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075:最初で最後のオフ会

「うん、駅に着いたら電話して、爺ちゃんが車で迎えに行ってるから…」


 1対1の会話機能であるWisささやきでも済むのに、わざわざ俺のスマホに電話を掛けてきたのはツンデレ姫ことミリアムさんだ。

 ミリアムさんはWisじゃなくて携帯電話で話をしてみたかったと言っていたけど、女の子の心理はよく判らない…


 今日は、前々から約束をしていたエクソーダスのオフ会の日だった。


 本当はダイクーア教団と教祖のウルガスへの復讐を終わらせてからと考えていたのだが、ウルガスも魔法を使えるかもしれないと聞いて、万が一の事を考えて日にちを繰り上げてもらったのだ。


 そう、万が一とは、俺が返り討ちに遭い帰って来られない可能性を考えての事だ。


 もう夏休みも終わっているし、社会人であるアモンさんの事も考えてオフ会は9月最初の土曜日にやることになった。

 会場は俺が今住んでいるイオ爺たちの家だ。


 田舎家で広いし、古いけど部屋も沢山あるし、なによりモータースの駐車場が広いので車で来るメンバーにも便利だろうという事で、以前話をしたときにそう決まったのだ。


 まだ現役中学生のミリアムさんは夕方には家に帰らせる必要があって、最寄りの駅まではイオ爺が車で送り迎えをしてくれる事になっている。


 パンギャさん(20歳 大学生)はハイドさん(19歳 大学生)を乗せて、車でもうすぐ着くと連絡があったばかりだ。

 ミッシェルさん(17歳 女子高生)は、社会人のアモンさん(26歳 会社員)がジュディスさん(20歳 女子大生)と一緒に自分の車で遠回りして拾ってきてくれる事になっている。


 ミッシェルさんは、アモンさんとジュディスさんが事前に家を訪問して許可を貰いにいったら、ご両親が二人を見てすんなりお泊まりをOKしてくれたらしいけど、どんな人なんだろう?


 そんな理由もあって、安全安心をアピールする為に敢えて家に迎えに行く必要があるらしいけど、アモンさんのゲーム中の暴れっぷりをミッシェルさんやミリアムさんのご両親が知ったら、きっとOKは出ないと思います。


 日帰りのミリアムさんが居るので、オフ会は昼からのバーベキューを中心とする事で確定していた。


 その準備で千絵婆とレイ婆とメルは朝から大忙しで、大量の肉や野菜を今も下ごしらえしている。

 修蔵爺ちゃんは畑へ野菜を採りに行ってまだ帰ってきていないし、イオ爺はミリアムさんを迎える為に少し前に出発している。


 俺はと言えば、やる事が無くてバルを膝に乗せて縁側で呆けているだけである。

 もう、庭にBBQ用の火起こしの準備はしてあるし、お泊まりの人達用の寝具も納戸から運んであるし、実質やることが無いのだ。


 そうこうしているうちに、敷地内にあるモータースに隣接している駐車場から車のエンジン音が聞こえたと思ったら、しばらくしてエンジン音が消えた。

 第一陣が到着したようだ。


「こんにちは~」

 そう言ってパンギャさんたちがやってきた。

 一緒に居る体格の良い俺と同年代っぽい人がハイドさんのようだ。


「こんちは~、ハイドで~す」

 軽い! ゲーム中の重厚な雰囲気と違って軽いぞ、ハイドさん!

 でも、声は間違いなくハイドさんの声だった。

「ひさしぶり、和也君」

 そう言って手を軽く挙げて挨拶してきたのはパンギャさんだ。


「遠かったでしょう?」

 思わず、そう聞いてしまうくらい我が家がある場所は街から離れている。


「あはは、うちの実家も似たようなもんだよ」

 そう答えるハイドさんの実家は信州の山奥にあるらしい。


「なんと、これがうちの実家に行く道」

 そう言って見せてくれたのは、人間が二人並んで歩くのがやっとの山道で、しかも片側は崖になっている。


「マジっすか?」

 そう訪ねると、「あはは、ネタだよ」と言って、別の道を見せてくれた。

 そちらはコンクリート舗装だが、ちゃんと車が擦れ違えそうな道路だった。


「この道を見せると、みんなビックリするから最初に見せることにしているんだ。 でも、この道もまだ実際に使ってるんだよ」

 そんな事を当たり前のように言って笑っていた。

 世の中、上には上があることが少し判った気がした。


 そんなハイドさんのネタに笑って雑談をしていると、別の車がモータースの駐車場に入ってくる音がした。

 ミリアムさんか、アモンさん達か、などと男3人で賭をしながら待っていると、綺麗な女性が3人並んで母屋の方へ入って来たのが見えた。


 たぶん一番前を歩いている、中央の一番大人っぽいのがアモンさんなんだろう。

 濃いブラウンの肩まである髪の毛に、スリムな七分丈のジーンズ、そして白いTシャツというラフな格好だ。

 その右側にいるのはミッシェルさんだろうか、高校生っぽいストレートロングの黒髪で白いブラウスをダボッと着崩していて、その裾からはスリムな紺色のパンツを履いた足が見える。


 そうなると残るアモンさんの向かって左側にいるのがジュディスさんという事になる。

 クレオパトラカットとか言うのだろうか、きっちりと切りそろえられた髪の毛の隙間から太めの眉毛少しが覗いているだけじゃなくて、目元もハッキリとしている。


「こんにちは~」

 アモンさんらしき女性が、こちらを見つけて挨拶をしてきた。


「こんちは~」「んちわ~」

 続けて両脇の二人も、こちらを見て元気に挨拶をしてくる。

 俺たちも3人で挨拶をして自己紹介をしようとしたら、アモンさんらしき人に止められた。


「ちょっとまって、誰が誰か当てるから!」

「賛成賛成!」

なんだか、女性三人は俺たちを見て盛り上がってます。


「えーっと、私たちの予想では左から順に廃人くんにリーダーでしょ、そんで最後がおっさん、どう当たってる?」

ドンピシャで当てられてしまい、俺たち三人は顔を見合わせてしまった。


 当てた理由は、ずば抜けて背が大きい、若いのに妙に落ち着いている、一番筋肉質で体格が良い、それだけだった。

 いや、普通見た目とキャラクターは一致するって考えないっしょ。


 俺たち6人がどうでも良いネタで話している処に、爺ちゃんがミリアムさんを連れて来た。


「こんにちは~、ミリアムで~す」

 ミリアムさんは、紫織を思い出させるようなボブカットの小柄な可愛い女の子だった。


「あ~、和ぃ見つけたー、初めまして~~」

 俺に駆け寄ってくるミリアムさんは、薄い水色のワンピースを着ていた。

 彼女だけが女性陣の中で一人だけスカートだった。


 それにして、なんで俺だと一発で判るんだろう?


「あら~ミリアムちゃん、力が入ってるわね~、目一杯お化粧してるでしょ」

 そう言ったのはアモンさんだった。


「ミリアムちゃん、廃人くんを墜とすならもっと自分の利点を生かして攻めないと駄目よ!」

「お、墜とすとか考えてないもん… でも利点って何よ」


「ふふふ、ミリアムちゃんの利点は若いことでしょ、あの手の廃人くんタイプはロリで攻めるべきよ」

 アモンさんとジュディスさんが悪そうに、こちらを見て微笑んでいる。


 つか、怖ぇ~よ

「あの~、全部聞こえてるんですけど~」



 そんな、初めての出会いの儀式とも呼べるような冗談の飛ばし合いも済んで、やがて楽しいオフ会は屋外でのバーベキューとなり、それも盛り上がって終わると、次はエアコンの効いた室内での雑談に移っていた。


 ミリアムさんが帰る予定の時間まで、あと2時間くらいだろうか。


 俺はこのタイミングで、みんなに異世界へ行くことをカミングアウトした。

 これは、イオ爺たちにも相談した上での事だった。


「異世界?、廃人くんファンタジーとかラノベの読み過ぎじゃないの?。 お姉さんがお熱計りましょうか~」

 そう言って、少し酔っているアモンさんが俺の額に手を伸ばす振りをしてきた。


 慌てた振りをして、それを避ける俺。

いや、触ってもらっても構わないんだけど、そこはみんなに対するポーズってものもあるんです。


 パンギャさんとアモンさんとジュディスさんは成人なのでお酒を出したんだけど、みんなかなり陽気になってます。


「ファンタジーと言えば、僕たち全員がゲームと同じ魔法を使えるってのも、十分ファンタジーだよね」

そう言ったのは、パンギャさんだった。


「こう言うのだよね」と、ハイウィザードのアモンさんが右手の人差し指の先端に20cm程の高さの炎を点した。


「私も使えるよ」と言ったのはハイプリースト(殴り専門)のミリアムさんで、いきなり俺に身体能力強化ブレスを掛けてきた。


「私もスキルを使えるけど、攻撃スキルは見せられないね」

 そう言ったのはパラディンのハイドさん、それを聞いてスナイパーのミッシェルさんも頷いている。


「パンギャさんの凄いのは以前見ましたから!」

 続けて何か言おうとしたパンギャさんに、俺はそう言って先に突っ込んでしまった。

 スキル云々では無くても、パンギャさんは格闘技が強い人なのがリアルで凄いと思う。


「うん、僕もメインくんのエグいのは見せてもらった」

 俺の突っ込みに対して、すかさずパンギャさんが俺に笑って返してきた。


「エグいとか言わないでくださいよ、あの時は二人ともヤバかったんですから」


 そう言って不平を言うとパンギャさんは冗談だと謝ってくれたけど、結局全員が何らかの魔法を使えるようになっている事は明らかだった。


 そして、そんな話も「でも、ゲームと違ってすぐMP切れしちゃうんだよね」と笑ったアモンさんの言葉に、俺を除く全員が頷いていた。


「あれ、もしかしてMPがゲームの時くらいあるのは俺だけ?」


「何ですってぇ!廃人くん、どういうこと?」

「和也さんは、MP不足じゃないの?」


「和ぃ凄い! わたしなんか使えるって言っても、たぶんすぐガス欠しちゃうよ」

「ミリアムは殴り専門だから、支援が有ればスキルとか要らないだろ」


「僕もいざと言うときに身体強化スキルが1回使える程度でも、この世界で生きて行くのに必要性は感じないかもね」


 俺の不用意な発言で場は騒然としたが、俺がそのスキルを使えるせいで今まで何度も狙われていた事を伝えると、以前にパーティチャットで俺が魔法を使わないように注意を促した事を思い出したのか、みんな一気に静かになってしまった。


 俺は順を追って今までの話をエクソーダスのメンバーに伝えた。


 親父と妹の話になって、ミリアムさんは泣いてくれていたようだったが、他のメンバーは一様に黙って最後まで聞いてくれた。


 当然、メルとの出会いの話をして、イオ爺とレイ婆が異世界から来たという事もすべて話した。


 さすがに、そこはすぐに信じてもらえなかったが、メルとイオ爺を呼んでこの世界へ来た時の話をしてもらったら二人の実年齢を聞いて全員が半信半疑ですぐには信じられないようだった。


 そこで、イオ爺が指先に小さな雷球を出してみせると、それで全員が話を信じてくれたようなんだが、俺はちょっとそれを見て思うことがあった。

 きっと、ウルガスもそうやって現実には有り得ない魔法を使って見せて信者を増やしていったのに違いないだろうと、ふとそう思ったのだ。


 その後も、イオ爺が話す異世界話はみんなが真剣に聞いていた。


 特に、イオ爺が筆頭宮廷魔術師だった事とか、レイ婆がお姫様だった事や、二人が駆け落ちをした話は女性陣の興味を惹くには十分すぎるインパクトがあったようだ。


 エクソーダスメンバー全員が多少なりとも魔法を使えるという普通の人には信じ難い事実を踏まえて見れば、俺と同じような若い世代のエクソーダスメンバーには、異世界というファンタジーな話に対する抵抗感というものが少ないのかもしれないと思った。


 そして、そんな話の流れの帰結として俺が異世界へと行くという事をみんなが信じてくれた。


「まさにファンタジーだねー」


 アモンさんが、しみじみとした口調でそう呟いたが、今まで起きたことは全てがログアウト不能に巻き込まれる迄の普通の生活と比べれば、本当にあれからの出来事はファンタジーのような荒唐無稽な話なのだから、その反応は当然なのだろう。


「どれ、そろそろミリアムちゃんを送ってゆくかの」

 そう言って、イオ爺が立ち上がったのを切っ掛けに、オフ会の一次会は一区切りつける事になった。


「和也、あれを渡すんでしょ?」

 レイ婆が俺に、それを促してくれた。


「ちょっと待って、みんなに渡したいものがあるんだ」

 俺はそう言って、別室から革製で小さなバッグ程の大きさのアイテムバッグを6つ持ってきた。


「え~何々、おねぇ~さんプレゼントって大好きよ」

 アモンさんが、真っ先に反応を示した。


「わあ嬉しいな、何だろう」

 ミリアムも、らしくもなく素直に喜んでいた。


 各自にアイテムバッグを渡すと、ミッシェルさんが待ちきれないように俺に聞いてきた。

「ねぇねぇ、開けても良いかな?」


「一見クールに見えても、やっぱり女の子らしい反応で安心するよ」

 そう言ってミッシェルさんをからかうのは、ゲームの中と同じようにハイドさんだった。


 全員がわくわくしながらアイテム袋を開いていたけど、中に入っている物を見て一気にみんなの顔が真剣になった。


「凄い、なんか懐かしいかも」

「廃人くん、これって……」


「つか、こんなのまで造れちゃうの?」

「確かに製造職を持ってるのは廃人くんだけなんだけど、これは反則だわ」


「そうだね、なんか懐かしいよね」

「うん、使う機会は無いだろうけどね」


 その中に入っていたのは、ゲームの中で使っていたのに似せて造った武器や防具類だった。


 魔力の少ない現代に合わせて装備や武器には、イオ爺に分けてもらった俺の魔力入りの魔石を組み込んであるから、すぐに魔力切れで困ることは無いだろう。


 ミリアムさんは、ソードメイス(刃付きの金属製棍棒)を振り回して喜んでいる。

 パンギャさんはナックルをしげしげと眺めているし、ハイドさんはフルプレートに困惑していた。

 ミッシェルさんはコンポジットボウの握り心地を確かめているようだ。

 ジュディスさんがソードマスターらしく太刀の刃先を確認している隣では、アモンさんがワンド(杖)の装飾に使われている魔石に魅入っていた。


「でも、なんでこんな物をわざわざ……」


 そんなパンギャさんの問いかけは、当然の疑問だろう。

 全員が、同意見だとばかりに俺を見た。


 俺は、何故そんな物をプレゼントに選んだのかという事をメンバーに説明をした。


 一つ目は、自分が居なくなる世界に何か自分が居た証のような物を残しておきたかった事。

 二つ目は、一緒にゲーム内時間に換算して約2年間という時間を助け合って生きてきた仲間に、自分が其処に居た事を忘れないで欲しいと思ってゲームの装備類にした事。

 三つ目は……


「イオ爺の話した通りに、異世界というのがこの世界の遠い未来であるとすれば、何時いつの日か世界が破壊されるような、災害なのか戦争なのかは判らないけどそんな日が来ると思うんだ……」


 真剣な顔をした俺のちょっと荒唐無稽な話だけど、誰も反論しないで聞いてくれている。

 普通なら、絶対に頭がおかしくなったと思われるのは間違いが無い話なのは、俺も充分に承知をしている。


 それでも、ゲームに閉じ込められるという同じ経験をして、ゲームの魔法やスキルが使えるようになっているという非現実的な経験もしている仲間なら、きっと判ってくれるのでは無いかと俺は考えていたのだ。


「その日がみんなが生きている間には来ない遠い先なのか、それとも近い未来なのかは誰にも判らないけど、そんな日がもし来るのならメンバーのみんなには生き延びて欲しいんだ」


 俺は、そう言って話を締めくくった。


「それで、武器とか防具なんだね」

パンギャさんが、俺の言葉にそう応えてくれた。


「ヒャッハァァァな、モヒカン刈りに肩パットの時代が来るのかなぁ」

 昔流行ったマンガのネタを披露するハイドさんだけど、誰もそのネタに気付く人は居なかった……

 ちょっと場違いな発言に、冷ややかな女性陣の視線を浴びてハイドさんは小さくなって黙った。


「うん、魔法をふんだんに付与してあるから、ちょっとやそっとじゃ死ねないと思う。 それに防具の胸の部分と武器に取り付けた魔石には俺の魔力がたっぷり込めてあるから、いざという時には大きな魔法を使っても、たぶん大丈夫なはず」


「ちょっとぉ、そこは多分じゃ困るわよ和ぃ」

「そうだよね、絶対だよね、そこは」

「断言して欲しかった処だね、うん」


「まあ、そういいう謙虚なところが廃人くんらしいと言えば、らしいよね」

「持ちやすい弓だよ、大事にするね廃人くん」

「この太刀は気に入ったわ、大切にするね」


 ミリアムさんの一言で、せっかくのしんみりした名シーンが台無しです……

 でも、まあ、こうやってシリアスにならず笑い飛ばすのがエクソーダスらしいと言えば、言えるかもしれないと、俺はそう思った。


 俺の餞別の品として渡したアイテムバッグを、全員が示し合わせたようなタイミングで各自の腰の辺りの空間からアイテムBOXを開いて、その中に俺のプレゼントを収納していた。


 それから絶対に人前に出さない事を全員に念押しさせてミリアムさんが帰る事になった。


和兄ぃ……」


 名残なごり惜しそうなミリアムさんは俺に何か言いたげだったが、何かを言いかけて口ごもると、そのまま黙ってイオ爺の運転する車に乗って帰って行った。

 



「ミリアムはおとなしかったね」

 パンギャさんがそう言うと、「乙女心が解らないかぁ~男共には」とアモンさんが、男はこれだから困るねと言うような目で俺たちを見て言った。


「いわゆるネット弁慶って事?」

 そう訪ねるハイドさんだったが、ミッシェルさんの発言に切って捨てられた。

「甘いわね!、ああ見えても廃人くんを目の前にしてツンデレやってる程ミリアムも子供じゃ無いって事よ」


「二度と会えないかもしれない殿方を前にして、何も言えず去って行くなんて……」

「乙女よねぇ~」


 女性陣は一斉に頷いていた。


「あの年代は、大人なのか子供なのか俺には解らないなぁ..」

 俺から見たら大人のパンギャさんも、その辺りは良く解らないようだった。


 俺も、なんだか良く判らなかったと言うか、そういう事はまだ解りたくないと思った。


 その後はメルとイオ爺やレイ婆が、お泊まり組に夜中まで異世界の事を根掘り葉掘り聞かれていたが、それは傍から見ていても楽しそうに見えた。


 俺にとって最初で最後となるエクソーダスメンバーとのオフ会の夜は、こうして更けていった。


 そしてメンバーのみんながまだイオ爺たちと話をしていると言うのに、俺は疲れが出たのか先に眠くなってしまったようだ。


 この世界でみんなが俺のように追われたりせず、平和にずっと暮らせることを願って、俺は一足先に眠りについた。




 俺は異世界の事を空想していた……


 もしかしたら、異世界でエクソーダスのメンバーが建国の6英雄とかいう神話級の伝説になっちゃってたりしてたりして…


 6人の子孫が6つの国の王様になってるとか…

 俺の作った装備が6つの国でアーティファクト級の国宝になっていたりとか…


 俺は夢の中でファンタジー小説にありそうな事を、お気楽に夢想していた。

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