疑惑
次の朝、学校へ行くとき麻美が言った。
「ねぇ、思ったんだけど朋美ちゃんの家の近くが臭いんじゃないかな?」私は自分の家が臭いのだと言われている気がして気分を悪くした。
「あっ、朋美ちゃんの家が臭いんじゃなくてあの辺の周りがさ…」
麻美は朋美の態度を見て慌てて弁解した。
しかし一度悪くした気分はなかなか直らない。
気まずい雰囲気のまま学校に到着した。
今日は終業式だ。明日からは待ちに待った夏休み。
ある者は山へキャンプ。またある者は海へ海水浴。
それぞれが心を弾ませ、その日は学校が終わった。
母親もあんな状態でどこにも行く予定の無い私は退屈と戦う日々の始まりだった。
家につくと近所のおばさんが近づいてきた。
「朋美ちゃん、最近あなたのお家から変な匂いがするんだけど何か心当たりある?」
私は麻美とのこともありさらに気分を悪くした。
「私はおばさんの家から変な匂いを感じます」
「まぁ!」
おばさんは怪訝な表情で私を見ていた。
夏休みに入り何日間経っただろう?
宿題はほとんど終わっている。
日々生活をしている中でだんだんと匂いが強くなっている気がした。
蝿の数も増えてきたので蝿取り紙を設置した。
ある日テレビを見ていると、病気についての番組がやっていた。
何でもその病気に感染すると生きたまま体が腐っていくと言う病気だ。感染率がかなり高く、昔どこかの村の人達がこの病気のせいで死に絶えたらしい。
「それではこの病気にかかった人の症状をお伝えします…」
ピンポーン
玄関を開けると麻美だった。
「この前はごめんね。海に行ったからお土産買ってきたの」
『海まんじゅう』と言う珍しいまんじゅうだ。
「ありがとう」
「ねっ!今から遊びに行かない?」
「ごめん、今ちょっと大事な用事があるんだ」
私はテレビが気になり嘘をついた。
「そうなんだぁ…じゃあまた今度ね」
そう言って麻美は帰っていった。
急いでテレビを見るとすでにその番組は終わっていた。
その夜、私は布団に入りながら考えていた。
もしかしたらこの街の人達は例の病気にかかっているんじゃないだろうか?
生きたまま腐っていくから異臭を放つのではないか?
みんなはすでに自分から異臭が放たれているから慣れて匂いに気付いていないのでは?
そう考えると私の中で、つじつまが合ってきた。