0日目 <見えない答えと真実> =2=
Q,何で時間が取れないんだろうか?
A,新人研修とかの準備で手に負えない というわけで期間開いてしまいました。
やっと時間が取れたので投稿を……
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突っかかってきた女をボコボコにしたところまでは明確に記憶がある。
茫然としたところまでは若干記憶がある。
けれども、そのあとの記憶がなかった。
気が付いたら、俺はベッドの上で寝ていた。
「目を覚まされましたか?」
「メリア……さん」
ベッドの横にいたのはメリアさんだった。表情は出会ったときから変わらず無表情だが、なんとなくだけど心配されていたんだと感じ取れた。
「……茫然自失の状態になられていたので、失礼ながらこちらまで運ばせて頂きました」
「ここは、どこですか?」
「医務室です。妹様もこちらに」
まだ意識はありませんが、とメリアさんは続けた。
「ん、妹様っていうのは」
「魔王様の妹のヴェルシア様です。巷では暴力姫、暴君妹などなどと呼ばれるくらい酷く、実力もある性質の悪い暴力的な人です」
さんざんなことを言っているのは解った。というよりもそんなことを言っていいのだろうか?
「暴力姫のことはさておいて……トウヤ様は、何故茫然自失になられていたのでしょうか?差し支えがなければ教えていただきたいのですが」
俺は少し考えようとしたが、あそこで茫然自失となった理由はわかる。
魔王を殴ったときには実感はできなかったことだが、魔王の妹らしい人物を殴ったときにはしっかりと理解できた『自分の異常性』。
普通に考えれば、『あんな威力は絶対に出ない』。魔王を殴ったときに気が付くべきだった異変に改めて気付かされたこととが主な理由だが、相手を殺してしまったと、深層心理のどこかで思ってしまったこともあるのかもしれない。
一時的なものであればいいのだが、もしも一時的なものでなかったらしっかりと受け止めなければならないだろう。
だとすれば、俺は理由を知らなければならない。この世界のことだとすれば、俺一人では解決はできないだろう。
そうだとすれば、自然と答えは出た。
「そうでしたか」
「はい。何か心当たりがあれば教えてほしいのですが」
「すみません。どこかで聞いたような覚えはあるのですが、どこで聞いたか覚えていないのです。覚えている範囲であればわずかですがお話させて頂きますが」
「お願いします」
「解りました。まず妹様の障壁を破ったものについてですが、考えられるものは魔力障壁無効化かあるいは魔力そのものの無効化ですが、魔王様と妹様に攻撃を当てたということは後者の可能性が高いです」
「それは、どういうことですか?」
「魔力障壁は攻撃を緩和、あるいは無力化するだけなのですが、あの方達は障壁だけではなく魔力で身体を守っているのです。が、トウヤ様が殴ったときにはあの方達はダメージを負っていました」
「なるほど。魔力でできた障壁と身体を守るために使用していた魔力を無視した。だから魔力の無効化ということになる」
「そうなります。で、本題はここからなのですが、何の文献に書いていたかまでは私も覚えていないのです。覚えていたら良かったのですが」
申し訳ありません。と頭を下げるメリアさんだったが、俺は気にしなかった。
少しでも解ったということでも収穫だ。そこからさらに調べていけばいい。
そう、思ったのだが答えは身近に転がっていた。
「……恐らく、如何なる魔力を無効化し、頂点に立つものすらも凌駕する、魔族の天敵。かの者、敵とすることなかれ………千年くらい前の経典よ。その経典名前は忘れたけど、覚えているわ」
声のした方向を向くが、白いカーテンによって誰かまで解らない。
「メリアと、あと一人は、私をここまでボロボロに追い詰めた人間、だろう?何もしないからカーテンを開けてはくれないか?」
メリアさんは俺を見る。俺はお願いしますと言い、カーテンを開けてもらう。
そこには、身体のいたるところに包帯を巻かれた俺にボコボコにされた女の姿があった。