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I-State(侵略国家)  作者: エス
国衛隊 入隊編
14/63

第14話:最終目的③



――男の右半身に全体重を預けつつ、ほぼ真横になったエレナの身体は左回転を継続する。


同時にエレナは自身の右手を介し、背負い投げの体勢に入ろうとする男の右肘の内側に――”全体重×落下スピード×回転力=驚異的な重さ” という荷重を与えた。


男の右半身にかかる重力が、更に跳ね上がっていく。


右脚で踏ん張ろうにも 上半身が右側に傾いてしまっており、踏ん張るには体勢が不十分――




-ズチャッ!-


地面に顔面から叩きつけられた男は、不細工な逆立ちをしている様な格好になり――直後に 全身が地面に叩きつけられ、これまた大きな音を立てた。


両者が地面に倒れたままの状態――


――間髪入れず エレナの左手は男の右手を小手返しの状態に極め、右手は相手の頭部を固定――右の膝蹴りを叩き込んだ!


びくんっ! と男の身体が硬直した後、だらんっ……と全身から力が抜けた。


――直後、エレナは立ち上がりながら 赤マーカーの消滅を確認したようだ。




その数秒後、男はおぼつかない足取りで立ち上がる……。


ヘッドギアを付けていても、相当な衝撃が男の頭部を襲ったに違いない。


気を失ってはいないが、意識が朦朧としている様子だ。


「オレの動き……に対する相手の動きに、もっと素早く反応し……右脚を外側に出せていれば……踏ん張れた……かも……」


男は、意識が戻ってくると同時に思考している。


自然と口に出ており、独り言を呟いている。


「いや そもそも……パンチも警戒に値する威力・速度がなければ 意味は薄れる……いや……努力量は有限……量を増やし 質を上げ……何かを得るには、何かを捨てなきゃ……」


……まずは、意識を整える事を優先すべきでは?……という突っ込みはさておき、


正規隊員としての矜持が、その身体から醸し出されていた。




――エレナの組手を見ていたオウカ。


徒手格闘の実力は、新米隊員としては中の上くらいか。


エレナは少女として平均的な体格と体重。


スピードやパワーは普通に思えるが、体幹の安定感・身体の深奥まで届く脱力は、特筆すべきものがある。


日ノ国舞踊を習っていたらしいので、その経験が活きている様だ。


(私もカモフラージュのために、祖国・シーナで日ノ国舞踊を少し習った。)


私の低く偽った実力と同じくらいか、少しだけ上……くらいか。


エレナの実力も少しずつ向上しているし、私もそれに合わせて すこしずつ実力を解放していこう。




そんなことを考えていると、ARレンズを通した視界に表示が。


[組手訓練:開始]


オウカは、自分の番が来たので立ち上がった。


――さてと、他国との武力衝突・戦争も起こる兆候もない、つまり戦果を挙げる機会もないことだし、


”少しずつ潜在能力を開花させていく” という体で強さを解放、いずれは同年代のトップに近い位置を得るとするか。


……今週は、勝率7割強くらいでいくかな。


なぜなら――現在のエレナの勝率が、そのくらいだから。

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