act.1 出会い
初めまして。
吉田 春と言います。
高校一年生で、部活をしながら合間を縫って投稿しています。
小説を書くのは初めてで、内容もありきたりだし、文章も雑な作品ですが、少しでも多くの方に読んで貰えれば嬉しいです。
「今日もまた一段と暑いなー。」
天木の声が屋上に響く。
今は美術の時間だから、また俺達
はいつもみたいに屋上でサボり。
とりあえず「ああ、そうだな。」と
適当に返事をしておく。
「こういう日はプールにでも行っ
て、涼みながら可愛いコを捜すに
に限るなー」
「そんな下らないことを考えてな
いで、少しは高校受験のこと考え
たらどうなんだ?」
もっとも、一緒に授業サボってる
俺が言えたもんじゃないが。
「高校か、もうそんな時期なんだ
なぁ。ついこの間まで遊ぶ事しか
考えてなかったのになぁ・・・・」
人生なんて大体そんなものだろう。
気付いたら高校生になり、大学生
になり、大人になって、爺さんに
なって、死んでいく。この100年
程の間に出来ることなんて、たか
がしれている。
「そういえば天木はもう高校決めたのか?」
「実は俺なぁ…」
と言ってうつむいたまま黙る。
なんだ?普段は一日中騒がしくて
遊ぶ事と女の事しか考えてないこ
いつが、こんなに黙る姿は初めて
見る。
「何だ?行ける高校が無くなったか!」
「そうじゃねーよ。」
天木はそう答えて顔を上げて言った。
「俺、C組の如月の事が
好きなんだ!!!」
「あっそう、頑張ってね〜。」
「待てよ魅空!もっとツッコむ事あるだろ!」
そう言いながら帰ろうとする俺の足にしがみつく。全く、情けない姿だ・・・・
「お前が告って成功したことがあるか?」
「今度こそは本気なんだって!だから高校も如月と同じとこに行きたいんだ!」
「んなのOK貰ってから言えよこの大バカ・・・」
天木とは15年間の付き合いだが、こういうところは15年経っても全く変わってない。
「だから俺は今日告るのだ!全身全霊をかけて!」
「うん、頑張って。親友として応援してっから。」
もう面倒になってしまった。帰りのHRもあるし。
そう思って屋上の扉を開けようとした。その時だった。
バタン!
俺が開ける前に扉は開き、向こうには一人の女が立っている。
「あれ、先客が居たのかい?来るの遅かったかな〜。」
ショートヘアーで、スカートはやや短め。セーラー服が物凄く似合うその姿は、一度見たら忘れられない。
「噂をすれば陰、ね。よく言ったもんだ。」
その女は如月だった。我が校のアイドル的存在であり、先程も言ったが天木が好きな女である。
「如月さん!」
物凄い勢いで如月に近付く天木。
如月は平然と立ち尽くしている。
「俺、如月さんの事が・・・・」
天木が言いかけた時。
「ゴメン無理。」
天木の渾身の告白を両断するかのように、見事に断られた。
今まで天木のフラれっぷりは幾度となく見てきたが、こんなにバッサリ斬られたのは初めて見た。
「あたしねー、他に好きな人居るんだ。だから無理。」
へぇー、如月にも好きな奴が居るんだな。意外だ。
ほぼ精神崩壊している天木が、うめき声のような声で言った。
「誰が・・・・・・誰が好きなの?」
質問する天木に向かい笑みを向け、如月は「知りたい?」と言った。
確かに俺も気になる。如月が好きになるなんて、どんなイケメンか、素晴らしい奴なんだろうか。
「あたしが好きなのはね・・・・・」
変にタメを作ると、こっちに向かってゆっくりと歩いてきた。そして俺の前で立ち止まり、学園のアイドルは甘い声でこう言った。
「あたしが好きなのは、日向井 魅空君。あなたが好きです。だから、あたしと付き合って下さい。」
「・・・・・・・・・」
「へ、俺?」
如月は小さくうなずく。
何も声が出なかった。いや、出せなかった。
まさかこの日の出来事が、俺という人間を変える事になるとは・・・・