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その31 お前になにがわかる テレビ型知識人
お前になにがわかる
〈お前になにがわかるか〉
印象深い言葉だ
全滅する戦いを
数時間後に強いられている
兵士が口走る
置かれた運命は同じでも
兵士各々の心事は異なるから
〈お前になにがわかるか〉
しかし平時でも
心そのままが
理解されることはなかった
稀な偶然をのぞいて
〈お前になにがわかるか! 〉
だから自分で噛みしめるほかはないのだ
自分の歴史は
するとふと
思えることもあるかも知れない
あの時はあれで
あの人は十分に
わかってくれていたのだ
と
テレビ型知識人
唇の動きから
伝言を読み取り
次の人に伝えるゲーム
伝える人の顔を
まともに見ればいいのに
正面からは見つめられないのか
ニヤつきながら
横目で見ている
彼のところで
伝言は大きく狂ってしまう
人気タレントの身内がいて
七光りか
テレビによく出る大学教授
最後の人から逆順に
理解・推測した伝言を
声に出していけば
哄笑を浴びる大間違い
間違いの張本人まで戻ってくると
横目使いで
伝言は俳句らしいと察した教授は
さっき伝えた童謡の一節はどこへやら
初めからそうだったとばかりに
五七五の節のある言葉を
しゃあしゃあ




