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プロローグ

夏と奇跡の物語

執筆完了済み。約一週間の集中連載、よろしくお願いします。


 風のない夜。凪いだ水面に少女が足をつける。


 ぴちゃん。


 小さな波紋が広がって、池全体に広がっていく。

 もう片方の足も入れる。波紋がまた一つ。


 脱いだ靴は揃えておいて、裸足で池の底を掴む。一歩、また一歩と進むごとに深くなる水深。パジャマはすっかり濡れ、胸まで水に浸かってしまう。まだ小学生の彼女にとって、この池は十分すぎるほどに深い。

 それでも少女は前へ、前へと進み、ついには池の真ん中にある陸地へたどり着いた。


 そこにあるのは、一つの巨大な岩だ。雨に打たれ、風に晒され、まるで生命のような曲線を持った、不思議な岩。

 人々はそれを〝うたかた様”と呼び、信仰してきた。


 少女はびしょ濡れのパジャマを絞って、地面に膝をつく。額を土にこすりつけるほど下げて、目を閉じた。


「……お願いします。うたかた様」


 たった一つの願いを、叶えるために。


「ナツを助けてください」

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