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序幕 神薙煉也

あらすじから差別的表現を使用していますが作品内容

に寄るものであり個人を特定するものではありません。

不愉快な思いをされると思われる方は回れ右お願いしますm(_ _)m

 目の前に鏡がある。



 この俺、神薙煉也の日課。

 それは他人からすれば奇妙なモノに見えるだろう。

 部屋にあるクローゼットの姿見にコツン、額をつけて目を閉じる。

 そして一言。


「行ってくる」


 制服に着替えて階段を降りると既に出来上がっている朝食の目の前に座り手を合わせ口に運ぶ。

 いつも通りだがーー冷めている。

 俺の両親は海外のNPO法人で働いている為目下悠々自適の一人暮らしを満喫しているのだが。

 一介の高校生を一人暮らしさせているその両親は今現在中東の紛争地域で医者として多くの命を救っている。

 実の息子を放って、だ。

 がまぁ本当に一人、というわけではなく無論保護者に当たる人物はいる。いるのだが。

 ほぼほぼこの家には帰っては来ず放任主義を気取りその姿を見せるのは週に一度くらいだ。

 ではこの冷えた朝飯は誰が用意しているのか。

 別段気のいい幼馴染も美人の姉もいない俺にこんな世話をしてくれる人間など皆無である。ならば誰の手か?何を隠そう。この俺だ。


 ……分かっている、独り身の寂しいアレか、と思うのは当然なのだが。

 俺は料理ができない。

 できるとしたら食パンを焼く程度のことだ。

 料理のできない俺が俺の作った朝飯を食べる。

 禅問答のようだが実際そうなんだから仕方ない。



 そうこうしてる間に家を出る時間が来るとこれまた一人寂しく玄関を開けて学校に向かう。

 何事もなく学校に到着しつつがなく教室に着くと。


「おはよ、レン君!」


 気安く声を掛けてくる女生徒。

 数少ない友達である榎本凛。

 まぁ見た目も性格も成績も交友関係も何もかもが普通の、至って真面目に普通の女子高生をしている一般市民だ。

 そんな彼女が俺に声を掛けてくるのは中学校からの縁ともう一つ、去年まで所属していた部活が一緒だったというだけだが。

 去年まで、というのは当然今の俺は立派な帰宅部だからであり彼女は今も立派な剣道部員だ。

 だからか今もこうして甲斐甲斐しく俺の友達をしてくれる稀有な、いや物好きな知人だ。


「……ねぇ、やっぱりまた剣道しない?せっかく全国大会2位の腕があるのに勿体ないよ?」


 因みに1位はこの目の前の普通の女子高生だ。その時点で普通ではないのだがそれはこの際考えない。


「馬鹿言え、俺の将来を断ち切ったお前の後を追えって言うつもりか?」

「でもさ、私は不正したから実質レン君が1番じゃない」

「怪我した相手の身代わりで出たお前に負けて尚更恥を晒せとでも言うつもりか!」


 当然男子の部に女子は出れない。

 それが俺と試合たいだけに不正を働いてそして勝った。

 負けた俺にしてみりゃ赤っ恥もいいところだがこいつの剣腕は昔からよく知っていたからか然程しこりを残さず今も変わらない関係が続いている。


「でもさでもさ〜」

「ええい、離せ。しつこい!」


 腰に手を回して犬みたいに懐いてくる。

 そんなやりとりを見てもう一人の友人が近づいてベリ、と凛を引き剥がす。


「ほらほら、凛ちゃんもうすぐ授業が始まるよ?課題やってきた?」


 その言葉で顔が見る間に青くなっていく。

 そして涙目になりながら他の女子生徒に見せてくれと泣きついて教室に戻るのを確認したあと凛を剥がしてくれた、線の細い男子生徒に礼をいう。


「助かった、和人」

「まぁ朝の名物だからね、勿体ない気はするけれど」

「勘弁してくれ。あいつの腕力は洒落にならん。そのうち背骨を折られる」


 そう、あいつの腕力はまるで貝のように一度閉まるとなかなか開かない程に強いのだがそれを力任せに剥がせるこの和人の力は考えないようにしている。

 この伊佐和人は見た目が線の細い中性的な容姿の所為で女子にも男子にも悪感情を持たれない人畜無害かつ成績優秀な優等生だ。



 そんな俺と凛、和人の3人は互いの個性の違いからかよくつるむようになり気の置けない知人として一応普通な青春を謳歌していた。




 そうあの時までは。



 学校が終わり、日も西に傾いて夕日に染まる我が家に家を出た時と同じ一人で玄関を開ける。


「ーーただいま」


 そして朝と同じ日課を始める。

 姿見の前に立ち目を閉じて今日合った事を口ずさむ。


「ーーそういや凛がまた剣道をしろと言ってきた。お前も気をつけろよ?」


 とそこまで報告もどきの行為を済ませたところで18時の鐘が鳴る。

 そこで俺に、いや「僕」にいつもの変化が起きる。


「ーー了解だよ、僕」


 一つ伸びをして僕は今日一日の疲れを解すかのように軽くストレッチをする。


「うーん、やっぱり僕自身がしたわけじゃない運動で身体が疲れるのには違和感があるなぁ」


 そう、僕は世間一般で言う性同一性障害、いわゆる二重人格。

 ちょっとだけ違うのは朝の6時から夕方18時までは彼、夕方18時から明け方の6時までは僕と時間が決まっているというところ。

 だから夕飯や朝ごはんは僕の仕事。

 これを知っているのは両親や保護者の灯里姉、凛、そして和人だけ。

 さて。

 早くご飯作って課題しないと。

 なんか活動時間が少ない僕だけが損している感じだけど仕方ない。

 それを言い出したら彼の身体にお邪魔している居候のような僕が言えた義理じゃない。

 何故ならこの身体は「男」だから。

 身長181センチ、体重72キロ。筋肉質で平均的な体型。

 身体は間違いなく男のそれだ。

 でも「僕」は。

 なんの因果か「女」の精神構造をしている。

 これは間違いなく完全に彼が主体だ。

 僕か完全に異物だ。

 だからそのお返しじゃないけど彼の世話をするのは僕の義務とも言えた。

 でも。

 僕はそれが楽しいし彼もそれを許容してくれている。

 だから彼には感謝しかない。

 そんな僕がどうして生まれたかは正直覚えていない。

 いつの間にか彼の中にいた。

 それが当たり前になってもう数年。

 いつまでもこんな生活が続くかどうかはわからないけどとりあえず現状満足している。




「うん、こんなもんかな」


 軽くご飯を作って明日の朝食をラッピングしておく。

 彼は好き嫌いがないから作るのは楽だ。たまにリクエストがあると書き置きで知らせてくる。

 そんな時は結構張り切ってしまう。

 傍目からしたらガタイのいい男が気持ち悪く鼻唄を唄いながらるんるん気分で料理をしているため正直絵面的にはキツいものがあるけれどね。



「さてと。明日の用意もしたし、今日は早めに寝ようかな……うん?」


 何か呼ばれたような。

 声が。

 ううん、頭の中に直接聞こえたような。

 ちょっと待って、僕そういうの駄目なんだけど!

 あわあわとなりながら涙目になってベッドに潜り込んで布団を頭からかぶる。

 一人がたがた震えていたその時。

 また例の声が聞こえた。


 ーーミツケタ


 今度は間違いない、ハッキリと聞こえた!


「い……いやぁぁぁぁぁ!」


 野太い声でうら若き乙女の悲鳴が響いたその瞬間。



 床に青く輝く円状の紋様が浮かび上がる。



「な、なにこれ、なにこれぇ!?」



 ひと通りの乙女の仕草を見せていた僕は。

 光放つ魔法のような閃光に包まれて。

 ーー意識を手放した。



 


 ひんやりとしたカビ臭い匂いがする。

 湿度の高い、やけにまとわりつく水気に不快感を覚えてゆっくりと目を開く。

「俺」は軽い頭痛を覚えて頭を抱えるといくつかの視線を感じた。

 身体を跳ねあげて周りを見渡すと。

 暗く、広い石造りのような古く饐えた臭気を肺に入れて眉をひそめた。

 完全に自分の部屋じゃない。

 それどころかガラスも無い窓から見える月は赤と青の二つが顔を覗かせている。


「ここは……どこだ?」


 つい出た言葉に俺を囲む影の一つが前に出る。


「この世界はジ・レーザという万象に神宿りし精霊界です。我らが王の宿主よ」

「ジ……レーザ?精霊?……宿主??」


 聞きなれない単語を鸚鵡返しに繰り返すしかできない俺を見て言葉の続きを求めたそのとき。


 プヨン。


 柔らかいモノが手に当たる。

 これはアレか、よくある小説でみた、あのラッキーなんたら?

 光の速さで思考を張り巡らせその柔らかいモノの正体を見ると。



 確かに女の胸部だった。

 それも眠る女のモノだったのだが。

 それ以上に目を見張ったのは。


「お、俺……?」


 見た目は間違いなく女の顔そのものだったが。

 だが。

 髪型、黒子、顔のパーツの形。

 それらは間違いなく長年見続けてきた自分そのものだった。


「な…な…なんだこりゃぁぁぁぁ!?」


 混乱する俺の思考が呼び起こした野太い声で。

 今度は間違いなく男の口調で。

 石壁に囲まれたカビ臭い密室に叫音が鳴り響いたのだった。

どっかで見たタイトルで時流に乗って異世界転移に手を出してしまいました。

メインの神滅者もペース遅れているのにいいのかな、と思いながら頑張って更新して行きますが基本まったりペースですのでよろしくお願いします。

合わせて蒼穹の神滅者もよろしくお願いします!

では次回☆

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