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詩帖拾遺  作者: 坂本梧朗
2000年代

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113/296

その10 ええよ   塵労

   ええよ


「ええよ」

と義父は言う

食べ物を勧められて

「ええよ」

飲みものを勧められて

「ええよ」

遠慮を嗜みとして

教えこまれた世代か

大食漢の義父が

「ええよ」

と言うのは

口先だけであると

その後の飲食ぶりが示していて


変な遠慮は

かえって嫌らしい

と憎まれて


「ええよ」

は飲み食いばかりではなく


便所の前の廊下で鉢合わせ

「お父さん、便所? 」

「ええよ」

先にすませてスーとして

悪かったなと思う気持に

ふとゆかしい

「ええよ」




   塵労


職場から帰る

電車の座席で

足を組むと

ズボンに汚れ


チョークだけではないよ

ズボンだけでもないよ

指で払いながら呟く


走っていれば

新車もいたむ

生きていれば

少年も老いる


無垢でありたいと

願っても

この世にあることが

許さない


面皮もいつしか厚くなり

()まれた汚れは

背骨の底でも

腐らせたか


その辺りから

鈍痛が伝わってくる


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