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詩帖拾遺  作者: 坂本梧朗
2000年代

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126/296

その23 国家独占資本主義   「市民」について

   国家独占資本主義

                        

彼らが「国」と言うとき

「国」はないと応えろ

人々がいるだけだ


働く人々が

生み出した富を

収奪できる者が

遂には国政をも掠め取る

という仕掛け


彼らは臆面もなく

「正義」と言う

利の追求を


「国家」には

「神聖」がつきまとう

醜悪な行為には

美しい覆いが欠かせない


彼らが「国」をふり回すとき

「国」はないと応えろ

人々がいるだけだ

世界を支えている

働く人々がいるだけだ


彼らには

「国家」が必要だ

私利の素面では

とても表は歩けないから




  「市民」について

                    

君は普段自分を

なんと意識しているかね

夫、妻

父親、母親

息子、娘

それとも

サラリーマン、商売人、労働者

その上に〈しがない〉とか〈不甲斐ない〉とか

形容詞を付けるのは勝手だが


君は自分を

「市民」と意識することはあるかね


「市民」とは

血縁地縁の利害や興味を超えた

広い社会に関心を持ち

政府権力や大企業の判断に付和雷同せず

自分自身の意見を持って

自らが生きる社会を作り守る者であり

その権利と義務と責任を

自覚する者だ*

それは

ヨーロッパの市民革命にルーツを持つ

近代民主主義の申し子であり

理性と自由を堅持した

独立自尊の人間だ


市民革命など

経験したことのない国で

「市民」の存在の可能性が

法的にはほんの半世紀前に生じた国で

「市民」の姿など

まばらにしか見かけない国で

己の抱く人間理念の本質的な部分が

「市民」と重なる人間であることは

不幸か幸か


とは言え

やはり

言うべきなのだろう

民主主義が

人類普遍の原理である限りは


必須の課題ではないか

「市民」であることは

「市民」となることは


   


   *この「市民」の理念は基本的に日野啓三「『市民』のイメージ」による。本作品はこのエッ   

  セイに触発されて書いた。















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