ターコイズのお願いを叶える
なぜこうなったのか、俺は今一国の王なんかも参加するだいぶ敷居の高いパーティー的なものに来ていた。
「俺こういう場所苦手なのに」
話は数時間前にさかのぼる。
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「今夜、パーティーがあるんですよ。それについてきてもらえませんか」
「えぇ、なんで俺を連れて行くんだよ、俺ほど常識に欠けている奴はいないぞ」
「実は、最近モノゴロアの第一王子が私にお熱みたいで鬱陶しいんですよね」と心底いやそうな顔をする。
「それで、そいつを黙らせるために俺を連れていきたいと。ほかの奴じゃダメなのか」できる限り人の多い場所に行きたくないジンは他の手はないか模索する。
「私の知り得る限りでは、一国の王族に対して上からものを言えるのはジン様だけですからね」
「そんな面倒ごとを起こすつもりはないが、そうか一般人なら流石に国を相手取るとなると簡単につぶされるだろうしな、俺に頼むが賢明か。正直あんまり行きたくないが俺の大切使徒をそんな気持ちの悪い目で見られるのはクソほど腹立たしいしな、一発冷や水ぶっかけにいくか説教しに行くか」
「ありがとうございます、大好きですジン様」と言いそっと寄り添ってくる。
「このタイミングで言うなよ、お世辞にしか聞こえないだろ」
「そんな、本気ですよ私はジン様に初めてを捧げるつもりなんですから」
「この件が解決した後にな」そう言ってターコイズの額にキスをする。
途端に顔が真っ赤になりうつむくターコイズ。
『なんだ、意外とうぶなとこあるじゃないか。安心したよ年相応で、ターコはいつも頑張りすぎるからな』
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そんなこんなで今に至る、あんなに格好つけた手前もうやるしかないという状況に嘆きたくなる。
「行きたくないよぉ、こんなキラキラした人たちしかいない場所は1000年前から苦手なんだよぉ」
「もう、そんな駄々こねてないで行きますよ。ピシッとしてください折角こんなに格好よくしてもらったのに、それじゃあ台無しですよ」と強引に腕を組まれ会場へ連れていかれる。
「うわぁ、すっごい金持ちっぽい人がいっぱいいるな」ギラギラしたアクセサリーを身に着けているものや、いったい生地だけでいくらするんだと言いたくなるような高級なドレスを着ているもの、おまけに上を見上げれば巨大なシャンデリアが煌々と光り輝いている。
「こう見ると、ターコの異常性がよくわかるな」
「どうゆうことですか」と少しムスッとするターコイズ。
「いやぁ、お前を見ているとほかの女性たちが美人に見えない。文字道理格が違うというやつだな」
より一層腕の力を強くするターコイズ「そんなに褒めても何も出ませんよ」
「こうやって、腕を組んでくれるだけで俺はうれしいよ」
「私もです、こうして肌にジン様を感じられることが今でも夢見たいです」
「ところで、さっきから周りの視線が無視できないほど激しいのだが、俺なにかまずいことしてる」会場内に入ってからというもの、周りからの視線がやたらと激しい特に男からの。
「どうせ、しょうもない男どもがまた嫉妬しているのでしょう。本当に自分の身をわきまえろって話ですよ。私を抱いていいのはジン様だけだっていうのに」ぷりぷり怒るターコイズ、大変かわいいのだか、それ以上にほかの男共の視線が痛くてそれどころではない。
ただ、眺めているだけでアクションは起こしてこないところを見ると「ああいう有象無象たちから絡まれなくなったのは、その第一王子の影響か?」
「恐らくそうだと思います、競合他社が出てきただけで尻尾を巻いて逃げていく度胸のないやつらですよ」
辛辣だねぇ王族相手だから無理はないと思うが。
「取り合えず、もう気疲れしてきたから端いって休もう」こんな場所にいたら立ってるだけで気が遠くなってくる。
「そうですね、と言いたいところですが休ませてくれないようですよ」
顔を真っ赤にした豚と人間のハーフみたいなやつがこちらへ向かって一直線に歩いてくる、おそらくあれがモノゴロアの第一王子なのだろう。
いかにも拗らせていそうな見た目をしている、相当な量の脂肪をため込み額には滝のように汗が流れている、しまいには歩くだけで息が上がっている始末だ。
まぁ取り合えず、手始めに奴の解析してみる。
ピーク・モノゴロア 22歳 童貞
学生時代一目ぼれした女に告白したところ生理的に受け付けないといって断られる、あまりのショックで周りにも相談することもできず歪な感情だけが残ってしまった。再び一目ぼれしたターコイズを自分のものにすることで自己を肯定しようとしている。
前文だけを見れば同情できるが、後文がクソ過ぎて同情する気が死滅したな。
「やあ、ターコイズ今日も美しいね。ところで、横にいるその男は誰だい」と荒い息を立てながら訪ねるピーク。こちらを見る目は嫉妬に満ち満ちている。
「私の婚約者です」とさらっと嘘をつくターコイズ。
「嘘だ、君は男には興味はないと言っていたはずだ」二言しか交わしていないのに、もうすでに頭の血管が切れそうである。
『おい、そんなことを言っていたのか聞いていないぞ。道理で男どもの視線が痛いわけだ』
「物事には例外というものが付き物なのですよ」と冷たく突き放す。
何も言い返せずに、プスプス息を荒立てながら停止してしまうピーク。
沈黙が流れた数秒後、その沈黙を破るように一人の男がこのパーティー会場に到着した。
グユク・モノゴロア王が到着した皆の者控えよ。
悠然と歩くグユク王に対し皆が頭を垂れていた、ただ一人ジンを除いて。
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