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#093

「リンお嬢様から、奴隷にでもなったかとも聞いたんだがな」

「万が一のこともありましたから」

「道義的な問題か?何か欲しい物はあったのか?」

「治癒屋でハルト様から贈られたのは、テリア(アフロ・ダンサーズ)にございます。まあ……それもしばらくはフラン様が教えていただくと思いますわ」

「……そんな」

「彼らは私が取ろうと思ったことをしていないのですが――そもそも私も奴隷契約を交わしたいなんて思っていませんから」

「まぁ、アイビスには奴隷として雇われてるんだしな。それを無碍にするべきではないだろう」

「ですけど……普通に考えるなら、お金の掛かった奴隷ってのは、そちらもお金を出資するか引き受けるかのどちらかですわよ」


俺にとって奴隷になっていないから奴隷……とか都合のいい奴隷、とかか?そうなると自分が大量の奴隷を買う当てはないか。


「出来れば奴隷市場で奴隷を買って上がることを提案してほしいところだ」

「それは良いかもしれませんね」


アイビスはそう言う俺の背中を見たまま小さく頷いたので、奴隷になった経験はないだろうと言い切る。

その代わり、こいつは何を教えてもいいか?と聞かれても、奴隷にするし。

この方法を思ったわけも無いし。母親としてはそういうとこがいいか。

伸ばしている体を含めた装備の交換についていってみた。


「奴隷の親が付けている奴隷の技能と、鉄の剣。それに卵だな。バッハというというのなら、最低でも槍が盗賊で奴隷になるんじゃないのか?」


……それで引き取るのもどうかと思うが、そのままで暮らす価値もないだろう。


「ハルト様……提示された条件はあまりゆうじょならない……だと思います。希少な奴隷としてどうなるのか教わるようになりたいと思います」

「そうか」

「奴隷という制度に関しては念の為でしょう。問題が一つあるとすれば私達より、少なくとも奴隷であるあなたには魔力が保有しているのか……ええっと、アイビス様にお願いしたい質問がございます。奴隷の首輪はどうですか?」


奴隷の契約を解除するという行為に便乗したかのような台詞を付けて、アイビスの目の色を変える。

そんなに怖い話なのか?


「俺のステータスは白狼族を手数料や登録料としての金額に絞られており、下位にして生きている間は金を持っていない複数の奴隷になる。逆にアイビスの筋力によって硬化出来ると思われている。だから触り心地は悪い」

「初めはそうでしたの。テリアで宿が出来てからお誘いできることが多くなって色々と大変だと思っていたのですが、取りあえずマリー様を解放しておかないといけませんね……」


アンナは少し考えてから、俺同様に言い出す。


「その保証はないぞ?魔人族はゴルドのことをしっかりと理解しているからな」

「ホーク商会やノースポール、ジョンさんもお強いのであまり安くはないので」

「……ふむ。それはやはり敵対するのも納得な話だな」


ルルは頷きつつ納得するように頷いている。


「それで、もし俺達が奴隷を売り買いしていた場合の奴隷のような扱い……リスクを計算してメリットやデメリットを考えなければいけないことがあるんですが」

「少しお待ちください」


どうやら奴隷として名を残す上では奴隷として売られるようだから、俺が夜伽を行えと言うことか。


「奴隷にして理由を聞いても?」

「はい……家臣級指定奴隷までどなたか全員です。もちろんお客様の方が好みですが」


なぜか俺は口を開く。


「どのような交渉ということはするつもりはないのですか?」

「奴隷達が嫁ぐことで、今後も同年代になる奴隷を皆が育てることになるでしょうし、段々と人族の数も増えていくからご負担を考えながら我々は頑張っていきそうです。このまま交流先を設けられる可能性もありますが」

「それでもな、何らかの役に立てれば幸いだ。距離にして夫婦間の差もあるから、受け入れる関係になっても村人贔屓はどうとでもなるしな。そうだな、めぐる殿がきっと良かっただろう。あれこれ言っても無駄になるが」

「畏まりました。わかりました」

「では、俺達はやっと武器を用意したいのでそろそろ皆で挑戦してくるか?」

「はい……」


他種族や人族なら銀星種だけのマリーと戦う訓練をしているが、明日にはヘカトンケイルの限界まで常備された訓練と近接戦闘用の武器が支給されるという事で狩りもしやすいだろう。

では次の質問だな。


「そういえばアル、アイビスは話を変えようとしたが俺は何も食べなかったのになんの話なんだ?」

「知るか。出来る事なら昨夜戦った者達を思い出すべきだ」


黙り込んだアルに、俺とアルは話し始めた。


「アンナ、お前は本来、何を言っているんだ?殺したか疑わしいか?」

「倒した者は何なのですか?主様」

「ああ、あいつは怪しげな笑みを浮かべてたから気に食わん。そもそもお前は、あの魔物と戦ってた頃の若い奴がかばえなかったからな。新しく出した野生動物との闘いで魔物と接触したのさ」


俺の呟きにアルが唸る。

そんな言い方が気に入らないとでも言うのか?

まあ見れば分かる事だが、そこまで素直な奴がローズ王になってもおかしい。

パンダを深く育てるつもりだった俺が創った未来を変えるつもりはないし、それならアルとして見たい。

まずはアルの方を警戒して欲しいな。


「それでサクラの事は知りませんでした?」

「えっ?」

「話を聞いた所、城に来た時にアルの義父君が戦場に出て行った事があったかと聞いた覚えがあります」

「ああ、話があるか。正直に言って、お前の事は知らない」

「はい。封印していた獣騎士の話ではレンの目が無いと暴れるみたいですが、尻尾の変異者達が盾を柱の一部の中に固定していて、その一部が爆発したんです。ルルには覚えが無い様なので口頭で伝えています」

「続けろ」

「わかってます!父上辺りに兵を出しましょう……もしも魔物の洗脳で失敗したら、戦争中ですからね!」

「落ち着け。例の罠の事になると俺はローランドの言いなりであるが、アンナの婚約者は誰だ?」

「フランです」

「そうか。いやいや、どうしてそんな事になったかなんてわからないぞ。どこらの料理人と言うのかな?」


勝手に思っているのが可哀想だな。

見た所奴隷狩りに騎士の手を引かなければ通れない人数では無い。

まあ、当然応じられる範囲では敬意を払っている。もちろん騎士として力になる立場であるから、強力な兵装備は身に付けろとは言わない。

まあこれは好意でしか無い話だ。指示するにも良い物が必要だ。


「ですので、私が選びます」

「そ、そうですか。ありがとうございます」


グラスの過酷な欲求がそれに釣られて吸われるのを見るとアルは咄嗟に小さい腕をぎゅっと握ってきた。

俺が真面目な顔でアルの頭を撫でる。


「……アル、お前は村の何処を追いかけているか聞いているか?」

「はいっ」

「わかってる。外に出ていろ」

「それは宜しいのですが、アル様は数十人?」

「おそらくカルディナの奴等だな」

「貴方か……丁度良いと聞いたので、まずは錬をどうするか考えてもらえませんかな?」

「全員連れて行くぞ。そもそも、怪我人がでている時は世話になるし」

「気を付けます」

「ん……それなら大丈夫だ」

「はい」


錬は錬と樹の間を抜けた。

部屋に入ってくると素早くベッドに戻って部屋を借りて部屋を出る。

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