-陰りと光-
更新です。
今回は間を開けたにも関わらず、非常に少ない文章の更新です。
申し訳ありません。
雨季の期間は一週間程だった。
晴れ間を挟んで七日間降り続けた雨だったけれど、過ぎてみればからりと空気は乾いて、空は晴れ、すっかり暖かい季節となっている。
隣国への行程もそろそろ半分を迎える頃で、それに合わせる様に、魔王の噂やモンスターの被害が耳に付く様になってきた。
雨季が終わり3日。
王城を出てから、既に15日、半月が過ぎていた。
緑の溢れる森が左右に伸びて、木漏れ日の中を小鳥がさえずり回る。
その音に合わせる様に軽快に流れる風が、アレスの髪を揺らしては吹き抜けていった。
爽やかな風は、吹かれるだけで気持ちが高まる様だった。
けれど。
3人とも、表情は変わらず硬かった。
アレスは、どこか決意の籠った表情で。
スタンは、どこか不安の交った表情で。
そして。
エマは、とても辛そうな表情で。
行先に広がるその道を、きつく睨み付けていた。
まるで、その先の誰かを睨み付ける様に。
少しだけ悲しくて、鞘と一緒に、かちゃかちゃと耳障りな音を立てた。
ふと晴れた空を見て、考える。
私達が戦うべき相手は、魔王だけだろうか。
魔王の手下だというモンスターも、勇者が倒すべき相手なのだろうか。
大抵の場合、それらのモンスターはこの国は兵士が強者ぞろいと言う事で問題無いらしいけど。
けれど、それならモンスターの被害に有っているという隣国に着いた時、私は思いの他早く誰かを斬る覚悟をしなくてはいけない、という事だろうか。
誰で有ろうと、この身で傷付けるのは耐えられない。
誰かが傷付くのを見るのも嫌なくらいなのに。
本当、私は伝説の剣には向いて無いようだ。
いっその事、もっと冷徹な何かで有れたら、楽だったかもしれない。
けれど。
もしもっと冷徹な何かだったら。
彼のすぐ傍にいるこの温かみも、感じなかったかもしれない。
これからする事。
彼に出会えた事。
その二つを考えながら、私は空を見上げる。
広く真っ青な深い青、その中天に浮かぶ眩しい光。
ゆっくりと、雲がその光へと近付いていた。
これからする事。
雲は、段々と太陽を覆うように流れる。
緩やかな風はけれど止むことなく、雲を乗せて運んで行く。
彼と、出会えた事。
遂には、流れるその雲に、太陽は覆い隠されてしまった。
私は何だか悲しくなって、彼の隣で地面を見つめた。
でも。
「…………綺麗だね」
そう言って、彼の手がそっと、私の柄に触れる。
その声に導かれる様に空を見上げると。
太陽を覆うように、風に延ばされて広がった雲。
その雲すら、太陽の光を遮る事が叶わないと言うように、雲を突き抜け、眩しい光はこちらを見返した。
雲に遮られて尚、いや、太陽はその光を柔らかくして、こちらを照らす。
緩く動く雲の動きに合わせる様に、ひらひらと光は揺れ動き、その動きはどこか神秘的だった。
決して力強くは無く、どこか不安定で、けれど柔らかで優しげな。
彼と、出会えた事。
私はそれを、決して後悔しない。
次話の更新で、少しだけ物語は動くと思います。