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詩帖拾遺  作者: 坂本梧朗
1990年代

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その36 軛   睡眠列車

  (くびき)

              

疲れている

とくに神経が


それはもう

かなり前から


持病の悪化も

予感している


勤めをやめるのが一番なんだが


それでメシさえ食っていければ

他人に頭を下げずに暮していければ


定年を過ぎて

働かなくても十分食べていけるのに

なおも職場に執する人もいるが   

むしろ

ムカつく


勤めをやめれば

生計だけか

失うものは


妻に対する立場

親戚の目


ハハ

生計を失って

どうして暮していける

所詮は


鉄より堅い鎖が

俺を軛に繋いでいる




   睡眠列車

               


この国の労働力人口の縮図のよう

勤め帰りの人々が

ずらりと向き合って

眠っている


他人の顔に

視線を当て続けるわけにもいかず

目を閉じれば

するすると釣瓶のように

疲労が眠りに落し込んでしまう


連なる歪んだ寝顔

在ることに堪えるように

眉根を寄せ

堅く目を閉じている

不意の脱力が葛藤を絶ち

仰向けに口を開けたまま 

埴輪の顔となった者もいる


若者たちの小グループが

うわずった

ざらついた声をあげ

蜂の巣の中に

のめりこもうとしている


ほんの数人が目を開けている

どこを見ているのかわからない

虚ろな目を










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