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その29 種子をいたむ 生存
種子をいたむ
伸びないだろう
養分を
断たれているから
周囲にあるのは
喉絞めつける
殺風景な風
だけ
専ら抵抗のために
費消される力
独自の結実へ
向かう余力なく
老いるだろう
一つの種子のまま
勇気がなかったから
しかし
勇気があれば
十分だったろうか
生存
明日が
不安で
たまりませぬ
何とも
自信が
ございませぬ
苦悩を
生み起こす
己をぶらさげて
綱渡りのような
朝から夕を
まったく淋しい心で
まったく寒い心で
過ごしておりまする
何とみじめな私でしょう
こんなに情けない自分だとは
何と悲しい人々でしょう
私の周囲の人々は
家のドアを閉めた時
ふっと寒気がありました
過ごしてきた時間を思って




