足は回避しなければならないことだ。

 

 食事が終わり、俺は一人テラスにいた。

 戦う為に殺すか、殺す為に戦うのか?どちらだ?

 

「もっと・・・戦う力が欲しいな」

「随分と、物騒なことを言うのね?」

「ああ、天音さん」


 なんか、昨日の今日で口調が変わってきているような・・。

 後ろから一人の女性がやって来た。天音さんだった。今朝の自己紹介では十八歳と名乗っていたが、何となく大人びでいる印象が強い。

 彼女は背中に縦長のバックを持っていた。


「その鞄には何が入っているんだ?」

「教えてあげてもいいですけど?」

「それじゃぁ、教えてくれ」


 そう言うと、素直に彼女はバックの中身を出した。黒光りしている、アサルトライフルだった。


「HK416・・・」

「え?」

「銃」

「うん」

「突撃銃」

「おう、アサルトライフルね」

「強いですよ」

「・・・・・・・」


 顔に手を当て黙り込む。


「そんな銃、何処で手に入れたんだよ・・・・」

「んー」


 銃を持ち、彼女は少し首を捻った後、笑いながら言った。


「そのうち教えますね」

「そのうちって・・・」


 その笑みはどこか男を惑わす小悪魔のように見えた。

 

「ていうか、天音さんは一体何者なんですか?」

「えっと・・・・特殊隊員?」

「自衛隊?でも、そんなふうには見えないけど・・・?」


 天音さんの服装は何処にでもいるただの大学生というイメージである。


「って!十八歳?」

「な訳ありませんよね」

「えっ・・・・・実年齢・・は?」

「二十一歳」

「・・・・・・・」


 全然年上じゃん。まぁ、特殊隊員ってことが本当なら俺より年上だっていうのは頷ける。銃も扱うぐらいだしな。


「まぁ、あの人達には悪いけど、このことは内緒だけど・・・」

「?だったらどうして?」

「自分に明かしたのか?まぁ、なんていうか・・・・・気になった?」

「??」


 俺が気になった?

 おいおい、止めてくれよ。俺を好きになっちゃ怪我するぜ?とでも言いたいが、生憎俺は小心者なんだ。 

 その程度のことでは俺の心は揺らぎはしない。

 ふはははははは!


「命は失ってしまえば戻らない。だからこそ、人生は美しい・・・」

「・・・・俺も、この世界になってやっとそう思えた。だから俺は生き残る。なんとしてでも」


 と、俺は空に向かってこの思いを刻むのであった。

 少しして天音さんは中に戻った。俺は一人空を見る。ここからの景色は少々飽きてきたが、一人になって考えるには丁度良い。

 

 さて、おさらいするが俺は今、世界が終わって二日目。この溝島ショッピングモールにいる。

 社会人たちが仕切る場だが安全なのは確かだ。別に問題ない。

 俺のグループは佐治と進哉。男のみだが、戦闘能力はそんじょそこらの奴らより高い筈だ。何せ何人もの感染者を相手にして生き残っているのだから。

 秩序の無くなったこの世界は何をしてもいい。が、それは新たな秩序の誕生でもある。人が集団で行動しようと思えば必ずしも秩序が必要である。

 秩序なしでは、人は集団で動くことは出来ない。

 別にいい。ここまではいいが、問題はその前の話だ。秩序がない、自由。ということは、何をやってもいい。 

 この世界じゃ感染していない人が、人を殺しても取り締まる者は誰もいない。それが集団なら別問題だが、この世界での人の死というのは、簡単になってしまったのだ。

 人が蟻を潰すように、簡単に。


「だが・・・・・俺は生き残る」


 これはただのサバイバルじゃない。

 戦争だ。
















 目が澄んで、活き活きしていた。何もかもに絶望していたが、その地獄から這い上がって来た、戦士の目をしていた。

 身体能力も高いと見える。

 この一昨日、昨日とそれなりに戦って経験を得ているのであろう。


「ふふ・・・」


 楽しくなりそう。


 私はいつものように笑って見せた。











いやぁ、マジでこの天音さん、何者なんでしょうね?次回もよろしくお願いします(/・Ω・)/

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