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その12 寡婦
結婚して
何年
あん人はおったか
二十七の後家
女一人で
生きてきた
駅弁売り
二十年
張りがあった
よう働いた
気がついたら
息子がぐれとった
金やって
外食ばかりさせたから
そう言われた
うちは
外に出るのが好きやけん
皆としゃべって
買物して
ごはん食べて
ちょっとお酒のんで
そいでか
会社まできて
金せびる
打ち叩く
追い回す
家ん中
何にもなくなっとった
退職金
二百万
それ持って
うちは逃げた
――も
もう大人やから
突き放したがいい
あんたがおると
いつまでも甘える
肩身せまい
親戚の家の家政婦
寝たきりじいちゃんの世話
二月後
息子の傷害事件
知らせてきた
―刑務所に入ることになるやろう
居場所二度かえた
続かんのよ
また
親戚の家に戻ってきた
もうすぐ
息子が出所する
うちも
この家を出よう
どうなるあてもないけど
息子と一緒に
暮してやりたい
出べすけの虫が
また動きだしたと
この家の人
陰口するやろな




