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詩帖拾遺  作者: 坂本梧朗
2000年代

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その3 時間泥棒   帯状疱疹

   時間泥棒

               

癌の瘤ができた腸壁の触感

ぽろぽろになった腸詰め


体が温もり

心の眼が輝くような

滑らかな時間の進みを

久しく失くしていて


タイトロープの上で

いつ落ちるかも知れぬ

痙攣をくり返す

冷えた手足と

固まる心


テーブルやマグカップ

カレンダーや肘掛け椅子       

眼にふれるものが

皆よそよそしく

上っ面ばかりを見せていて

内側からもりあがるものがなく

みすぼらしく

寒々しく

なによりも

見ている眼の内側が


空気のように隠れて

ほくそ笑む

黄色い悪魔  




    帯状疱疹

             

額の左隅に        

赤黒い発疹が

三つ四つ盛り上がって

なんとも(まが)々しく


終焉が近づいたのかと

例によって

自分をからかったりして


診察を受けると

帯状疱疹

下手をすると神経痛として残る

疲れた時に発症する…


短い休暇いっぱいに

嵌め込んだ海外旅行

職場でジジジジと

焼かれ続けた神経は

監禁十三時間の飛行機の座席で

発火寸前まですり切れ

フラフラとなって帰国した

癒す間もなく

翌朝から出勤

仕事をこなし続けて

四日目に発症


勤め帰りに

点滴のベッドに横たわると

激浪に揉まれるなか

流れ寄ってきた板に

運よく這い上がり

仰臥した気分

ポトリポトリ 眠りに落ちようとして

管に絡めとられている自分であることに

パニック症がまたも

ぱっくり口を開け

          

治るのか こんなことで

天井から冷え冷えと嘗めてくる

電灯に呟く




















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