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その9 眠れる
眠れない
眠たいのに
疲れているのに
まだ起床まで時間はあるし
一旦起きれば
心を疲れさす一日が
終わりになるまで休めないのに
頭の中は発熱状態で
呼吸を数えても
呪文を唱えても
そんなものフッとばして
痙攣的なパニックが
意識の頭を引っ掴んで
発狂の碧潭を覗きこませる 一度 二度
〈やめてくれ! 〉
本の読み過ぎか
更年期障害か
ええい、埒もない
押さえこめ、抑えこめ
死体になれ
呼吸を百まで数え切れ
ようやくにしてあの慕わしい
蕩けるような感覚が
延髄のあたりから沸き出せばしめたもの
それに身を委ねれば
ストンといけるのだ
眠ればこっちのものだ!
(眠れないから問題は起きる)
どんな時にも眠れる男に
なってしまうのだ




