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その38 視野 彼
視野
無機的自然から
生命的自然へ
そして
意識的自然
つまり人間へ
自展自発する
物質の進化
この身は
宇宙進化の
突端
だが
どこから始まり
どこに至るのか
そして何のために
地面にころがる
同胞の石ころと同じく
人も知らぬのだ
ただ
太陽が燃えるように
地球が回るように
人は人を生み
人の生が始まる
その生は
肉体と精神に起因する
苦痛に満ちている
彼
彼は
心ならずも
混乱を惹起した
彼が〈生活〉に当てる
理性の光が
疑惑をまきおこしたから
〈このような生活〉
への疑惑
〈このように在ること〉
への不審
何かがおかしいのではないか
彼が
さもなければ
〈このように在る〉
自分自身が
疑惑が人々を覆った
不安に耐え得ない者は
彼を排除しようとさえしたのだ




