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その13 冬の木 旅 (一)列車の窓
冬の木
風が頬に痛い
職を求めて
私は歩いていた
と
冬の木が
黒く
そびえていた
葉を落した幹に
深い亀裂の入った
枯死した
梢を見上げると
遠い日がゆれていた
急ぎ足で
歩き過ぎた
旅 (一)列車の窓
あなたはきっと
思ったにちがいない
僕はいつも
何かに追われていると
たっぷり
生きられないのだと
僕は今
北の国を旅して
雨に濡れる
列車の窓から
サイロや牛や
草原や山を
眺めている
これは
まどろみからの
何度目の覚醒
目覚めるたびに
あなたの瞳が近づき
僕の貧弱な人生を
ぽっかりと映し出す




