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第一幕 お風呂場の誓いです!

「いやー!このホーム快適すぎだよー、その上毎食よりちゃんの食事だなんて贅沢すぎるね!」

食後に暖炉の前でロッキングチェアに座りながらそう言うヨウコ、その手にはブドウのジュース。

「本当だね、未だにあのポシェットからホームが出るとふしぎだけど…」

同じく暖炉の前でミスズが応える。

「そんな事より…二人共良く冷静でいられますね…」

スバルだけが落ち着かなげに辺りをうろうろしている。

「「???」」

疑問の表情の二人にスバルが告げる…

「先生がお風呂に入って居るんですよ?一緒に入りたいのは私だけなんですか?」

「「!」」

「そそそ、そんな事出来ないよ!」

「スバルちゃん…恐ろしい子…!」

「分かりました、私は入ります…!」

「「させるか!」」

二人がスバルの行く手を阻む。

「どうしたんですか?女同士一緒にお風呂なんておかしくないじゃないですか」

「…鼻血出しながら言う事じゃないと思う…」

「ミスズ…よく考えて下さい、このホームのお風呂は全員で入っても余裕があるのです、つまり先生は私達と一緒に入りたい、そうは考えないのですか!」

「「………!!!」」

「そ、そうだね!よりちゃんの気持ちに応えないのは失礼だね!行こう!」

「こより先生とお風呂…!」

そこには決意を同じくした同士達がいた。

頷き合い脱衣所に入った三人娘、スバルが服をいそいそと脱ぎながら声をかける。

「先生、私達もご一緒しても良いですか?」

若干鼻息が荒い。

「はーい、どうぞー」

猛獣…と言うには些か気弱な子犬達がおずおずと浴室に足を踏み入れる。

「今日も一日お疲れ様でした、洗濯物はかごに入れておいてくださいね、後で洗っておきますから」

「「「………」」」

三人娘は別段ロリコンという訳ではない、が、浴槽の隅でくつろぐ教師の姿に形容し難い感情が溢れていた、最早こよりコンプレックスと呼ぶべきかも知れない。

「?皆さん風邪引いちゃいますよ?かけ湯して早く温まって下さいね」

生徒の妖しい感情に気付かぬこよりはこともなげに言葉をかける。

「…はい、そうします」

ぎこちなくシャワーに向かう三人娘、その頬が赤いのは風邪でも湯気にあてられてのものでもない。

「「「し、失礼します…!」」」

目をそらしながら浴槽に入る三人娘にこよりは見当違いの言葉をかける。

「先生だからって遠慮なんてしなくて良いのですよ?生徒と教師とは言っても今は共に命を預ける仲間なんですから」

「「「…はい…」」」

その曇りない信頼が少し痛い三人娘は、やはりお年頃なのである。

暫くしてこよりが髪を洗うために立ち上がると、三人娘からはため息が漏れる、自分達が幼かった頃、ここまで純粋な美しさを持っていたであろうか?と。

「…ねぇ、よりちゃんはわたし達の事、仲間だって思ってくれてるの?」

肺の空気をすべてため息に変えたあと、ヨウコがふと気が付いた。

「はい!私の自慢の生徒で仲間たちです!」

本当に心からの言葉であろう、実実こよりは彼女達に命を預ける事になんの躊躇も気負いもない。

「なら、さ…わたし達を皆さんとか名字で呼ばないで、一人ひとり名前で呼んで欲しい、かな」

「…!そう、でしたね、仲間と言いながら私がこれでは、皆さん、いいえ、ヨウコさん、スバルさん、ミスズさんに遠慮しないでと言っても難しいですよね、ごめんなさい」

「いやぁ、よりちゃんが謝ることなんて無いけど、やっぱりそう呼んでもらえると嬉しいよ!」

「先生が私の名前を呼んでくれた…!」

「こより先生…ミスズも、嬉しい…です」

それでは、と、改まってこよりが宣言する。

「私、高天原-アナスタシア-こよりは、これからは教師と生徒ではなく、ともに並ぶ友として、仲間として、みんなと歩む事を誓います!」

「「「イイィィヤッフゥゥゥーー!!!」」」

三人娘の歓喜の雄叫びがホームを震わせるのであった。

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