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I-State(侵略国家)  作者: エス
国衛隊 入隊編
20/63

第20話:最終目的⑨


――国衛隊の増援および警察が到着。


蕎麦屋の店主は、手錠を外される。


エレナは店主を案じる。


「ありがとうございます!大丈夫でしたか?」


店主は、優しくほほ笑む。


「大丈夫よ」




――蕎麦屋からこの場所までは、数百メートル離れている。


途中の道は、とうぜん一本道ではない


見えないし、騒ぎが聞こえる距離でもない。


なのに、蕎麦屋を空けてまで、騒ぎが起こった数分後に この場所に来た。


……つまり、シーナ国のスパイが通行人……野次馬の中にも少なくとも一人はいた。


――私は、常に監視されている――?




エレナと店主は、会話を続ける。


「お醤油が切れて、買い出しで偶然通りかかったら こんな状況だもの。驚いたわ」


嘘だ。


野次馬の中のスパイから、緊急連絡があったから ここに来たんだ。




「でも、エレナちゃん、凄いわ。


あんな遠くから、石を投げて男のナイフを持った手の甲を骨折させるんだもの」


嘘だ。


あの大きさの石・あの速度の投擲では、骨折させる事・ナイフを宙に舞わせる事は……難しい。


石が当たる刹那、貴方があの男に悟られずに瞬間的に前進して、石と 手の甲の衝突速度――つまり衝撃力を飛躍的に高めた結果に過ぎない。




「私も本当に怖かったけど、二人を守りたいから勇気を出したのよ」


──嘘だ!


両手を拘束されたエレナを人質に取られて動揺した私が、実力を出したら一気に警戒される。


それを防いだだけだ。


あなたがその気になれば、あの男の体は一瞬で宙を舞って頭から地面に叩きつけられ、絶命していた。




――あなたは、シーナ国軍で5本の指に入る女兵士・メイフェイ。


私と同じスパイである……と同時に、私の監視役でもあるだろう。


私が私情に流されて、重大なヘマを踏むようなことがあれば、その時は──。




店主は、オウカに視線を合わせる。


「――気を付けてね」


瞬間、深海の暗闇に引きずり込まれたような圧力を感じた。


警告だ。


”絶対に、実力・素性がバレないように気を付けてね”


――という、警告。






――後日、オウカの元にメールが送られてきた。


[平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます――]


差出人は、蕎麦屋の店主だ。


クーポン券が添付されている。


――暗号文。




オウカは、ARレンズが常時接続しているWi-Fiマイコンである、国衛隊支給のベルトへのアクセスを切断。


シーナ国軍から支給された壁掛け時計型のWi-Fiマイコンに、アクセスし直す。


──暗号文が解読される。




[あなたの父親の動向について――


アメルカ国軍、もしくはルーシャ国軍にいる可能性が高い]


暗号文の内容を確認した オウカの呼吸音が、徐々に荒くなっていく――




──もう一文、添えられている


[あなたの正義は、シーナ国の大義の範疇でのみ 許される]




──私にとって


シーナ国の大義、日ノ国侵略は――手段に過ぎない。


目的は、正義は――父親への復讐だ。




黒い夜を、黄金の月光が照らしていた。



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