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詩帖拾遺  作者: 坂本梧朗
1990年代

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76/295

その15 唇をついて


例えば

「マァドォーヲヒラァケバー」という(ことば)で始まる

テレビ番組のテーマを

「マァドォーヲヒラァカナイー」と唄う

「サヨナラハワカレノコトバジャナクーテー」というポピュラーの出だしは

「サヨナラハワカレノコトバデスー」と唄う

歌は展開の発端を失って

そこで終息する

始まった途端に終わるということが

何とも滑稽で皮肉で

私の心情にとても合っていたのだ


「キミノーユクーミチハーキミノーユクーミチダー」

とか

「ケンヲトッテハニホンデニバン」

とか唄い変えるとき

途端に無機化する歌の叙情が

面白くて痛快で

世の中に復讐してやったような気分で


三十代

よくやってました

こんなことを


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