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詩帖拾遺  作者: 坂本梧朗
2000年代

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116/296

その13 退職


競馬の話と駄洒落しか

口にしなかった彼が

三十八年の勤めに

ピリオドを打つという


偉そうなことは一切言わず

卒業生を送る言葉も

「俺のような人間にはなるな」


「人畜無害」がモットーで

誰とも対立せず

といって

気が合わない人とは

口をきかなかった


酒場が好きで

マイクを握れば

玄人裸足の演歌を歌い


いつも磨かれた靴を履き

洒落た服を着ていた

ダンディズム            


退勤時間になると

「ズラかります」

「こんな所に長居は無用」

とサッと職員室から出て行った


ズラかり続けて

定年を越え

嘱託教諭となる長居

四十年の節目まで

勤めるつもりだったと

悔しそうな顔をした


退任式の日

彼は姿を見せなかった

「ヘソを曲げたんだ」

と言った教師は

「あの男のつまらんところだ」

と吐き捨てた


春休みに入って

彼の挨拶状が

職員室に張り出された

退任式には持病の腰痛で欠席したと前置きし

三十八年の回顧と謝意

学校の今後の発展への期待など

口で述べればよかったことが

達筆で書かれていた









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