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詩帖拾遺  作者: 坂本梧朗
1980年代

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その8 理髪店心象


椅子に座る

今日はあの娘が後ろに立つ

椅子の背が倒れる

目を閉じる

柔らかい手指が顔に触れる

そのときがきた

安らぎに身体が伸びる 眠りが近づく

が あの覚醒

〈あのまま眠り続けていられたら〉

自分に蹉く

彼女につまずく

剃刀がノドを上下している

〈生唾を呑みこむことで緊張を知られたくないが〉

生唾をのみこむ

〈寝てしまえ、リラックスしろ〉

コワバル心の糸をたどれば

ドアの外にニチジョウが蹲っている


洗髪

耳の後ろを流れ落ちる湯

撫でる手の優しさ

〈この手に口づけたい〉

吐息 眠気の甦り

〈そう このまま眠ってしまえ〉

その身構えのために

再びコワバリが始まる


休めぬ頭が

ラジオの歌謡曲にひっかかる

歌詞についてあれこれしゃべる

あ 耳殻を耳かきがこする

〈この快に身をあずけよ〉

耳に集る神経

ただ固いものが耳をこすっているだけだ


マッサージ

可憐な容姿を裏切る指先の力

好意を感じさせるほど巧緻な力加減

しかし安らぐにはすでに

この椅子の上のときも終ろうとしている


〈許しておくれ あなたの優しい手指の下でさえ 私は融けなかった〉


椅子から降りる

薄明の世界が足許へ脱落する

開けられたドアから

コワバル日常が殺到する


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