白い花になってしまっても
白化症
十代の子供に起きる、最悪の呪いのような病気
花が白くなる病気のように、髪の毛と記憶がどんどん白くなってしまう
なにもかも区別なく、のはずが白化症は基本的に思い出だけを食いつぶす
そう
大切な人との記憶を
―――
みんな、映画とかで記憶を消してまた見たいとかいうじゃん
あれ、そんなに簡単に言って良いものだと私は思えない
確かにもう一度あの初めて見る臨場感や感情を味わいたいのはわかる
だってそれが人間だ
人間は一度受けた快楽には少し抵抗が芽生えてしまう。だからみんな初めてというのが一番良い
でも、それを望みたくない人間だっている
:一章 白化病なんだって:
「私、白化病なんだって」
「えぇ、」
わかっていたのだろう、私の髪の付け根が少しだけ白く変色していたから
「えぇってなによ、最愛の人が白化病なんですよー」
「ごめん」
少しでも雰囲気が軽くなればいいと思って言ったのだが、彼女もダメージが大きかったのだろう
「すみれ、私が明るくしようとしてるんだから明るくなりなさいよ」
「ごめん、そうだね」
すみれ
私の愛してる人、可愛いくせに頼りになる
はずなんだけどな…
「そうそう、よろしい」
「なんで、百合がそんなに元気なのよ」
「だってすみれよく言ってたじゃん」
すみれが顔を傾け、なんか言ったけと言いたげな顔をする
「辛いときこそ笑え、そうしないと笑えないだっけ?なんかそんな事言ってたじゃん」
「確かに言ったけどさ」
まぁこれで全く悲しまれないほうがこっちとしては悲しいからそれで良いのだが
「なら、笑わないとでしょ。すみれ」
すみれに近づき無理やり口を引き上げる
「ほら、あなたは笑ってたほうが可愛いんだから」
「やめて、恥ずかしい」
ムスッとする彼女も相変わらず可愛い
:二章 私の可愛いすみれ:
白化症と伝えられた翌日、私は家で髪を染めたので誰にも気づかれなかった
すみれはというと相変わらず授業中でもかかわらず机に突っ伏して寝ている
はぁ…すみれの前の席が良かったな
後ろだからすみれの寝顔が見えない
授業終わったら見に行こ
「おはよう、すみれ」
「んー、おはよう、百合」
「あいかわらずね」
「だってー眠いんだもん」
「昨日早く寝たんじゃないの?」
「ねたよぉ……でも眠いんだもん」
「寝ても良いけど、ここで寝ないで」
「なんでーー?」
だって、
「だってその顔他の人に見られたくない」
そんな可愛い顔は私だけが見たい。他の誰にも見られたくない
「じゃあ、どこかいくー?」
さっきの授業は六限目。先程HRも終わったので放課後だ
「いつものとこ行こ」
「えー百合がうざいからやだ」
「なんだと」
「だってー屋上行くと百合、ずっとくっついてくるじゃん。寝れないよー」
だってかわいいんだからしょうがないじゃん
「そう言いながら、すみれ行く気まんまんでしょ」
すみれは立ち上がり私の腕を掴む
「だって眠いのには変わりないんだもん、行くなら早く行こ」
「はいはい、じゃあくっついて良いってことだよね」
「えーそれはやだかなー」
わたしが頬を膨らませわかりやすく不機嫌な顔をする。
「うそだよ。私もくっつきたいしさ」
「やった!!早く行こ!!」
「そんなグイグイ引っ張らないでよー」
ぐうとわかりやすく寝息を立ててベンチに横になって,屋上ですみれはしっかり寝ている。
相変わらずかわいいな
食べちゃいたい。まぁそんなこと言って嫌われたら嫌だから言わないけど
「すみれ………私のこと……忘れないで、いや」
捨てないでくれる…って言いそうになった
が、それでは私がすみれを信用してないみたいじゃないか
そんなの今の私は考えなくて良い、変わらないんだから
今のところ白化病の治療法はない
単純に記憶がなくなるだけなのでそこまで研究がされていないのだ
本人はまだしも周りの人は心に穴が空いてしまうのに
―――
そんなのを考えている時もすみれは寝言を言いながらぐっすりだ。
「はぁ呑気なこと」
まぁそこがすごく可愛いんだけど
これ、写真取ったら怒られるかな。この可愛らしい忘れたくない寝顔を
バッグの中からスマホを取り出した瞬間、ベンチに引っ張られる
「ダメだよー乙女の無防備を記録に残すなんて」
「可愛かったから…ごめん」
だめだった。てか起きていたのか
しゅんっとわかりやすく落ち込む
「もう、言ってくれれば良いんだから」
「いいの?」
「その代わり百合も映るならね」
「えー、私も?」
正直自分を可愛いと思える人なんて一定数だろう。私は自分の顔はそこまで可愛いと思えない。だからそこまで映りたくないのだけれど
「なんでよー、恋人のお願いが聞けないのー」
「わかったよ、じゃあ」
スマホを掲げ二人して寝っ転がってるのがスマホに映る
「はい、チーズ」
カシャッ
:三章 体育やだ:
「次、花咲すみれ!!」
「はーーい」
なんで、体育って強制参加なの
それになんで普段おっとりなすみれが運動できるのさ
今日のマット運動
なんかすみれが意味のわからないくらい回ったり飛んだりしてる
なんで、あんな邪魔なものを持ってるのに運動ができるのさ
そう、すみれのスタイルはとにかく女子が欲しがりそうなほどいやらしい肉付きをしてるし、髪も長い
まぁでもその分腕と足が長い。時々私のことを抱えるが普通に足がつかない
世界は不平等だ。
なぜ、私は体つきも悪いし、顔も悪ければ運動もでないのだろう
まぁ努力をしてこなかったのが悪いと言われればそうなのだが、でも顔と身体とか努力じゃどうにもならない物も多いじゃん
はぁやになっちゃう
しかもなんで発表とかあるのさ、全員の前で無様を晒すの相当厳しいんだけど
はぁやだな…
―――
「次、水瀬百合!!」
私の番か
やだな、だってマット運動なんてほんとにできないとめっちゃダサいじゃん
笑われちゃうよー
「はい」
変な声になっちゃった。しょうがないじゃん人の前に立つの苦手なの。
「まって!!百合!!」
「ん?どうした?花咲」
「どうしたの?すみれ」
「先生、百合体調悪そうだから保健室つれていきます」
ん?どこも別にわるくないけど
「なんで、花咲が」
そこで、別の数人の女子も声を上げる
「そうそう、少し顔色悪いから保健室行ってきなよ」
「なんか少しフラフラしてるしさ」
先生がんー?と疑問を持ちながら答える
「そんなに言うなら、そうだな花咲、水瀬を保健室に連れてってくれ」
「はーい」
すみれが私に近づいて、足に手をかけた
え?
驚いてる私の足を思いっきりあげて、背中に手を置く
要はお姫様抱っこだ
「え!?すみれ!?」
「なに?」
「流石に恥ずかしいよ」
クラス全員の前でお姫様抱っこされてる構図は少し、いや
非常に恥ずかしい
「うるさい、黙ってないと落っことすよ」
「それは、怖いからやめて」
「はいはい、じゃあ行くからね」
「先生ー!!、じゃあ百合持ってくねー」
「あぁ気をつけろよ」
「いきなりどうしたの?」
そんな、体調悪そうに見えたのかな?別にどこも体調わるくないんだけど
「髪、気づいてないの?」
「髪?」
髪の一房を手で持ち上げてみると先のほうが白く変色していた
「みんなにそこまで見られたくないんでしょ?」
「まぁそうだね」
だってこれがあるということは、私はあなたのことを忘れるって言ってるようなものだ
別に元々友達も多くないので良いのだがひそひそ陰口を言われたくはない
「私は可愛くていいと思うけど、みんなはそうはいかないもんね」
「可愛い?これ」
ただ髪が白くなっているだけなのだが
それに銀髪というより白髪、そこまで可愛いと思わないんだけど
「うん、なんかきれいじゃん」
「そうかな?」
「そうなの」
まぁすみれが言うならそうか
「それよりどうする?保健室には行かないとだけどなにか染めるものある?」
「ないかも」
そりゃそうだだって染めたの朝だもん、そんなすぐに変色すると思ってなかった
「んー…保健室の先生には言う?」
「あ、それは大丈夫。親が言ってあるから」
親が昨日に担任と校長と保健室の先生には話をしてある。もしも何かあったら対応するのは基本的にその3人だからとのことだ
「じゃあ、大丈夫だね」
「それより、すみれ?おろしてくれない?」
「なんでよ」
「いや、だって」
すみれの顔がずっと近くて恥ずかしいなんて言えない
「私はこのままがいいなー、百合の顔よく見れるから」
はぁこの子は相変わらずなんだ、悪魔か?天使の顔した悪魔なのか
まぁいいか、いやよくない
すみれのいろんなのが触れていて落ち着かない
なんか……そう、すっごくやわらかい
いやだめだめ。彼女がこんなこと考えてたら嫌でしょ
「あと、百合のその恥ずかしがってる顔見れるしね」
「っ…//」
やっぱ天使の顔した悪魔だ。
「ねぇすみれ、ほんとに降ろしてよ。誰かに見られたら絶対変な目で見られるって」
「別にいじゃんもうクラスの子達の目の前ではやってるんだから」
「そうだけどさ……」
「まぁもういいかな、降ろしても」
すみれがゆっくり私のことを降ろす
すみれの顔が近くて可愛くて前が見れずに手で隠す
「…ねぇ、百合」
「なに?」
「怖い?」
「え……何が?」
「みんなを忘れるのが」
一瞬、息を止めてしまう
「……別に。怖くないよ」
「私の前で嘘言うのー?」
すみれの声はいつもの眠そうなものなのに発言はいつもと違ってやけに鋭い
「嘘じゃないもん」
「百合、強がる時声小さくなるじゃん」
「…そんなことないもん」
「あるの」
すみれはわたしの額に自分の額を近づける
距離が近くて、自分の心臓が五月蝿い
「百合が怖いなら私も一緒になるし、百合が泣きたいなら私も一緒に泣くし、百合が笑いたいなら私も笑うから」
「…すみれ」
「百合が忘れても、私は覚えてるから。あなたの分も全部」
その声は胸に刺さる
そんな事をしたらすみれは傷ついてしまう。
でも、忘れたくない、忘れたくないよ……
…やだよ………
「…すみれ、ずるいよ」
「なにが?」
「そんなこと…言われたら……泣いちゃうじゃん」
「泣いてもいいよ、今なら私以外見てないし」
「やだよ……すみれに泣いてるとこ見られたくない」
「えー私は見たいなー」
「ほんとに天使みたいなあくま」
「百合専用のね」
顔が熱くなり、耐えきれずに私は頭をすみれの胸に押し付けた
すみれは私の白く変色してきてる髪を撫でた
「大丈夫だよ、百合は百合。白くなっても私を忘れても、変わっても」
「私は百合が大好きだから」
その声と一つの少女の泣き声が廊下に響き渡った
:四章 記憶日記:
「じゃーん!」
すみれが一つの手帳サイズのノートを取り出した
「なに?それ」
「んー何でしょう?」
「なんでいきなりクイズ形式」
「答えなかった人には私からのキスです」
それご褒美なんじゃ。てか、私しかいないんだけど
「んー、日記帳?」
「不正解ー……てか、百合私のキスいらないの。ショック」
「いや、ここ学校。やめて」
「…はーい」
「で?結局なに、それ」
「ん、日記」
「あってたじゃん」
「だって一発で当てると思わなかったんだもん」
「はいはい、それで?日記始めるの?」
「いや、私じゃなくて百合がやるの」
「え、私?」
自慢ではないが日記を書き始めたのは過去に二回ある
まぁ二回もあるということはそういうことだ
「やりなさい」
「えー続いたことないんだけど」
「じゃあ、続けて毎日聞くから書いたか」
「え、めんどくさい」
「じゃあ、書いた次の日はご褒美にぎゅーしてあげる」
「え!?ほんと!?」
「その代わり書かなかったらその次の日はくっつくの禁止」
「えぇ……」
「強制だから、拒否権なし」
:四半章 12月1日:
今日から日記を書くことにした。
すみれが書かなかった日はくっつかせないって言うから
今日の授業は半分ぐらいすみれ見てて聞いてなかったな
授業の復習しないとって思ったけど、私勉強する必要ないんだよな
相変わらずすみれは授業中寝てる。なんであんな授業で寝てて成績良いんだろう?今度聞いてみようかな
日記ってこんなもんでいいんだよね?
まぁ多分良いでしょ
【更新について】
この作品は4〜6日に一度ほどのペースで更新していきます
どうか、少しでも気に入ってくださったり、先が気になると思ってくださった読者さんがいましたら、
更新が遅いですけれどゆっくりお付き合いいただけたら嬉しいです




