王宮へ行く
「もう、どうやってここに入ってきたんですか」
「ちょっと、胡麻化して」
「もう普通はできないんですよそんなこと」呆れた顔で見てくる。
「どうやって、中心地に入るんですか」
「ん~~、よし、グユクを呼ぼう」
あまりにも安直な答えに頭を抱えるターコイズ。
そんなターコイズを尻目に一人で行動を開始するジン。
『召喚獣:光電書鳩』
戦闘能力はDランクそこそこしかなが、ずば抜けたスピードを持つこの鳥は伝言役に関しては右に出るものはいない。
頭を撫でてやれば気持ちよさそうに頭を擦り付けてくる。
「よしよしいい子だ、それじゃああのでっかい建物にいる一番偉そうなおじさんにこの手紙を届けに行ってくれ」
残像を残しながらジンの手から超速で飛び立つ光電書鳩、目にもとまらぬ速さで王宮内に侵入し5秒もしないうちに出てきた、そこから一直線にジンのもとへ帰ってくる。
「ご苦労さん」そう言いながら撫でるとまた異空間の中に帰っていった。
「何ですか今の!!」さっきまで呆れていたターコイズは、こんどは興味津々になって俺に聞いてくる。
「あの子は、俺の契約している召喚獣の一人、光電書鳩っていって元々は魔界に住んでいるのだが俺が直接行って連れてきた」
「えぇ、魔界の生物何ですか!?じゃあこっちで利用することはできそうにないですね」としゅんとする。
どうやらこいつは億万長者になった今でもまだ金儲けをしようといているらしい、ハングリー精神の豊かな奴だ。
「魔界に住んでいる奴らをこっちで商業利用するのは不可能だと思うぞ、なんせあいつらはそろいもそろって知能が高いからな、明らかな実力差を見せつけてやらないと従順にならないからな」
「そうですか」とまたしょんぼりする。
そんなこんなで、各国の権力者の集う中心部の検問までやってきた。
検問所では突然のグユク王の訪問に所内はてんやわんやになっていた、所長室では緊張している所長とそれ以上に心臓を高鳴らせているグユク王が対面していてまさに地獄絵図となっていた。
「つきましたよ、ジン様起きてください」
その元凶であるジンはというと、検問に来るまでの道中ターコイズに膝枕をしてもらい甘美な睡眠を楽しんでいた。
「気持ち良いなターコイズの膝枕は、これなら何時間でも寝られるな」
モチモチの太ももに上を見れば立派なふたつのお山が視界一杯に広がる、おまけに女性特有のあの良い匂いもめちゃくちゃする、これは個人的にまたやって貰おうとジンは強く誓った。
「ほら、いきますよ」とターコイズにつられ馬車を出る。
少し心配していたターコイズだったが検問所が見たことないぐらいてんやわんやになっているのを見て、その心配も杞憂に終わったことを知った。
「おぉ、あっちはもう着いているみたいだな」そんな中でも平常運転のジン。
「これ、そうするのが正解なんでしょうね」
経験したことのない事態にしどろもどろのターコイズを尻目にどんどん進んでいくジン。
休憩中なのか、途轍もなくげんなりしている職員を捕まえてグユク王を呼びに行かせる、顔面が紫色になりながらも休憩を続けるわけにもいかず走り出してい行った。
「ジン様はこういうのに慣れているんですか?」と隣でボーっとしているジンに聞く。
「え、初めてだぞこの国に客人としてくるのは、まあ別に悪いことをしている訳じゃあないしなこそこそしている方が疑われるだろ」と言いながら堂々とボーっとしている。
そんな、ジンとは正反対にこそこそと急いでこちらに走って来る者が一人、昨日の一件から全く眠ることもできずストレスから胃が痛くなりジンに呼び出されるまで寝込んでいた、ここモノゴロアの現王グユクであった。
「たいへん首を長くしてお待ちしておりました、ささこちらへ馬車を手配しおりますので」
いつになく低姿勢のグユク王を見て、今ここにきている人物はグユク王よりも立場が上であると認識した所の職員たちの行動は迅速であった。
当たり前に検問をパスしていった先にはもうすでに馬車の準備がされていた、外装にはふんだんに装飾がなされており一目で普通の馬車ではないことが分かる、おそらく王族専用車なのだろう。
そんなことも関係なしにずかずかと乗り込むジンとそれについていくターコイズ。
「おい、早く乗れよ出発できないだろ」
未だかつて一国の王にこんなにため口を使うやつがいただろうか、検問所の職員たちはそろいもそろって口をあんぐりと開けてたまま停止していた。
王宮までの道中もターコイズの膝枕で熟睡するジン、取り残されたグユクとターコイズは気まずい時間を過ごしていた。
なんやかんやで、王宮の応接室まで通されたジンとターコイズ。
「ジン様が寝るから私滅茶苦茶気まずかったんですからね」
プンプンしているかわいい。そんなプンプンのターコイズを宥めていると、着替えを済ませたグユク王がやってきた。
「今日はいったい何の用で」グユクの心情としては気が気ではない、知らないところで自分の息子がとんでもない人物を怒らせていて災難があった次の日に、その怒っていた人物が訪ねてきたのだから
。
「そんな怯えなくていいよ、もう怒ってないから」
これが本心なのか建前なのかわかりかねるグユク。
「ジン様それわかりにくいですよ、半分ぐらいまだ怒っているように聞こえます」と助け船を出すターコイズ。
「本当に怒ってないから大丈夫だよ、でもまたターコイズに何かしようとしたその時はただじゃ置かないからな、そこは覚悟してろよ」笑顔でも目が笑っていない
「はい、息子にも厳重注意しておきます」グユクは未だに肝を冷やしている。
「それと、本当は怒ってないよって言いに来るだけの予定だったんだけど、一つお願いしてもいい?」
「何なりと」
「俺のステータスカードを作ってくれないか」
「あぁ、そんなことでしたら今すぐにでも部下に準備させますね。お~いマーティン用意してくれ」
音もなくその場から消えるマーティン流石王の側近相当なやり手のようだ。5秒もしないで戻ってきたマーティンに手には巨大な水晶の乗った台が持たれていた。
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