第十五話 その夜
ありがとうございます。
リア充は所詮リア充。どんな状況でもリアルを充実してしまう。能力は・・・。
リア充のスタンド、『パーフェクト リアル』
五階の利点と言えばこのようなテラスがあることだろうか。外に出て夕日が見れる。それぐらいだ。
ということで、俺は少し広いテラスに出て夕日を見ていた。
「この夕日を見てると、世界が終わったなんて思えないな」
一人、ポツリと喋るが、言ったことが急に恥ずかしくなって黙り込む。いつもはもう一人いるはずが、用があって何処かに行っている。
まぁ、こうしてゆっくりするのも悪くはないな。
いっぱい死んだな。
折角、知り合えた近藤も、先生も、友人も・・・多分、俺が知ってる奴は皆死んだ。けど、知ってる奴は増えた。
それは、少しだけ嬉しいな。
まぁ、何にせよ、俺は俺の出来ることをするだけだ。
「何黄昏てるんだ?」
後ろから佐治が歩いて来た。その手にはバックがある。
「何でもないさ。それより、どうしたんだ?そのバック」
「ああ、一度、倉橋の車に乗った時、運転席でいいもん見つけたんだ。そいつをこのバックに入れといたんだ」
「へぇ、いいもんね。何?」
すると、佐治はバックから何やらゴツゴツとした物を取り出して言った。
「ベレッタM92。有名な銃だよ。十五発装填可。ジャムも少なく、比較的には撃ちやすい銃だ」
「・・・・ていうか、何でそんなもんが倉橋家の車の中にあるんだよ」
「ほれ、もう一丁」
ポイッと俺にもう一丁渡す。
「おいおい!」
うっかり落としそうになるが、しっかりと受け止める。
「そっちはタンスの中に隠してあった」
「マジか」
佐治は銃をバックに入れる。
「あの倉橋家・・・なんか、気になる」
「気になる?」
「外見から分からないが、家の中には銃は隠してあるわ、スタンガンとか、防犯システムもごつかった」
「なら、どうして俺達はスムーズに入れたんだ?それに、あの死んでいた二人はどうなる?」
「・・・・・防犯システムは切られていなかった・・・分からん」
どういうことだ?
佐治の話では、防犯システムは切られておらず、家の中は何故か違法武器があった。外見は他の家とはあまり変わらない。
「・・・いや、これ以上の考え事はやめよう。飯の時間だ。ていうか、こいつ、どうしたらいいんだ?撃ち方なんて分からんぞ」
俺はベレッタを佐治に向ける。
「まぁ、いいだろ。遠距離の武器があるのは嬉しい。撃ち方はそのうち教えるさ」
「・・・なんか・・まぁいいや。オーケー、今持ってても仕方ない。佐治が管理しててくれ。その時になったら渡してくれ」
「おう」
ベレッタを佐治に渡す。
時刻は午後六時半。言われていた夕食の時間である。なんか、食事当番というのもあるらしい。
なんか、面倒だな。色々制限されて・・。
「腹が減った。蓮太郎、行こうぜ」
「ああ」
三階に下りると、既に全員そろっているのか、ワイワイと賑わっていた。今回の食事担当である社会人グループがカレーを配っていた。
「ほら、君達も食べろよ」
「ありがとうございます」
佐治と自分の分を受け取り、片方を佐治に渡す。
近くにあった椅子に座り、カレーを食べる。
「・・・うま。懐かしい」
「言えてる。カレーなんて何だか久々に食べた気分だ」
ちゃっちゃとカレーを食べると、俺と佐治はもといた五階へと戻る。それから世界は闇に包まれた。
自家発電はあるみたいで、トイレ。それと中央辺りは電気が点いていた。
「先輩」
「ああ、進哉か。ホントに来たんだな。ていうか、良かったのか?こっちに来て?」
「ええ、俺は下じゃ後輩ってことで雑用ばっかで、ホント嫌になってたんですよ」
「そうか。まぁ、来ても来なくてもいいが・・・」
そう話していると後ろから声が聞こえた。
「おい、お前ら」
と、厳つそうな男がテラスにやって来た。良く見たら村本の取り巻きの一人の男であった。中島とか言ったかな?
「ここは俺らが苦労して見つけた安全な場所なんだ。あんま、調子乗んなよ?いいな?それと、進哉。お前、裏切るのか?」
「先輩、最初に言いましたよ?村本先輩が、行きたいなら行けばいいって。自由、それを約束しましたよね?だから、俺は俺の好きにしますよ」
「ちっ、後悔するからな」
そう言って中島は戻って行った。
「あいつ、いっつもああなのか?」
佐治が進哉に聞いた。
「ええ、中島先輩は村本先輩のことばかり気にかけてて、ちょっと逆らったら村本の言うことは正しいんだ!と言って、ホント怖いんですよ」
「・・・」
「ふぅん」
「何だか、どうでもよさそうですね」
「いや、別に」
そう言いつつ俺は寝る準備をする。
何処かの飲食店に入り、その長ソファーに座り、毛布を被る。
窓の外は何処も暗く、何も見えない。
「そろそろ寝るか。明日は明日で色々やらなければならないからな」
「おーう」
「了解です」
まだ午後八時過ぎだというのに、俺達は一足早く眠りについた。
もう一人出て来ると思います。登場人物多くなりましたねww