第十六話 来訪者
ありがとうございますww
午後十一時。
私は全速力で走っていた。近付いて来た感染者を次々と蹴散らす。住処にしていた拠点が襲われた為、こうして逃げている。
きっと奴らの仕業に違いない。
応戦したいが、今は仕方がない。何処か安全な場所に・・・。
あそこは・・・。
深夜。何時かよく分からないが、俺はトレイに起きた。すると、三階、四階、辺りが騒がしく、見て見ると一人の女性と数人が話し合っていた。
「どうか、したんすか?」
俺は近くにいた赤城さんに話しかけてみた。
「ああ、どうにもこの真夜中に避難民が来たみたいなんだ。凄いギリギリだったけど」
「へぇ、よく辿り着けましたね」
「俺もそれには驚いてるよ。余程の身体能力に自信があったみたいだ」
街灯もないのによくやるよ。
俺だったら絶対家から出ないけど。
「それじゃ、俺はやっぱ寝ますね」
「どんな人が来たのかちゃんと見ないのか?少し人が多くなって来たけど」
「気になりますけど、今は別にいいですよ。明日になったら会うことになりますし」
「そうか、可愛いんだけどなぁ。まぁ、そう言うなら止めはしない。明日はやらなければならないことがある。寝た方がいいな。おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
俺はそう言って五階に戻った。
「それじゃぁ、四ノ宮さんは何処で寝ようか?」
「まぁ、空ているソファーでいいですよ」
四ノ宮と呼ばれた少女は、助けたもらったのにベットで寝る訳にはいかないと、ソファーの所に行くが、それを村本は呼び止める。
まぁ、別に村本だけの手柄ではないが。
「いえ、いいですよ。私は」
「そうかい?」
「ええ」
そう言って四ノ宮はソファーに寝転がった。
「あ・・ああ・・・・ん・ん・ん・・・」
痛い。ていうかしんどい。やはり家のベットでないと眠れん。今度からちょっと改良した方がいいかもな。
さぁて。
少し気分悪く起きてしまった翌日。俺は背伸びしながら一、二と体をほぐし、歩き出す。佐治と進哉はまだ寝ているようなので、彼らを起こさず、そのまま五階のトイレに向かう。
「ふぅぅぅぅ・・・」
やっぱ、朝いちばんはいいねぇ。
尿をたっぷり放ち、俺はテラスに行く。早朝なので、程よく肌寒いが少しばかり我慢して朝の風をその身に受ける。
両手を大きく上げ、空気を感じた。
ブルッと一度震え、空気を吸い上げ、大きく吐き出す。そんな感じに二三度深呼吸を終えると、佐治と進哉を起こしに行こうとした時だった。
俺はその視界にとある少女が目に入った。
長い髪を風に揺らし、凛とした風格を備え付け、それでいて少女のような愛らしい顔の持ち主。
「えっと・・・・」
「あっ、初めての方ですよね。はじめてまして、私、昨夜ここに入ることになりました、四ノ宮天音と言います」
「ああ、昨日の・・・俺は真鍋蓮太郎」
「蓮太郎君ですね、よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ・・・」
若干ぎこちなく彼女を握手を交わした。
「それで、四ノ宮さんは」
「ああ、私のことは下の名前で呼んで下さい。周りの人からそう呼ばれてるので、何だか名字は妙な気分になるんです。天音と」
「えっと、天音さん」
「はい」
一言で言えばお淑やか。清楚、純潔という言葉がよく似合う人だ。何処かの令嬢だろうか?お嬢さん?
彼女はニコッと笑う。
「それにしても、よく生きてここまで辿り着けましたね?」
「ええ、私は少々戦闘に関しては色々訓練してまして、銃火器も色々使えるんですよ?」
「へぇ、そうは見えませんね。天音さんはお嬢さんって感じなので」
「私なんか、普通に普通で普通です」
「いや、普通は銃火器の扱いなんて出来ませんから」
「そう、ですね。随分と平和になりましたから、この世界は」
と、天音さんは遠い空を見ながらそう言った。
「そういえば、蓮太郎君はよく生き残れたね?」
「お、おう。まぁ、なんつーか、これも全部皆のおかげなんだけどな。佐治も、倉橋も、皆で協力して、その危機を打破したっていうか。俺だけの力で生き残った訳じゃないんだ」
「・・・・なんか、凄いね」
「別に凄くねーよ。結局、俺は倉橋の両親を殺したし、学生どうし頑張ろうって時なのに、こうして学生なのにその枠から離れてる。空気読んでないし、まぁ、なんていうの?反抗期じゃないが・・・俺は絶対に死なない」
「私も・・・・」
彼女はゆっくり、そして悲しそうに。小さく。
「死ねないかな・・・」
朝日が眩しい。
世界が終わり、三日目が始まろうとしていた。
ヒロイン登場っすね。四ノ宮天音ちゃん。謎の多い女性ですね。まぁ、のちのち・・・リア充との戦いもあったりとかとかですね。次回は。次回もよろしくお願いします(/・ω・)/