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詩帖拾遺  作者: 坂本梧朗
1990年代

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77/295

その16 郷

   (さと)


義母(はは)が聞かせてくれた話を一つ)


前の家の一人息子は

ニューギニアへ

看護兵として出征して

消息不明になったんよ


(ニューギニアと言えば

 十六万人もの日本兵が死んだ島だ

 そのうち十万人ほどは餓死だった)


あそこは

娘ばかり四人いて

ようやく生まれた男の子だったんよ


召集された時

もう結婚していて

子供も二人いた


おいさん(父親)は気が気ではなかったんやね

もちろん生きて帰ってほしかった

いろいろな計画や段取りがあった

おいさんの髪は

数年で真っ白になったもんね


戦後

息子の上官だった軍医が

村に帰ってきた

ほら、○○さんのおじさんよ、病院やってる

おいさんはすぐ息子の消息を訊きに行った

軍医は風呂に入っていると言われた

待っていると袴をつけて出てきた

息子は栄養失調のため

病院で死んだと告げられた

うん、本当は山の中かどこかで餓死したんやろ

そんときは黙って帰ったんやろうけど

おいさんはそれから恨んだよ、○○のおいさん(軍医)を


「こっちは必死の思いで訊きに行っとるのに

 人を待たせて袴などを付けて出てきて

 木で鼻をくくるような話をして

 すぐ出てきて

 こうこうこうだったと

 納得できるように説明してくれたらどうなんか

 向こうから知らせに来てもいいくらいやぞ」


でもね

○○のおいさんはおいさんで

構えが要ったんやろうね

どう伝えたものか

自分が生還しとるやろ

後ろめたさもあったと思うよ


前のおいさんも家族も

それから○○の病院には

絶対かからんもんね


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