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―魔界日記―  作者: 病ネコ
2/6

0日目 <魔界にやってきました> =2=

変態をKOした後に別室に通された俺は、代わりの着るものを要求した後に兵士らしい人から説明を聞いた。

簡単に言ってしまえば、

『ここは魔界であり、侵入不可能のはずの魔王個人の庭園に倒れていた』

ということらしい。

なおこの結論に至るまでに3人(人と言っていいのかはわからないけど)KOした。

1人目は何故か襲いかかってきてボディに一撃によるKO。

2人目は返りうちにされたと知って襲ってきて顔面ストレートにて一撃でKO。

3人目は2人目を文字通りぶっ飛ばしたところ、巻き込まれてKO。

それを見た周りの兵士らしい人たちは真っ青になる始末。

現状を聞くために兵士らしい人を一人捕まえてオハナシ。

助けを求めて左右を見渡す兵士だったが、全員が目線をそらされる。

観念したのか、話を始める。俺が「は?」とか「え?」とか言うと、何故か「ひぃ」とか「い、命だけは……」と言う始末。若干傷ついた。

とりあえず理解はできたところで、無表情のメイドらしい人が俺を呼びに来た。

案内されたのは食堂のような場所。長いテーブルに真っ白なテーブルクロスが敷かれており、テーブルの向こう側には先ほど殴り飛ばした変態が座っていた。

顔面には俺が叩き込んだ部分に湿布が貼られており、とても痛々しく見える。

メイドさんらしい人が椅子を引いて、お座りください、と催促してきたので、椅子に座る。

しっかりと座ったことを確認してから一礼し、俺の後ろに下がった。

一分くらい経ったころだろうか。ようやっと相手から話を切り出してきた。

「貴方は人間、なんでしょうか?」

そう尋ねてくるのは先ほどフルボッコにした変態。

丁寧な言葉となったのは……やっぱりフルボッコした影響なんだろうな、と内心思いながら、

「俺たちの定義ではそうなる」

と答えた。

「う、嘘だろう……そんな、我等は魔族。おまけに我が障壁を二度も破り、俺に重大なダメージを与えるとは……」

ぶつぶつと言い始める変態。

「しかも殴りなれている……そ、そうだ、貴方は、人間なのだろう。身分は?」

「身分?平民で学生。ちなみに他人を殴ったのは初めてだ」

絶句する変態。さらにぶつぶつ言い出す始末。だが、俺は聞かなければならないこと。それは『元の世界に帰る方法』。その方法を聞いたが、「……ん、あ、いや、無理ではないかと」といわれる。

バン、っとテーブルを両手で叩いて立ち上がる。

「どういうことだ!」

「い、いや、落ち着いて、説明します。しますから落ち付いてください!」

乱暴に椅子に座って説明を待った。


…………

………

……


「つまり、人間が行き来するのは事実上不可能。魔族は『契約者』が召喚したときのみ行き来することができる……となれば、俺はどうしてここに来ることができた?」

「それは、正直解りません。原理も解りません。で、ですが来ることができたということは帰る方法も探せばある、はずです」

「断言はしないか。まあいいや、となれば住むところなんか探さないとな……手配は頼めるんでしょう?」

「いえ、客として貴方を迎えたいと思います。人間がこの世界にいるのも問題があるので」

「かもしれないな……解った。その通りにするけど、それが契約ならしない」

契約ではありません。と断言された後に「世話人をつけよう」と一言言うと、後ろに下がっていたメイドらしい人がすっ、と俺の横に立ち、一礼。

「メリア、と申します。貴方様のお世話をさせていただきます。失礼ですが、貴方様のお名前を教えていただきたいのですが」

ああ、確かに、と納得したところで俺も立ち上がり、

「紫藤統耶、と申します」

「シドウ・トウヤ様ですか?ええと、苗字がシドウ、名前がトウヤ、で紫藤統耶様でよろしいでしょうか?」

「そうです。今後よろしくお願いします、メリアさん」

「私のことはメリアと呼び捨てで構いません、シドウ様」

「俺のことも統耶で構いません。苗字で呼ばれることが少なかったもので、名前で呼んでもらった方が楽です」

「解りましたトウヤ様。それでは、お部屋にご案内させていただきます」

俺たちは魔王をそのままに、俺に当てられた部屋に案内された。

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