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haunted world   作者: ぞえ
溝島ショッピングモール編
11/42

第十一話 悪夢の始まり




 その夜。俺は夢を見た。皆とバカやってる夢を。それすらも、今はもう懐かしいとさえ感じるようになっていた。












「ん、んん・・・良く寝たぁ・・・久々だな。こんなにも寝たのは」


 洗面所で顔を洗い、リビングに戻ると佐治も起きたようで布団を畳んでいた。


「ああ、悪いな」

「いや、別にこんくらい・・・」


 若干寝ぼけたまま、俺はソファーに座る。

 時刻は午前七時。


「ん・・・ん・・」

「さっ、飯の用意するか。多分、電気使えるのは今日ぐらいだ。生物っていうか、弁当系は今日で食べてしまった方がいいな」

「了解すた」


 机に弁当とお茶を用意する。その間に佐治は色々片づけたり、顔を洗いに行った。しっかり三人分。

 あっ、そう言えば倉橋の奴起きて来てない。


「佐治、ちょっと倉橋起こしてくるわ」

「ん」


 俺は二階へ上がる。


「おーい、倉橋」


 と、ドアを開けるのと同時に倉橋は布団から起き上がっていた。そして、こっちを振りむいておはよう。と言った。


「ああ、おはよう・・・ていうか、お前なんで泣いてんの?」

「え?泣いて・・・ええ?何で私泣いてるのかな?」

「まぁ、ゆっくりしてから来い」

「・・うん」


 ドアを閉め、一階に下りる。佐治は既に座って待機していた。


「ん?倉橋は?」

「あ、ああ。まぁ、なんつーの。若気の至りかな?」


 数分してから倉橋が降りて来た。その瞳は微妙だが赤くなっていた。あえてツッコまず、弁当を渡す。


「しっかり食っとけよ。いつ何時食えるかどうか分からないんだからな」

「ん」

「うん」


 なんか、倉橋の様子がおかしいな。まぁ、時期が来れば自分から話しかけてくれるだろう。

 余計なことは言わず、干渉はしなくていい。

 

「さてと、佐治。そっちの準備はいいか?」

「問題ない」


 俺と佐治は制服から動きやすい軽装に着替える。制服は何かと動きにくかったからである。

 女性物の服は流石に存在しないので、倉橋は自分の家に行くまで制服ということになった。

 リュックサックに食料と飲み物を詰め込み、家から出る。

 周辺には感染者はいない。

 いつもなら近所のお母さんたちがゴミ出しや、子供を見送っている場面が見えるのだが、今日はそんなものはなく、ただ所々血溜まりがあった。

 それが昨日のことは夢じゃないぞ、俺に訴えている。


「・・・・・・」

「静かだね」

「ああ・・・昨日の夜は橋で騒ぎがあったからな」


 さて、生き残った周辺住民は家から出ずに引き籠っているのか。だが・・・。

 

「あっ、あれが私の家」


 そう言って倉橋は指を指す。その方向に赤い屋根の家があった。

 歩き出して数十分のことだった。


「んじゃ、行くか。倉橋・・・・さ」

「何?」

「もしかしたらお前の家族は既に感染してるのかもしれん。分かってるな?」

「・・・うん」


 蚊の羽にも似たボリュームで、そう言った。

 









「ここが倉橋の家か」

「うん・・・・皆、非難していると良いんだけど」


 そう言って倉橋の家に入り込む。

 静寂が支配するその家はなんとも薄気味悪かった。一歩一歩踏み出すが、得体の知れない空気のような存在が俺達にまとわりつく。


「一階は異常なし」

「蓮太郎、二階から物音が・・・」

「分かった」


 佐治が後ろで、俺が前に出る。その間に倉橋が入り込んだ状態で二階に上がる。佐治の言う通り、少し物音がした。


「・・・・・・・」


 静かに、静かに、俺はその物音がするドアを開けた。

 ペチャクチャ・・グチャ・・・グチャグチャ・・・。

 一人の男性は女性の死体に食らいついていた。少し肩幅がよく、男性の中ではそれなりに大き目の方だろうか。

 そいつは俺達の上がって来た音に反応したのか、顔を上げた。

 次の瞬間、倉橋が叫んだ。


「お父さん!」


 その声に反応して、そいつが立ち上がる。

 口から血が垂れ、両手を上げて歩いて来た。


「え・・・うそ・・・・なんで?・・・・・・違う・・・こんなの違う!」

「倉橋・・・」


 その距離が数センチに及んだ時、俺は倉橋の父を蹴り、部屋の奥に突き飛ばした。


「アアァァァアアアアァァァァァァ・・・」


 俺は起き上がろうとした倉橋の父に向かってバットを振り上げる。


「いやっ!やめて!真鍋君!」


 倉橋が俺を止めようと来るが、佐治がその手を掴む。が、佐治などいとも簡単にブッ飛ばされてしまったが、あと一歩。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」



 彼女の手が俺に届く前に、俺のバットは一度も止まることもなく、振り下ろされた。









ありがとうございました。次回もよろしくお願いします\(゜ロ\)(/ロ゜)/

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