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I-State(侵略国家)  作者: エス
国衛隊 入隊編
5/63

第5話:神国破壊⑤

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


■組手試験ルール


・「ARレンズ」着用の上、待機

敵=赤マーカー表示

味方=緑マーカー表示

(※視界の外にいる者には、マーカーは表示されない)


・赤マーカーが表示された者を、徒手格闘で制圧する




□補足情報


・ARレンズ=拡張現実コンタクトレンズ

(候補生の時に支給)


・マーカーは両者に同じ色が表示される

(例:受験生AのARレンズに、受験生Bに赤マーカー表示

=受験生BのARレンズに、受験生Aに赤マーカー表示)


・国際条約で定められた戦争(国家間の武力衝突)ルールに ほぼ準拠

(※ただし、武器使用は禁止)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



……実施本部の関係者が出入り・待機している場所から発信される電波をARレンズが受信し、マーカー等が表示される仕組みだ。


中を見渡すと、小型カメラが四方に設置されている。


多分……いや間違いなく、女性責任者たちがモニターで監視しているだろう。


そして、試験官3人が組手会場の端の方に待機している。


(ちなみに、試験官に赤マーカーが表示される…という ありがたくないサプライズは、無い)




――ビリビリとした緊張感が、肌を叩く。


10名それぞれが、他の9名全員が視界に入るように位置関係を調整。


自然と、円を描くような陣形になっていく。




[組手試験:開始]


ARレンズを通した視界に、文字が浮かび上がった。


――5秒経過。


マーカーは表示されない。


――10秒経過。


マーカーは表示されない。


――20秒経過。


マーカーが一向に表示されないので、受験生の一人が端にいる試験官の1人のいる方に顔を向ける。


「あのぉ、故障して……」


一拍遅れて、その背後にいる受験生が スゥ……と距離をつめ、後頭部めがけて前蹴りを繰り出した。




-ガツッ-


鈍い音が響きわたると同時に、蹴られた受験生はよろける。


赤マーカーが表示されたようだ。


蹴られた受験生も体勢を立て直し、応戦する――




――オウカのARレンズに、赤マーカーが表示された。


対象者は、ちょうど目の前 10m先にいる男だ。


その男の上に、視界の邪魔にならないよう配慮された ”赤い横線(半透明で太く短い)” が引かれている。


(その相手にも、オウカに赤マーカーが表示されている)


相手は、「あのぉ、故障して……」から、そちらの方を見ていたが、慌ててオウカに目線を合わせる。




――オウカが本来の実力を出せば、相手が目線を合わせる前に一瞬で間合いを詰めて倒せていた。


だが、低く偽った実力のまま、倒さねばならない。


やれやれ、面倒だな。




オウカは、一直線に早足で歩いていく。


相手の全身の筋肉が みるみる硬直していくのが、容易に伝わってくる。


オウカは、さらに間合いを詰めていく。


「あ……あいつの兄貴として……胸を張れる立派な男に……」


相手からボソボソと独り言が聞こえてくるが、オウカは陽動と判断――気にも留めない。




ぐっ、と相手の右肩・右腕に さらに力が入り、拳を強く握る。


オウカは、相手の拳撃が届くであろう間合いに入った。


相手は、右の拳を撃たんとばかりに振りかぶる。




――こいつなら、一瞬で倒しても不自然ではない、


低く偽った実力は 疑われないためではある。


しかし、ある程度の強さは見せておかないと ”国衛隊で将校の地位を得る” という任務自体を遂行できない。


…ああ、板挟みって辛いものだな。




-グチャッ-


相手が右拳を撃とうと振りかぶると同時に、オウカは左の拳を相手の顔面の中央に叩き込んでいた。


相手の体は 海老の逆バージョンの様に のけぞりながら地面に背中から着地し ドゥッ、と音を立てた。


ぴくぴく、と痙攣した相手は、戦闘不能と判断され――赤マーカーが消えた。


数秒後、予め待機していた救護班が組手会場内に入り、そして相手を会場外に搬送していく。


(救護班に赤マーカーが表示されるサプライズは、無い。少なくともこの場において)




――大柄の男がオウカの背後に忍び寄る。


そう、彼の目には(ARレンズには)オウカに赤マーカーが表示されている。


(反対に、オウカには彼自体が視界の外にいるので、赤マーカーが表示されない)




オウカは背を向けたまま、敵意をもって忍び寄る その男を察知していた。


――さっきのヤツよりは、強そうだな。


ふむ、適度に苦戦してみるか。



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