ブラッドに会いにいく
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ロブスに連れられてきた部屋はウーランバード監獄内で最も厳重な盗聴対策がなされたところだった。
「ちゃんとした場所を設けてくれてありがとう、話し易くてたすかるよ」
「いえいえ、当たり前のことですよ。それより、お話というのは何ですか?」
「いい機会だフゥお前も真面目に聞いてろ、入って早々寝ようとしていないで。っていうかロブスにお礼言えって」
「ほえ、その節はお世話になりました」とロブスに一礼する。
「レイラには後で説明するから取り合えず聞いててくれ」
ふらふらしているフゥを座らせ話を始める。
「突然だが俺は、神という立場から降りることになった、それに応じて俺発信で始めた使徒制度も畳むことにした、今まで世話になったありがとう」
「そうですか、お疲れ様です。表情が落ち着いていたので悪い話ではないと思っていたのですが、とは言え気になっていたのでこれですっきりしました」
「じゃあどうすんですか今後」
「今後は何かしらの形で神の業務に関わることにはなるんだが、今は休暇という名目でこっちに来ている感じだ」
「なるほどです、じゃあ帰るまでしっかり私を甘やかしてくださいね」
「あぁ、もちろんだ。それと、ネズミどうせ個々の会話も聞いているんだろ一つ頼みがある、使徒たちに俺がこっちに来ていることを伝えるのはいいが、代わりにちゃんと全員の所を回るから待っていてくれと伝えてくれ、頼んだぞ」
『正直もうこの空気感を味わいたくないからな』
「じゃあ次はレイラに説明ね」かくかくしかじかざっと俺の人生と神生を語った。
「それは何というか大変でしたね、頑張りましたね偉いです」そう言って俺を優しく包み込んでくれる。
「うわぁ何かすんごい染みるわぁ、レイラに労ってもらうともう何でもよくなるな」暫くレイラを堪能して渋々今日の本題に入る。
「ロブス、ブラッド呼んできてくれ」
はぁ、マジで億劫だなあいつの相手すんの、俺でさえ億劫だと思うってどんだけつえぇんだよ。
「では、お三方は大広間で待っていてください、場所は分かりますか?」
「自分たちで見つけるから大丈夫だ」
「それえでは」と言ってブラッドを呼びに行った。
俺らは早速大広間へ向かう。
「ご主人様、そのブラッドという方はどんな方なのでしょうか」
「何というかな、根は悪くないんだが一言でいうとバトルジャンキーなんだよ。常に戦いに身を置きたがる、相手が強敵であればあるほど興奮するどうしようもない奴さ」
「根は悪くないのならなぜ監獄に収監されているんですか?」
「それは、あいつが国際的に超危険人物認定を受けているからだ、あいつは合計1837人もの人を殺した言わば殺人鬼だなそんな奴を受け入れてくれるようなところは監獄しか無かったってことだな」
「そんな人とご主人様は今から戦われるのですか」
「そう、結構いいもん見れると思うから期待しててよ、レイラもフゥも」
「うん、楽しみにしてるねぇ」
「どうかお怪我だけはされないでください」
「任せろ。っとここかな大広間は、二人はちゃんと端にいろよもしもの時はレイラを守ってやってくれよフゥ」
「任せてよ」
やっと来たようだ、この殺意をむき出しにしている感じずっと変わっていないようだな。
「え・・・」レイラは言葉を失ったこれまでの話を聞いていた限りでは強面の狂気に満ちたような男が来ると思っていた、しかし、実際ロブスに連れられてきたのは小柄な少女だった、想像とのあまりの差異に頭は困惑しているが、あの子がジンの言っていたブラッドであることは疑う由もなかった、その小さい体格から溢れんばかりに放っている殺意のオーラ、こんなものを出せる者がポンポン生まれたら世界が破滅してしまうだろう。
「ブラッド今日は本気でやっていいぞ」と発破をかけるロブス。
「ほんとっ!!!」と万遍の笑みを見せる。
「あぁ、本当だどっからでもかかってこい」
この一言から戦闘が始まった。
『血液凝固:ブラッティサイズ』血液で作られた鎌がジンを襲う、その小柄な体格からは考えられないほど重い一撃を村正で難なくいなす。
そのいなされた勢いのまま胴回し回転蹴りをお見舞いする、その間約0.1秒素人目には何が起こったのか分からなかっただろう。
ジンはその蹴りを掴み上にぶん投げる、上空に投げられたブラッドの顔はこの上なく楽しそうであった。
『血液操作:ブラッティチェーン』その鎖を壁や地面に刺すことで空中制御を可能にする、地面に刺した鎖を掴み急降下する、その勢いを殺さないように壁に刺した二本の鎖でベクトルをジンの方に向ける、まさに神速の一撃。
そんな異次元の戦いを見たロブスは自分んが如何に手加減されていたかを知った。
「おらっ!!」気迫の籠った一撃かと思いきやさっきのような重さはない、そう、ブラフである『血中操作:ブラッティドール』神速の一撃を餌にして背後からジンを襲う。
「まだまだだなぁ、ブラッド」背後からの一撃を辛うじて素手で受け止める、そのまま力の限りブラッティサイズを握り砕く。
「今度はこっちから行くぞ」
ブラッドは初めてだった、自分が本気を出してなお圧倒的な力の差を感じたのは、これほどまでに嬉しいことが未だ嘗てあっただろうか、否有る筈がない。
なんせ彼は、この世界でたった一人の神なのだから。
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