第1幕終 工房こより、ひと段落です!
カフェの営業を始めてから半月ほどが経った頃、夕方の工房にこよりの歓喜の叫びが上がった。
「できたあぁぁ!これぞまさに最高傑作!みなさーん!工房に集合ですよー!」
少し離れたホームで夜営業の準備を手伝っていたスバル達三人娘が工房にやって来る。
「ジャジャーン!まずはこれです!ヨウコさん専用ハイレザーアーマー、半固形金属メタモルファを用いた可変式ナックルガード、ギガンティア!付けてみてください!」
「うを!軽い!動きやすい!そして防具とは思えないオシャレ感!凄いよ!ありがとう、よりちゃん!」
頬を押さえて冠を振りながらこよりがギガンティアもどうぞ!と言う。
「この卵?どうやってつける...!うわ!手に持ったら手の形に?!すご!こわ!そしてまたもや軽!これどうやって使うの?!」
「まず、その状態が基本形です、その次に、剣を振るイメージで腕を振ってみてください!」
言われた通り剣を振っていると意識して軽くうでを薙ぎ払うと、籠手状だったギガンティアがカタールの様な形状へと変わる。
「次に両手で剣を振るイメージで!」
これはすんなりとイメージしやすい、剣道の構えで真っ直ぐに振り下ろす。
すると、今度はこれ大の男でも構えるのがやっとなのではないかと言う大剣へと姿が変わる。
「これが基本の使用方法です!そして最後に!この木人くんフルメタルをその籠手で爆!と言いながらぶん殴って下さい!」
「ばぁぁぁくっ!」
インパクトの瞬間、籠手状態のギガンティアから凄まじい轟音が発生した、そして、木人くんフルメタルは粉微塵に粉砕された。
きょとんとした目のヨウコをみてうんうんと得意げな表情のこより。
「それがギガンティアの最終決戦仕様です!爆発力はカートリッジ式なので、これもどうぞ!」
ショットガンの12ゲージ弾に似た形のカートリッジがベルトに収まったものを渡す。
「これは!凄い!通常形態も便利だけど、この威力は凄いね!」
カタログスペックでこの世界最高の硬度を誇るメタルドラゴンの鱗すら粉砕する凶器であった。
「先生、皆を読んだと言うことは、私達にも?」
ふんすー!と鼻息も荒くこよりが次の装備の説明に取り掛かる。
「スバルさんの刀は高い魔力を活かして、魔力伝導率の高い素材のギルオリハルコニウムで作ってみました!見た目はただの刀ですが!柄尻にこの宝石をはめてみて下さい!」
綺麗な装飾の施された柄に手渡された宝石の紫色の物を嵌め込む。
「それは熱の魔法を込めた宝石ですね、刀身を熱するイメージをしてみて下さい、そうです!次に、今度は逆に冷やすイメージで!
はい!次は翠の宝石を!それは私の特におすすめです!風の魔法を込めました!カマイタチ現象を起こすだけではなく、刀身が見えなくなるメリットもあります!あ!ダメです!赫の宝石だけは最終手段ですから、命の危険があるとき以外は嵌めちゃだめですよ!」
「はい、ありがとうございます、先生、一生の宝物です。」
それが装備のことか、風の太刀の時に翻ったこよりのワンピースの下に対するものかは...言わぬが花だろう。
例えスバルが鼻血をダラダラと吹き出していても、である。
「ミスズさんは魔法の工程を飛ばして瞬時に発動できる様に、魔道書の方に細工を、後は杖の魔力ブースト効果の底上げです!」
ミスズだけ、じみだなぁ、なんだか疎外感感じちゃうなぁ...
「ありがとうございます、こより先生!大事にします!」




