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第一幕 こんなこともあろうかと、です!

国境の町ベルナから6日程かけて討伐依頼の目的地、ヨナグニ山へとたどり着いた金獅子一行、道中でも小型のモンスターを倒し小遣い稼ぎにはなった。

「今回の討伐目標は、なんと!UMAとして名高いモスマンです!テンション上がりますね!」

言葉通りテンションが3割増しで高いこよりに、ヨウコからツッコミが入る。

「よりちゃん、多分だけどUMAっぽいモンスターじゃなくて蛾の大きいのじゃないかな…もうそれっぽいの遠くに飛んでるし…」

「気持ち悪いです…ミスズはなんでこより先生のテンションが上がってるのか理解不能です…」

「虫…虫は…無理…」

三人娘のげっそりした様子に、一人ケロリとした顔でこよりがポシェットを探る。

「こんなこともあろうかと!」

そう言って自前のドラムロールまでつけてこよりが取り出したものが、眼鏡とマフラーであった。

「この眼鏡はですね、多機能で、まず生理的嫌悪感を催すものへのフィルター機能、私が感知した敵性生物の共有機能、夜戦用に暗視機能、それに加えて装着者のパラメータを数値で確認できる便利グッズなんですよー!」

もちろん眼鏡としても使えますけどね!と言うこよりの補足は聞こえていない。

「「「今すぐ下さい!」」」

「は、はい!もちろんです!」

若干気圧されながらそれぞれに眼鏡を渡す。

「マフラーの方は余り手を付けていませんが、空気清浄機能と秘匿通信機能があります、これで秘密の話や連携もとりやすいと思います」

各々がいそいそと眼鏡とマフラーをつける。

「おー!凄いなー、あの気持ち悪いモスマンがポケ○ンみたいになった!」

「え?ミスズには人間に羽がついてる様に見えるよ…?」

「私は丸に羽が生えてる謎の物体」

三者三様に見えるモスマンに不思議そうな表情である。

「それはですねー、みんなの嫌悪感の度合いに応じて戦闘に支障が出ない程度の幻覚魔法がかかるので、それぞれの見え方が違うんですよー」

感心しきりの三人娘、次にマフラーの通信機能を試してみる。

「テステス、ニイタカヤマヤケタ」

「テストのチョイスが古いですよ部長」

「ほぇー、なんだか不思議な感覚だけど便利…!」

ひとしきり機能テストを終えた三人娘にこよりは今回の戦闘にはあまり介入しない事を告げる。

「みんながモスマン退治してる間に食材の確保をしておきますね、この山では野生のキジやイノシシ、川魚や香草なんかが採れるそうなので!」

パーティーの食事を一手に引き受けるこよりにとっては宝の山であった。

こよりから大きめのブレスレットのようなものを手渡された三人娘はそれぞれに得物を取り出して歩き出した。

こよりは鼻歌交じりにフラフープを適当に投げて歩く、これは弱い電撃魔法がかけられており、中に入った獲物を前後不覚にする捕獲用魔法道具である。

「ミスズ!モスマンが飛んだよ!魔法で撃ち落として!」

「うん、落ちたらスバルちゃんに羽を斬ってもらうね…!」

「任せて」

こよりのイヤリングから聞こえる会話では、どうやら三人娘はうまく連携して戦って居るようである。

「ふふふーん♪渓流釣りは楽しいです〜♪イワナにヤマメ、サクラマス〜♪」

ごきげんなこよりであった。

日が暮れ始める頃、十二分な釣果を得たこよりが帰り道でトラップを確認すると、イノシシと鹿が1頭ずつ、キジが3羽と、大漁である。

それらの獲物を魔法を駆使して血抜きや切り分けなどの処理を行い、ホームの冷蔵庫に繋げた転移魔法で回収した。

「今日のお仕事は終了にしましょう、お風呂の用意をしておくのでホームに着いたら食事の前に入ってくださいねー」

傍から見れば独り言にしか見えないが、こよりの魔力を使った言葉が三人娘のマフラーに届く。

「「「はーい」」」

世話好きなこよりであった。

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