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第一幕 初陣です!

「やってきました近くの森!」

上機嫌なこよりの手には図解でわかる薬草全書。

どれが薬草か分からない一行に貸し出されていた。

「さて!よりちゃんがそれ見ながら指示出してよ、わたしたちが採取するから」

「あ、もうこれいらないです、全部覚えましたから」

…「「「了解!」」」

「スバルさん、前に2歩左に7歩、ヨウコさんそこです、ミスズさんそれは似てますけど雑草ですよ」

こんな調子で約2時間が経った、それぞれの手にはふた抱えの布袋。

「んー…マズいですね、囲まれてます」

そろそろ帰ろうかと話していると、こよりが呟いた。

緊張する三人娘。

「先生、敵は強いんですか?」

「いえ、ただ数が多いですよ」

応えながら思案するこより、数舜の後、ぽんと手を叩く。

「勇者魔法!それっぽい装備でろー」

気の抜ける声と共にパーティーの身体がまばゆく光る。

白銀のスケイルメイル、頑丈そうなロングソードとカイトシールドのヨウコ。

どう見ても新選組な羽織、鉢金に、あからさまに妖刀らしき大小の刀のスバル。

純白のローブ、アインズ様が持っていそうなロッドとようそのヒ・ミ・ツと書かれた革張りの本を手にしたミスズ。

そして薄桃色のワンピースドレスとバヨネットのこより。

「なんで…バヨネット…?勇者なら剣でしょ…?」

自分だけどう見てもそれっぽくない装備に項垂れるこよりであった。

「凄いな、この装備、重みを感じないよ?」

感心しきりのヨウコ。

「先生からのプレゼント…」

恍惚の表情で太刀を抜くスバル。

「この本なんか可愛い…!」

物騒な名前に似合わぬ、ページ下に書かれたうさちゃんマークにご満悦のミスズ。

草むらを掻き分けてそれは現れた。

ホブゴブリンが20匹とその後ろに控えるゴブリンリーダー、モンスターの名前はようそのヒ・ミ・ツにてミスズが確認済み。

彼女たちは知らないことだが、この一団には特別懸賞金が掛けられている。

「私達の初陣です!張り切っていきますよー!」

「「「おお!」」」

口火を切ったのはミスズであった。

「フレイムウォール!」

今まさに飛び掛からんとしていた先頭集団が炎の壁に誘われるように飛び込んでは黒焦げになる。

シールドを構え飛び出したヨウコの影からスバルが躍りかかる、風のように走り抜けた彼女の後方で5匹のホブゴブリンの首が落ちる。

その間にヨウコが力任せに振り抜いたロングソードで更に3匹が一刀両断される。

「ナンダ…オマエラ!コンナニツヨイヤツラ、コノモリニコナイゾ!」

リーダーともなると人語を解するらしい、慌てた様子で後退るゴブリン達。

「セメテアノチイサイメスヲツレテカエルゾ!カカレ!」

どう見ても一番弱そうなこよりに残りの全戦力が殺到する。

タタタタタタタタン!

8発の銃弾が精確に眉間を射抜き、残るリーダーに肉薄したこよりがバヨネットでその心臓を貫いた。

「私達の完全勝利です!」

サムズアップして会心の笑みを浮かべるこよりに三人娘もサムズアップで返す、既に王宮騎士団1小隊程度では敵わぬ実力のパーティーである。

ご機嫌な勇者パーティーがギルドの扉を開けると、冒険者達は不思議そうな顔を見合わせる。

「嬢ちゃんたち、その立派な装備は?」

「…えーと、森で拾いました…?」

苦し紛れな説明は疑問形である。

「いやいやいやいや!落ちてる訳ねぇだろ、そんな上物!そもそも背の高い嬢ちゃんの着てるの、この国の服じゃねぇし!」

やっぱり、そうなりますか…三人娘の心が一つになった。

「冗談ですよ、これらはこよりお嬢様の父君が下賜された物です」

スバルが落ち着き払って応える、またもやパーティーはサムズアップ。

カウンターからマルセラが声を掛ける。

「おかえり、心配はしてないけど無事なようで何よりだよ、薬草は採れたのかしら?」

ニンマリと笑ってこよりが目配せすると、カウンターに6つのパンパンに膨らんだ袋が置かれる。

「え?まさかこれ全部?雑草じゃなくて?」

「多分雑草は入ってないと思います!確認お願いしますね!」

マルセラが清算窓口に袋を預け、モンスターは出なかった?と聞く。

「ゴブリンリーダーとその手下のホブゴブリンを20匹倒しましたけど、よわよわでしたねー」

「ええっ!?その群れには懸賞金が掛かってるのよ?お手柄じゃない!」

暇そうな冒険者の一人に確認に行くようにマルセラが告げると慌てて駆け出した。

30分程待っていると、確かに死体があったぜ!と帰ってきた冒険者が興奮気味に話した、折よく清算窓口からも、確かに6袋全部薬草ですよ、と言われマルセラが報酬を渡した。

「薬草が金貨15枚、懸賞金が金貨30枚ね、確認してちょうだい!」

革袋に入った金貨をスバルが確認し、ギルドを後にした。

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