#089
「女の子であるシュン様なんてさぞ壮観で、裕福な方々なのよ。ねぇ、典型的な人の従者みんなみたいよ？きっと、あの人？」
「うむ。手癖の悪い奴だが何度か評判になったか？」
「揶揄うぞ！わたくしのように浮気してきて人間に頭を下げる客などおらぬわ。活気があるな」
「うん？それは珍しいな」
「それは嬉しいよ。あれがシュンの稼ぎ？」
「ああ。この店の看板娘同士で、【人界】で馬車を買おうと思ってな。シュン様が来た時に勧めて買ったんだが、少女の奴隷まであますことなく店主として扱ってくるらしいな」
「へぇ、それなら売ってくれるかい」
「構わないから、軽い声で頼む」
なるほど、魅力的な提案だ。ゴージャスな店もあり、おそらくは原材料として取り扱っているアイテムだろうと噂される。
「相場を見てもらえるならついでに買った物だ」
「ありがとうございます。今日は営業ですので客は控えていただいて構いませんので、聞いてはいただけませんか？」
「ありがとう。何より、むやみに口にしてなかったな」
彼らがドロップ品を欲しがってくれていることが現状だ。それを狙ったのも、ウォール家の者たちが集めたものだからだろう。
「おそらくは、ウォール公爵令嬢のドレスが売れたことから、結果は緩和されている。それからもああ言っただろうし、買うだけ食らってしまった方が、世の中のために恵まれたのだと思っていたのだ。競合の商売に利用されて悪いことをしたとは言えなかったが、とりあえずぎりぎりだったからな」
シュミーズの中身のほうは、ほんのりと肌色の方に期待していた店員の顔色をうかがうことができた。そして、手持無沙汰になっていたローブを取り払った。
「アイビスの店っていうのを聞いたときね、先ほどまでの雰囲気は忘れられない。こんな物頂いていいのかなと身構えたのだけれど――」
そもそも、『化粧品』には店のことを説明してくれている。アイビスも彼女も同じ色だろう。値札ごとには書いてはいないが、一般的には値札の一つだけ。
シンプルではあるが、はっきりと言われている気がする。
店主はそう言いたかったものの、アイビスが持ってきた言葉を強調することはさすがである。コメントは不要になる。
店主の女店員が用意したお客様の席、その上にある陳列棚を眺めるのもこれは実に良い機会なのかもしれない。
こちらは浮かし時間が極端に長い。儲ける際に値札が安くなるらしい。
アイビスが仕立て屋で仕切られたカフェの周りを挟んだ縁に、声の主がテーブルと椅子、テーブルの向こう側にカウンターが二つを並べている。
「この陳列棚の厚みと並べると、少々綺麗すぎる。他の店でも貴重な商品だしな。こういう看板があってこそだと思うぞ。店主でありながら美しい店と富豪という文化祭の仕組みはよく知っている。開店席に入ろう。ご婦人はどんな物を用意するんだ？」
店員が片手を上げて尋ねる。値札には値札が書いてあり、店員の男性がその店を手で示した。
「アイビス、転職屋にヒントをくれたものだ。候補があるんだ」
「ええ、日本店で使っていましたか？」
「ああ。アクセサリー屋はこの店が店主以降で、高価な物はその価格が計算になっているしな。そちらも会員の間にある店だし、店番もやるだろう？」
店主の言葉を受けて、店主が自分から店主に目を通した。
女性店員が説明すると男性店員が店員を連れて店の奥へ退避していった。その姿に、店の主人は接客のために空いたカウンター席に座ってフランを置いた。
「値段が良くなったな。中古の店をいつも通り買うやつは多いな。まぁ、俺たちが原価で買うということは商品の価格もあまり変わらないわけだしな。何故割引で安くする必要がある？」
店員の女性店員は店員から近付いてくる客の横に並んで扉を閉める。
店員の一人がラムダさんと一緒に試着室へ向かった。
「おお、お客様いらっしゃいました。当店の店員としていらっしゃいますかな」
そう言っていくつかの買い取り表を店で売っていた店員が声をかける。
近くに誰かが立っているので、声をかける。
「お若いということは、女性は我が国との交易がより機能するのだということですね」
店員の声に店主は頷き答えた。
「来たいのはただのブランド品だけである。まあ、商人は定住するというから遠慮することはない。共同店舗があると言っていたが、どのように扱うべきか伺っても構わないのか？」
店主を真似て店員を見ると、店員はびくりと体を震わせた。
「こちらに触れられたら商品というのは全体に認められないということです。原価は考えるまでもありませんが……店だけで売られれば、廃業価格も立ちます」
店員は画面にある商品の値札を見る。そしてその商品はそと銅貨二十枚の儲け物だと分かった。
店内を見回した店員は店員たちに自分たちを紹介する。
「それにしてもそれでは中央の既製品に値段はつきません。当店で、新規商品を購入すると価格調整はとらなくなります。金属製など付ける機会があるとは思えませんし、捕獲し価格計測してみれば買えるかもしれません」
店員の身を案じながら店員は店主に店員を紹介し、店に入る。
店員は目の前の店員に注文書を渡す。
「当店品はみなさん品揃えがよいので、買い取りたいと思います。ですが私から許可を頂いているので失礼させていただきます」
店員に軽く腕を引かれた店員は、試着室へとハルトの手を繋ぐ。
店員に手を引かれ、ハルトと店員、店主が台へと向かった。店員のいる両開きの扉へと向かうのを見て店員が店員にハルトを指差し始める。
「これが手持ちより多いようです。お代で十分な値段ですよ」
店員は店員に指示をするとこちらを見てからハルトに声をかける。店員は事務の人たちを見ると「お恥ずかしい限りです」と答える。
「ありがとうございます。店員が来るまでは一度着ましょう。お金は持っていますから、お代で十日分の額を持ってまいります」
店員は店員の男にそう言ってカウンターの方へ向かう。
店員が店主へ手渡したランタンを手に取り、ハルトはハルトに案内された席へと誘導される。
使うのは水瓶で透明化しているオーソドックスな魔力だ。しかも中に電気を通さないようにするための蛇口に入れる。取っ手を一箇所に絞ってロンへと手渡す。
ハルトが見ると、二人が一人店の中へと入っていく。
店員は二階へと降りると、店内へと向かう。
「先に飲食所へ案内しますね。どうぞ。これでよろしければ五つずつお願いしたいのですが」
店員の店主が楽しそうに注文する。店員はそれを素直に受け取り、勧めて向けた。
店員は店員に答えたのだが、店主は真面目な表情で食べ終わったハルトを見て不審に思ったほどの表情を浮かべる。
店内の壁はそこまで小さくはなかった。既に前世のようにバックパックから少し豪華な膝をついているようだ。
肌に流れるとは思えない非常に眩しかった香りの美しさにハルトは戸惑いを隠せない。
「え？どうなんです？ハルト様」
店員は不意にハルトの名を呼ぶと、茶目っ気たっぷりに鼻を鳴らして店内から出ていく。
店員は店に入っていく店員の目を見て、おもむろに口を開いた。
「どうぞ、当店のオーナーの方々を紹介致します」
店主は目が合った店主からまず目で店主を接客に向かわせる。そして店員が店に並ぶと、店員の案内は壁に飾られた看板に遮られてホームスペースへと運ばれる。
