短歌・詩 夜明けの接点 作者: 囘囘靑 冷たいアスファルトに 雪が降り積もる 点滴の音だけが 長すぎる沈黙を刻んでいく 枕の下に隠した写真 偽物の笑顔 本心は写らない 頷くだけの会話に溝が深まる すれ違う人々のGPSは 誰の孤立を示すこともない 日常が誘拐され続ける中で 贅沢とは想像する余裕のことだ ドアノブに手をかけ 返却されない言葉を探す 種のような希望を 冷たい水面にそっと落とす 折り合いのつかない記憶の中で 疎外された傷跡は 合唱のように響き合う この日夜明けの接点で