ターコイズに会いに行く
ターコイズという名にふさわしい鮮やかなターコイズブルーの髪の毛は良く手入れされているようで自身のその美貌をより一層掻き立てている。普段なら美女として扱われるであろう受付嬢たちが見劣りしてしまうほどの容姿、別次元の美しさにその場にいる全員が息をのんでいたただ一人を除いて。
「丁度良かった、ターコイズきみと面会がしたい」
「私にですか?」キョトンとした顔をするターコイズ、こんなにずけずけと突っ込んでくる奴は珍しいのだろう
「そう」
「・・・・・」沈黙の中見つめあう二人、周りの人は二人のオーラに気圧され固唾をのんで見ることしか出来なかった。
『ターコに見つめられるってこんなに見透かされる気分になるのか、流石は稀代の大商人だないい目をしている。』
「ベル、お客様を応接室へ通しておいて。応接室でお待ちください私もすぐにいきますので」
「わかった」
「ご案内致します」
そそくさと立ち上がるベル。ベルに連れられジンは応接室へ案内されていった。
目の前で行われた事象に唖然としている外野を見て一言。
「お騒がせしました」と一礼して奥へと消えていくターコイズを見てある者が一言。
「なんだったんだ」と漏らした。
そもそも、一目見ることができたら業績が上がるなんて噂がたつほど目撃することが稀なターコイズを見ることができただけでとんでもなくラッキーといえるだろうが、今日この場にいたものはそれ以上に珍しいものを見たといえるだろう。
何のアポイントメントも取らずにやってきた男がいきなりターコイズに会わせろと言って来るや否やターコイズ本人が現れすんなりと応接室へと通した。
これがどれほど異常なことかお判りいただけるだろうか、商人たちにとってターコイズの応接室に入るということはそれだけで多大な価値がある、ターコイズに認められたという拍がつくのだ、これはウーランバードの商人にとってこれ以上ないアドバンテージとなる、ターコイズと商談をすることを一つの目標にしている商人も少なくない。
だが、あの男は違った。決していい身なりもしていたわけではないありきたりな服装であった、特別オーラがあるわけではなかった二人が見つめあっている間を除いて、それが異常だとわかっているものは多かったが、どれだけ高度なことをやっているのか気づいたものは少なかった。
「何だったんだ、今の男は」その言葉には、その場にいる誰もが共感した。
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シンプルな椅子が2脚のみの簡素な部屋、これがターコイズ商会の応接室のようだ。
「随分とシンプルだなぁ、机もないのかこれじゃお茶の一つも飲めないじゃないか」
「それでは、失礼します」と部屋を出ていくベル。
「あぁ、どうも」なんか若干切れてたなぁ、ターコイズに怒られるような立ち回りをさせたからかなぁ。
『それにしてもこの部屋すごいな、ノッチのとこより倍ぐらい厳重だぞ』
遮音防音ともに完璧なこの部屋では、時間の進みが遅く感じるとともに不意に本音を漏らしそうになる。
おそらく幻術系の魔法がかかっているのだろうが、俺ですらわかりにくい程カモフラージュが成されている事から、ターコ自身この場所に相当気を遣っているのが分かる、ここは彼女にとっての戦場なのだろう。
「お待たせしてしまい申し訳ございません」そう言って入って来たターコはさっき見た外行きの動きやすそうなく、えっロいドレス姿で現れた。
「どうしたの、その格好」美人がこんな妖艶な姿で来られたら誰だって戸惑う。
「似合いませんか、このドレス」途端にしゅんとなるターコ。
「いや、よく似合ってるよ」誰が見てもこんなの似合ってるって言うだろ。
髪色に合わせたドレスはターコイズ自身の個性も殺さずむしろより一層高めている、宝石が散りばめられている生地は不思議といやらしさは無くむしろシンプルに見える程である、どう足掻いても目がいってしまう二つのお山はど
こと無くエレガントさを演出していた。
「そうですか」本当にコロコロ変わるな表情が、今度はこんなに嬉しそうな顔しやがって全くもってかわいいなコイツは。
「お前もう俺の正体分かってるだろ」
「なんのことですか」
「そんな分かりやすくとぼけるんじゃない、あんまり俺のことを揶揄うなよ」
子供のような屈託の無い笑顔を見せるターコイズ。
「そんな滅相もない。それで、ジン様が直接出向かれるなんて一体何があったのですか」
「あぁ実は、突然の事で申し訳ないのだが、この世界の神という座を退く事になったと同時に元々俺発進であった使途制度も解体することにした、その報告でこうして直接会いに来たんだ、今まで世話になったありがとう」と頭を下げるジン。
「え・・・・・・、どう言う事ですかもうジン様に会えないって事ですか」突如としてターコイズから表情が消える。
「いや、そんなことはない。暫くこっちに居座るつもりだから会おうと思えばいつでも会えると思うぞ」
「そうなんですか、よかったもし会えないんだったら自殺しているところでしたよ」と今度は安堵の表情をみせる。
「冗談でも自殺するとか言わないでくれ、使徒の奴らには心の底から幸せになってほしいと思っているんだから」コロコロ変わる表情に内心ヒヤヒヤするジン。
「冗談ですよ何ですからそんな本気にしないでください、ともかく非常事態が起こったなんて事では無くてよかったです。定期的にジン様のお声が聞けないのは残念ですがこうして直接来てくれたことが何よりもご褒美です」
「あぁそう言ってくれるとこっちもうれしいよ、暫くはこっちで休暇の予定だからな何かあったら呼んでくれ何でも手伝うよ」
「え!!本当ですか、じゃあ早速お願いしたい事があのですが」
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