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その15 唇をついて
例えば
「マァドォーヲヒラァケバー」という詞で始まる
テレビ番組のテーマを
「マァドォーヲヒラァカナイー」と唄う
「サヨナラハワカレノコトバジャナクーテー」というポピュラーの出だしは
「サヨナラハワカレノコトバデスー」と唄う
歌は展開の発端を失って
そこで終息する
始まった途端に終わるということが
何とも滑稽で皮肉で
私の心情にとても合っていたのだ
「キミノーユクーミチハーキミノーユクーミチダー」
とか
「ケンヲトッテハニホンデニバン」
とか唄い変えるとき
途端に無機化する歌の叙情が
面白くて痛快で
世の中に復讐してやったような気分で
三十代
よくやってました
こんなことを




