神様の業務委託~1000年間の労働に耐えた男、はれて異世界を謳歌する~
~1日目~
どうやらあのマッチョの仕事場に飛ばされたようだ。
「まぁ、これからだろうなぁ」目の前には置手紙と毒々し赤い液体が置いてある。
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←これ
僕の血液を人間が吸収できるように配合したものだヨ。
これを飲めば半神化できるヨ。
これで君も神の仲間入りだネ。
飲まないと餓死して死ぬから強制だヨ。
半神化したら早速業務開始だヨ。
マニュアル作っといたから頑張ってネ。
追申:神になったら食事も睡眠もいらなくなるからずっと働けるヨ。
あと魔法も使えるようになるヨ。
ハーディより
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「つくずく腹が立つなぁ、あのマッチョは」
あのマッチョは書き言葉になると語尾がおかしくなる特性を持っているらしい。
食事も睡眠もいらないとかマジで人間じゃなくなるんだなぁ。
とにもかくにも、この毒々しい液体を飲む以外俺に選択肢はないようだ。
全くもって理不尽な話である。
はぁ~しょうがない飲むか。
「気合いだ、気合いだ、気合いだ、気合いだ、気合いだぁぁぁぁぁ!!!!」
ごっきゅん
「がぁぁあ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛!!!!!」
業務一日目:気絶により終了
~3657日目~
「あぁ、暇だ~~~~~~~」
流石に業務にも慣れてきた今日この頃、自堕落な生活をおくっていた。
イレギュラーなことが起こったとしても10分程度で対応が終わる。
魔法というものは大変便利なものである。
「早く帰ってこないかなぁ、あのマッチョ」
~20348日目~
この頃、イレギュラーの発生回数が急激に増加していることに気づいた。
「どうゆうことだ」心拍数が上昇知っているのが分かる。
俺はあまりにも平和ボケしすぎていたようだ、落ち着け、こういう時こそクールにだ。
思考を巡らせろ黒崎迅「そうだ!!マニュアルがあるじゃねーか」俺は急いでマニュアルを開いた。
どこだ、どこにある確かこの辺にその他ってあったはずなのに。
焦る俺の手は自分でも驚くほどに震えていた「あった!!!!!!!」
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下界に干渉しすぎるのは危ないゾ
そもそも、この世の理から外れている僕らみたいな上位存在が干渉しすぎると下界側は耐えきれなくなって常識が変わってしまうヨ、普遍性が普遍的ではなくなってしまうということだヨ。
つまり普通が普通じゃなくなってしまう、太陽が西から昇る東に沈むなんてことが起こり得てしまう。
そんなことになれば起こるすべての事象がイレギュラーに成りかねないし、最終的にはこの世界が崩壊することになるから注意してネ。
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原因は分かったことに若干安堵したが、しかし問題はまだ解決していない。
どうしたもんか、大っぴらに干渉することができなくなってしまった。 イージーモードだと思っていたらハードモード超えてインフェルノになった気分だ。
「なんてこたぁ」こんなことになるならちゃんとマニュアル読んでおけばよかった。
~28734日目~
「よっしゃ~~~」
8386日にも及ぶ試行錯誤の末イレギュラーに対応しつつ発生回数を減少させることに成功した。
「使徒制度思ったよりうまくいってよかった~。一時はどうなるかと思ったわぁ」
【使徒制度】
生態系のトップに君臨する生物の中からイレギュラーに対応できうる個人に直接干渉することで干渉率を約1/100000に抑えるというものである。
「我ながら上出来だな、人材発見がネックなのは否めないが」
今回の場合はあまりにも緊急事態だったため、即戦力の人材を積極的にスカウトしたがこれは応急処置にしかならない。
現状イレギュラーに対応できるような実力者は等しくある程度の権力や立場を持っている、そんな奴らが好き勝手に動いたらそれこそ世界の均衡が崩れかねない、そんなことしたら本末転倒もいいとこである。
今の俺が見つけるべき人材は将来性のある金の卵だが、一々全員のステータス・スキル構成・取得可能スキル・潜在能力はマストで確認しなければならないし、それに加えて目を付けた人材が成長できうる環境にあるかなど、採用基準が高すぎて見つけるのにありえんくらい時間がかかる。
たとえば、一回5分だとして一日最大でも288回、当たり前だが他にもやらなければならない業務もある、一日200が限界の数字である。
「あぁぁぁぁぁ!!!、問題が山積みじゃねかよ~~~~~!!!!」
~58779日目~
「よっしゃあ~~!!!!成功だあぁぁぁぁ!!!!」」
あまりにも長い道のりだった、何度やるきなくしてふて寝したことか、やけ酒が止まらない時もあった、こっそり下界の風俗にもいったまじで気持ちよかった。
苦節30019日年数にして約80年、数多の困難を乗り越え神の業務の全自動化に成功した。
使徒制度に関しても足切りのラインを設定し効率よく判別できるシステムを構築した、このシステムのおかげで一日多くて10人、平均すれば2~3人確認をするだけで業務が終了するようになった。
あくまで副産物なのだが、業務を自動化するうえで使用した魔法に対する造詣が深まった。
~365000日目~
「いい加減飽きてきたなぁ」
今や神の業務の自動化システムはver.683.02、正直アップデートしすぎな気がする。
俺は仕事することがほとんどなくなってから頻繁に下界に遊びに行くようになった。
下界にいくようになって気づいたのだが、前の世界が常識だと思っている俺からするとこの世界は文明の発展がとんでもなく遅い。前の世界では、戦争や流行り病などで文明が急速に発展するようなターニングポイントがいくつもあった。しかし、この世界はそういった発展の芽を事前に摘んでおくことが仕事とされている。まあ、担当している神の方向性の違いのようなものなのだろう。
それにしても、あのマッチョ神に業務委託されて1000年、もう顔も思い出せないのだがいつになったら帰ってくるのだろう。
「ただいまぁ~」
久々に聞くこの腑抜けた声、普通なら怒るはずなのだろうが不思議と肩何が下りた感覚だった。
胆力には自信があったのだが、さすがに精神的にくるものがあたのだろう。
「随分と長いバカンスだったな」
「久々にいい気分転換になったよ~」
「そらぁ、良かったな羨ましい限りだよ」
「そんなことより、俺は今後どうしたらいいんだ」
1000年ほどこの仕事をしているが、自動化が実現してからというものそれなりにいい思いをさせてもらっている。
なんせ、下界では大抵のことは思いどうりになる、さすがに頭おかしいぐらいデカい豪邸を作ったり、ダンジョン都市のダンジョンをクリアしてしまうなんてことわできないが、まあまあいい思いはさせてもらった。君は用済みだからと言われて殺されても正直文句はない。
1000年後の地球なんて想像も出いないし正直帰りたくない、今との不自由さのギャップで頭おかしくなりそうだ、もう魔法なしでは生きていけない身体になってしまっているのだ。
「用済みだし、殺すか?」なんだかんだ殺すのが一番手っ取り早いだろう。
「そんな物騒なことしないよ~、正直ね僕たちも結構驚いているんだよね、普通1000年も一人で仕事し続けることのできるなんて頭おかしいでしょ~。そんな頭おかしい人材を逃すわけにはいかないと思ってね、さっき直接上司に掛け合ってみたんだよね、それで、正式に君を神として雇用することになりました~。」
「ん?それは喜ぶべきなのか?」
「まぁ、人間から神に昇格したわけだしよろこぶべきなんじゃない?」
「そうか、ってことはあんたも元人間ってことか?」
「そうだよぉ~」
「じゃあ、横にいる美人さんは人間時代からの嫁さんってことか?」
「大正解~」
「そうか、なあ、一つわがままを聞いてほしいんだがいいか?」
「いいよ~」
この仕事をし始めてからずっと思っていた夢をかなえる時が来たようだ。
この年になってこんなにもわくわくするものなのだろうか。
「俺が1000年間管理していたこの異世界を一人の人間として謳歌させてくれないか?」
これは、主人公 黒崎迅が1000年の労働に耐え晴れて異世界を謳歌する物語である。
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