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その6 冬 瞳
冬
窮地の冬は
剰余の削ぎ落しを命じ
決別を遂行し続けた主体は
蒼ざめた機械人形として
日を迎え送っていた
削ぎ落された俺が
ふらりとふり返り
さよならと手を振る
二つの人生を
奇形にも生きようとするのか
そうじゃない
見ていてくれ
反論の言葉が
寒い風洞のなかで
白い息となる
瞳
それは切なく見つめている
けっしてそらさない瞳で
小さな不器用なしぐさの合図で
あなたはそっぽを向いている
たまに顔を向けても
べつのところを眺めている
あなたは通り過ぎる
ひとりぽっちだという顔をして
それは悲鳴をあげる
見つめ続ける姿勢が
崩れたとき
驚いてあなたはふり向く
そして知る
自分を見つめる瞳があったと
それが今は失われたと




