ミッシェルの憂鬱: スナイパー
次々と襲い来る魔族の襲撃と魔法攻撃を躱して、ヒラヒラと舞うように敵を叩き潰して行くミリアム。
『罠創製!』
ミッシェルはミリアムを援護しつつ、スキルで作成した罠を周囲に設置し、身動きが取れなくなった魔物を次々と餌食にしていった。
<<ミッシェル・クロフォード: 道を作るわ!
>>ミリアム・エリストス: お願い、これじゃ切りが無い!
『貫通力倍増!』
『打撃力充填』
『武装洗礼』
ミッシェルがスキルを発動させるのに合わせて、ミリアムが聖水を振りかけた。
ビンッ!と言う弦鳴りの音と共に、放たれた金色の矢は立ちふさがる魔物達を食い破って光りの粒子に換えながら、一本のバウードに到る道を造り出す。
金色に輝くソードメイスを腰だめに構えたまま、そこを高速で駆け抜けるミリアム。
その動きが、突然ガクリと落ちた。
何度か掛け直しをしてあったブーストスキルの効果時間が、いまここで切れたのだった。
高速で移動していた勢いにスキルの外れた体が着いてこれず、転倒して激しく地面を転がるミリアム。
回転する途中で無詠唱のブーストスキルを掛け直してはいたが、転がる体を止める事はできない。
地面を転がる勢いが停まった時には、激しい回転と打撲による脳震盪で、その場から少しの時間だけ動けなかった。
『超回復』の発動によって体の機能が回復するまでに必要な、ほんの僅かな時間。
それがバウードの真ん前とあっては、僅かな時間と言えども命取りである。
バウードが凶悪な鉤爪の生えた大きな黒い手で、ミリアムの顔を掴んで軽々と空中に引き上げた。
「んぐぐうっ!」
物理攻撃防御結界が効いている限り、顔を握りつぶされる事は無いだろうが、口と鼻を塞がれては息ができない。
必死でバウードの腕を振り解こうとするミリアムだが、足場の無い空中では、ブーストが掛かっているとは言っても蹴りもパンチも本来の力を発揮する事ができない。
「ミリアァァァァム!」
大声で叫んで、バウードの太い腕に照準を合わせるミッシェル。
(腕ごと吹っ飛ばして助ける!)
標的に集中したその分… ほんの少しだけ、彼女の周囲への気配りが甘くなった。
突然足を何者かに掴まれて、その場に引き倒されるミッシェル。
「ぐはっ!」
背中を固いアスファルトの地面に打ちつけて、衝撃で息が漏れる。
反動で後頭部も強打して、意識が少しだけ遠くなった。
物理攻撃防御結界と言えども、内部に浸透する衝撃のダメージまでは相殺できない。
あくまで相殺できるのは、外部へのダメージだけなのだ。
ゲームの中であれば、内部へ浸透するダメージなどは存在しないから、問題にはならなかった。
しかし、現実世界では水分含有量の多い肉体には浸透するダメージが存在するのだ。
どんなに固い箱『物理攻撃防御結界』に守られていても、地面に叩きつけられた時に中に入っている物が柔らかい豆腐であれば、衝撃でグチャグチャに破壊されてしまうのだ。
そして、それを瞬く間に回復させるのがパッシブに発動する『超回復』スキルである。
しかし回復が完了するまでには、ダメージの度合いによって数秒の時間が必要となる事もあるのだ。
地面に引き倒されただけであれば、必要なのは1秒に満たない僅かな時間であるが、人ならぬ力を持った敵に対するのには、ほんの少しだけ間に合わない。
足を掴まれたまま、地面から現れたバウードに似た魔人に持ち上げられるミッシェル。
反射的に捲れ上がる青いミニスカートを、弓を持っていない方の右手で押さえるのは意識しての反応では無い。
「バウード! 遅いでは無いか。 何をしておったのだ間抜けめが」
ミッシェルを逆さに持ち上げた、ひときわ大きな魔人がバウードを責めるように言った。
「来たかゾバーバ! すまぬ、あと一人に手間取った」
「貴様の失態のおかげで、魔王様は次の時が満ちるまで復活できぬわ」
「ぐぬぬっ…… しかし、ガラードとファラーシャくらいまでは復活できたであろう」
「一人生け贄が足りぬで、ちと時間が掛かるであろう。 すべてお前の失態のせいでな」
吐き捨てるように、ゾバーバと呼ばれた魔人がバウードに告げた。
ゾバーバは、バウードよりも大きく身長が5m程もあった。
足を掴まれたままで吊り下げられたミシェルは、ビルの2階ほどの高さにある位置から、近くに見えるショッピングセンターの壁と地面を見ながら、脱出のタイミングを伺っていた。
<<ミッシェル・クロフォード: 早くミリアムを助けないと、窒息して死んでしまう!
激しく抵抗するが、ゾバーバの手は離れない。
もはや、ミニスカートが捲れるのも気にせずに、右手の矢で直接ゾバーバの腕を突き刺した。
ミリアムの動きは、先程迄と比べて緩慢になってきている。
もう一刻の猶予も無いのだ。
「ぐおぉぉっ! 何だこの武器は? まるで我らを封印せしめたゴリラ仮面のふざけた勇者と、その仲間のパーティが使った物と同じような痛みがあるでは無いか?」
悲しいことにミッシェルの突き刺した聖属性の矢は、弓から放つ事ができない為に攻撃スキルの補正を受けられず、弓から放つ物理速度すら与える事が出来ない。
それはゾバーバの腕に、焼け焦げたような穴を一つ穿っただけであった。
「そうよゾバーバ! 我もそれが気になっていたのだ。 もしやこいつらは憎きゴリラ面の勇者の…… 」
バウードが、そこまで言いかけた処で言葉が途切れた。
『メギド!』
バウードの脳天から突き刺さった断罪の矢が、その巨体を串刺しにして尻から抜け、アスファルトの地面に深々と突き刺さっていた。
ドサリと柔らかい音を立てて、力無く地面に落ちるミリアム。
ゼイゼイと苦しそうに荒い息をしている。
「ミリアム!!」
良かった!生きている、それを確認してミッシェルの目に涙が溢れそうになる。
騒乱が止み、静かになった夜の広い駐車場に、カツカツとヒールの音が響き渡る。
ミッシェルの足を握ったまま、ゾバーバが慌てて振り向く。
周囲の魔物達も、一斉に音のする方を振り向いた。
「うちの大事な妹たちに、何をしてくれたのかしら? あなたたち」
「アモンさん!!」
逆さになったミッシェルの目に映ったのは、キツネの仮面を着けた「魔女アモン」その人だった。
ズドン!と音を立てて、ゾバーバの太い両腕が鮮やかに両断され地面に落ちた。
その切断面から、緑色の体液が噴水のように噴き出す。
それを避ける為に転がってその場から移動するミッシェル。
「ジュディスさん!」
両腕を切断されて苦痛に吼えるゾバーバの近くに、魔法剣士のジュディスが隠遁結界を解いて姿を現した。
不本意だと言っていた狸の仮面は着けていないから、その素顔が見える。
「きっついお仕置きが必要よね、こいつら」
刀の切っ先をゾバーバに突きつけて、アモンに言うジュディス。
ミッシェルにとっては、ゲームで見慣れた懐かしい光景だった。
「大丈夫?ミリアム」
「なんとか…… 」
ミッシェルに抱きかかえられて息を整えているミリアムに、アモンから治癒魔法が飛んだ。
「ぐおおぉぉぉぉぉ!」
ゾバーバが吼えると、その体から吹き出した黒い闇が凝集して再び腕の形になった。
片や、断罪の矢で地面に串刺しにされたバウードは、メギドの放つ高熱で全身からブスブスと燻った煙を上げていた。
やがてボンッ!という音と共に全身から発火すると、盛大に炎を上げて燃え上がった。
「やっぱり?!」
ミッシェルがミリアムに問いかける。
「うん、四天王の中でも最弱だったね」
笑顔でミリアムは、そう答えた。
「出でよ、我が仲間達よ!」
ゾバーバが再生した両腕を天に向けて振り上げると、駐車場の闇の中から無数の魔物が、地中から湧き出すように姿を現してきた。
その中に、ゾバーバと同じくらい大きな魔人が二体、地面からゆっくりと浮かび上がってくる。
「待ちわびたぞ!我が仲間達、ガラード、ファラーシャよ!」
勝ち誇った顔でアモンを見るゾバーバ。
チン!と言う鍔鳴りの音がした。
『武装洗礼!』
ミリアムが、瞬時に反応して聖水をジュディスの刀に振りかけた。
『瞬歩!』
瞬時にゾバーバとの間合いを詰めたジュディスが、その太い胴体を聖属性の刀で真っ二つに切断して駆け抜ける。
ズン! と重量級の音をさせて地面に転がり落ちるゾバーバの上半身。
やや遅れて、下半身がドサリ!と倒れた。
その切り口は、金色の光の粒子で覆われていて再生する事は出来ないようだった。
ドババババババッ!と重苦しい連続音がして、アモンの放ったファイアーボルトがゾバーバの上半身と下半身にいくつも突き刺さり、弾けるように爆発炎上して激しい炎に包まれた。
「ゾバーバ!」
「バウードもか!」
数百体を超える魔物従えて登場したガラードとファラーシャが、為す術もなく亡骸(燃え滓)となった仲間の名を叫んだ。
「どういう事だファラーシャよ、この世界にも勇者が居たと言う事なのか?」
「うぬぬガラードよ!何なんだ、この世界は魔素が周囲の空間に存在しておらぬぞ!」
「うーむ、それであれば十全の力を発揮できずに破れたか、ゾバーバとバウードよ」
「しからば、数で押すさ。 戦はつまるところ数よ」
ガラードが手を振り上げると、一斉に数百体の魔物が動いた。
『火炎蜂!』
アモンが無数の火炎で出来たスズメバチサイズの炎を、周囲の空間一杯に造り出した。
空を覆い尽くすばかりの火炎蜂の大群を見て、思わず後ずさるガラードとファラーシャ。
それに釣られて、召喚された魔物も後ずさる。
「ええい、引くな! 数ではこちらが上だ。 奴らの本体は4体しかおらぬ、すべて喰らい尽くせ」
「一匹残らず、焼いてしまいなさい」
アモンの指示で、一斉に飛びかかる火炎蜂の大群。
次々と魔物が炎に包まれて燃え滓になってゆくが、数では次々と魔物を召喚している敵の方が優勢だった。
火炎蜂の包囲を突破して襲ってくる、魔物をミリアムがソードメイスで叩き潰し、ジュディスが切り刻む。
ファイアーウォールで敵の突進を遮りノックバックさせるアモン。
追撃でファイアボルトを落として、ダメージを受けた敵に止めを刺すのを忘れない。
罠を有効に使って、敵を近づけさせないミッシェル。
一体ずつ、確実に倒して行く。
<<ミッシェル・クロフォード: みんな、スキルの無駄使いに注意して、これは長引くわよ。
<<ミッシェル・クロフォード: アモンさん、突破口を作るからみんなにブーストを! ミリアム! アモンさんを守って!それから聖水をお願い!
>>アモン・ナッツミー: きゃー懐かしいわねー、その感じ。
>>ジュディス・エスター: わくわくするわね。
>>ミリアム・エリストス: まっかせなさーい!
>>ハイド・イシュタル: ちょっとー、みんなずるいってば。
>>パンギャ・パンチョス: うわー、めっちゃ行きたい。
>>アモン・ナッツミー: 早く来ないとパーティが終わっちゃうわよ!
<<ミッシェル・クロフォード: パンギャさん、ハイドさん、みんなが言う程楽勝な戦いじゃないから、来れたらで良いんで来て下さい。
>>ハイド・イシュタル: 行きたい、行きたい、パンギャさーん!!
>>パンギャ・パンチョス: うわああ、無理無理無理ぃぃぃぃぃ!
<<ミッシェル・クロフォード: 来たわよ、みんな油断しないで。 ジュディスさん、いつもの手はずで!
>>ジュディス・エスター: ういういしゅ!
あれほどいた火炎蜂の大群が、魔物達の捨て身の攻撃で相殺されて数える程しか居なくなっていた。
『貫通力倍増!』
『打撃力充填』
『打撃力三杯増』
スキルで貫通力と破壊力を強化して、ミッシェルがコンポジットボウの弦を引き絞る
『武装洗礼』
ミリアムが、再び絶妙のタイミングで聖水を振りかけた。
ビンッ!という弦鳴りの音と重なって、ドン!という衝撃波が空気を振るわせる。
撃った瞬間に音速を超えた聖属性の矢が、魔物の群れを光の粒子に浄化しながら、ガラードとファラーシャの居る場所目がけて突き進む。
同じく、聖属性に変化した愛刀を鞘に戻して、居合抜きの構えのまま作られた道を突き進むジュディス。
『斬魔破邪!』
腰だめにした刀を振るうと、三日月形状の光の刃が急拡大して敵にぶち当たり薙ぎ払う。
『火炎波動!』
数に任せて、押し寄せる魔物の山に、炎の波をぶつけて押し返すアモン。
数に負けて、ジュディスが吹っ飛んだ。
「ジュディス!」
アモンが、すかさずヒールを飛ばす。
>>ジュディス・エスター: 廃人くんの作った装備を信用して! 受けるダメージはせいぜい2割くらいよ。 ほとんどを軽減してくれてるわ。
そうは言っても、2体の魔人が召喚し続けている敵の数が多過ぎた。
ダメージは軽減さえていると言っても、限度がある。
ようやく、魔物の大半を片付けたところで、再びガラードとファラーシャが召喚を始めた。
ボコボコと湧き出すように出現する魔物たち。
遠距離から狙えば魔物が盾になり、近距離から突っ込めば魔物の山に押し返される事の繰り返しになって、戦況は膠着していた。
作戦を立てようにも、あまりに敵の数が多過ぎるのだ。
この膠着したバランスを少しでも崩せればとミッシェルが思った時に、輝く丸い気弾が真上からガラードを直撃して弾き飛ばした。
続いて、上空から飛んで来た巨大な剣がファラーシャの腕を切り落とす。
空気を押しつぶすような大く重い音と共に、上から振ってきた何かがガラードとファラーシャの巨体を押しつぶした。
大きな地響きと共に、それが直撃した地面が半径10mほどの円形に陥没する。
その陥没した二つの窪地に、スクワットのような格好でパンギャとハイドが立っていた。
ガラードとファラーシャは、すでに二人の足の下で潰れた肉塊となっているのが見える。
「遅刻よ、二人とも!」
アモンが、笑顔で二人に聞こえるように叫んだ。
「タイミング計ってたでしょ、今のは!」
「今頃来て、何やってたのよ二人ともぉぉぉ!」
口々に、はやし立てるジュディスとミリアム。
ミッシェルは二人が来るなら、ここしか無いと思っていた。
だからこそ戦いの場として、このショッピングセンターの建物に近い駐車場を選んだのだ。
アモンとパンギャの二人へ個別に話を聞いたとき、パンギャはミリアムと同じく屋上に、アモンは屋外階段の1階裏付近にワープポータルをメモした事を聞いていたのだった。
だからこそ、不利な広い場所に誘い込んでみんなの到着を待っていたのだ。
「いやあ…… 例の件で取り込んでたら、返事をしないで黙って聞いていろって、ミッシェルからパーティチャットで実況放送が始まった時には、びっくりしたよね」
「おかげで、気になって気になって、校正の仕事が捗らない捗らない」
「こっちは移動手段が無いから、もう気が気じゃ無くてやせ細る想いで聞いてたよ」
「うんうん、速攻でバイトを早退して、部屋でアモンさんのお迎えを待ってたんだから」
「それじゃあ、後片付けをチャッチャとやっちゃいます?」
アモンの提案に、皆が同意した。
このメンバーが揃えば、残った魔物の大群とて片付けるのに時間はかからないだろうとミッシェルは判断した。
「ミリアム、屋上へのポタを出して! アモンさんフルブーストお願い。 パンギャさんとジュディスは、後をお願いします」
ミリアムやパンギャよりもMPの潤沢なアモンからフルブーストを貰ったミッシェルは、ミリアムの出した転移魔法陣に飛び乗った。
出現ポイントはショッピングセンターの屋上だ。
ワープポータルから飛び出すと、すぐに屋上の駅側にある手すりに向かう。
『集中力最大強化!』
『打撃力三倍増!』
『打撃力充填!』
『不死・悪魔打撃力強化』
『貫通力倍増!』
『打撃力三倍増』
ミッシェルは、念矢をつがえて引き絞る……
「あれ、矢が金色にならない? こんなタイミングで効果時間切れとか…… 」
ミッシェルはアイテムBOXから聖水のボトルを取り出すと、コンポジットボウに振りかける。
それまでグレーだった、念矢が金色に輝きだした。
しかし、コンポジットボウの色は何も変わっていない。
再び、弦を引き絞るミッシェル。
『超命中補正狙撃』
『超巡航射撃!』
見えない程遠くにある碧の家に向けて、意識を集中させると『鷹の目』が自動発動する。
見えない筈の碧の家の居間が急拡大されて、新月の夜だというのに中の様子が昼間のように明瞭に見えた。
あの魔像は、魔法陣が描かれた床に置いてあった。
その床の様子を見て、ミッシェルは眉を顰める。
何を見たと言うのか、ミッシェルは厳しい顔で気を取り直して矢を放った。
ドン! というひときわ大きな衝撃波を発して、射出された瞬間から音速の約3倍で飛び去る聖属性の念矢。
放物線を描かずに一瞬で約2.5kmの距離を詰め、真っ直ぐ碧の家を目指して突き進む。
矢を放つ直前から、攻撃を察したのか黒い闇の霧が碧の今の前に立ちこめていた。
居間の窓には、碧の父親と母親が重なって立ちふさがっていた。
真っ黒で分厚い闇の霧に大穴を開けて貫いた聖属性の念矢は、碧の父親と母親の腹部を貫き、その実体を傷つけずに取り憑いた本体を浄化して通り抜ける。
そして、そのまま勢いを殺さず、床に置かれていた魔像に直撃して金色の光を放って弾けた。
取り憑いた魔人を浄化されて気を失った碧の父母は、床に崩れ落ちる。
聖属性の念矢が直撃した魔像は、その汚れを浄化されて真っ白な木目の見えるただの木像となって、床にころがっていた。
視線を落として駐車場を見下ろせば、エクソーダスのみんなが魔物を次々と倒しているのが見えた。
もう時間の問題でしかないが、ミッシェルは念矢を空に向けて構える。
みんな無理を押して来てくれているのだから、あまり時間を掛けてしまう事は色々な意味で好ましくない。
そう判断したのだった。
『トリプルクラスター・アロースコール』
ミッシェルが、放った一本の聖属性の念矢は、射出された途中で10本に増えて更に上昇してゆく。
そして、また途中で10倍の本数に増えてから、反転して地面へと向かう。
総計100本となった矢は、落下途中で三回目の増殖を果たして1,000本に増えて、高速で魔族の大群へと降り注いだ。




