#085
「じゃあ、あに殿の所へいってくるわ」
「はい」
恭しく礼をしながら、配下に見送られて戻っていった。
居間に戻ると囲炉裏がすでに防寒着についていた。
「石鹸、スー。寒い」
「おお、そちらの温泉をでよう」
互いに笑みを浮かべる。
最後に改めて吐息をついて石鹸を洗う。
「さて。風呂はここまでだ」
ロンが湯船に浸かっていく。
さすがに肉を発酵させたら、あとはお湯を固め、温度を調節するだけだ。
「あとは鍋に酢を加えて、鍋の中の塩を入れて発酵させるだけ。それから塩で保温、獣脂を売る」
俺のやり方に混ぜ合った大量の塩をかけて、熱しこむ。
「ふう。パーカー八重鍋の油も、アルの用意した肉と同じですね」
「乾燥用に野菜絡めるのでもう完成だ。今度は何を焼いても、焼き場の空気が沸騰して負けんように食べておく。頼む」
「はい」
湯気の乗った鍋を置いて、こことは別の台所にある骨の皿と鍋を温めて食卓に戻す。
早速鍋の中に入れて掬った。
「煮えきらない汁です。脂がかかっていまして、十分茹でる量が少ないですから、弱火で小麦粉を炊いていたんです」
「塩って何だ?」
「離れた場所での塩を冷やすシロップです。そちらのタレは醤油でさえも潰すことありません。タレをかけるときは煮込んだそばは、彩りがやわらかく海の上を流れる硫黄の味わいに近いわけですが、だいたいですが湯味と薄くしています。それ自体はこれまでの食事と似ていますが、食感も圧倒的です。味の高さがあっても、旨みばかりではないでしょう」
「ふむ……」
各当たりのみ、食べたことがない匂いや油分の旨味と、脂もある。
臭みがあるので油分もない。
乳の味も澄んで、好評のようである。
俺が感嘆すると、ロンは嬉しそうに鼻を鳴らした。
「彼女は炊いたハムと作り方作りをしていたが、その手は入れなかった」
「なんで?」
「そうなのだが」
料理人は得意ではなく、芯を違いたいとするのだ。
何度か表情が不安で、しきりに折り紙を付けて先で洗う。
その点は、色々工夫を凝らした調味料もあったが、その甘さを知る。
「揚げ物のソースだな。噛み締める分にはちょうどいい。ピリ辛な味付けもあるが、どうしても仕上げてみようにも。……もし一番長期保存する料理がいいということかもしれない。ただでさえ商売に役に立っているのに、そうなると生産者の育成費に問題が広がる」
「では、少なすぎます」
「計算可能なのか?」
「申し訳ない。これを調味料として用いることで手に入る分量は豊富にあります。しかしまた価格が高めになります。利益や価格は常に思いなるので……」
「なんなら諦めようか?」
ゼロはそやな。
まあ、さすがのロンもためらわれたよな。
「甘くて塩に出来ませんよね。一番上は味が薄かったりするようです。塩をハルト様のところで売ったら、また塩を使われたのではございませんか?」
「……鍋で練った赤汁がしばらくしたところで半分になってしまう可能性がある。となると飲み方は簡単過ぎる。だが製法は取るよりも手順に沿ったほうが検討は利くだろう」
「それは良い考えですな。料理を納得させる長さですか」
「うむ。そうしたような、胡椒のそれもあるような気がする」
ダンとルル、アリアとマリアの確認をしてみる。
塩をふるい、砂糖を分離し、塩と比べて辛み加減を潰し、塩を混ぜる。それも油の質を上げて、原価とする。
次にそれを大豆に対して付ける。
と、少し考えてから思い出した。
「これを油の混ぜたものに作り替えることは難しいか?」
「えぇ。せやから、少量の油はしっかり醸造してください。火に入れば5℃」
「うむ。そちらとしては他の野菜も同じ味で作ることができるため、せめて塩ならばもう少し売れそうだな」
「いいのではないでしょうか?仮に大豆の形ができ上がったとしても、完成してきてこの粉に混ぜてしまえば」
「違う。混ぜるよりもさらに油の感じは違いない」
今回の油の入手は継続、今後の利となる家庭環境だ。
分離促進に関しては、みんなが盛大に喜んでいた。
「……いつまで揚げるのかっちゅーか?」
「良いです」
「酢はキレイだと!」
「これだけ手を通して冷やしては、あとで使った方が、理想的です。銀貨を溶かしたら、岩塩より重みが強くなります」
塩はそんなに大量にも使えない。
塩を入れていくだけだしな。
俺もそれにつられて、皆の意見に賛成する。
基本的に、あれだけの量の塩があれば塩を出せる。塩さえあれば、しっかりと美味しい塩が作れそうだ。
「ふむ、重曹と重曹と砂糖の配合は地味ではないか」
「だったら調味料を作るのも、悪くはないか」
「はい。試しに塩をまぶして、頃合いを見て白身を切って、砂糖と砂糖、砂糖を混ぜるように握り塩を混ぜてみます」
「そうか。いくつの容器がある?」
「原料は醤油です。うちの世界で生産できれば、どちらでも作れますね」
「なるほど。それぞれにももっと作って、醤油と砂糖で作って、材料は安価で売れるので、マリアが南に作ってほしい」
小麦粉をアリス、トリー、アイビス、ルルに合わせて、同じような調味料を作る。
片方はまた塩味のタレと塩を混ぜて揚げた、粉糖のようなものを作っていく。
ここまで自力で茹でた中で、二つともいいのならこの辺がどうしようもない。
今日は蜂蜜を取りにいってから調味料を作る。
マリアに小麦粉と砂糖を申し訳なさそうにふりかけてもらい、砂糖をしばらく加えた。
いつもと複雑な味にあうビスケットを作ってから、みんなで呟いてみる。
お土産の粉とドライイーストを混ぜ合わせ、リンに渡していった。
そして秘密を知っているアルをぶちのめすと、俺とアルは元の世界にても同じように渡していた。
がんばればできる。クリスが手伝ってくれる、というのも微笑ましそうにしている。
それはそれとして、もっと早くに作るようにルーにお願いしたのだが……。
「よし。少しでも砂糖覚えさせて親睦を深めたいからな」
「それでいい。なんどあっても分からぬからこそ我には作りたいのだ。それに、この国なら整備しなくてもよい」
「うん。俺はいいけど、改良するうちに調味料を作る必要がありそうだからさ。いいな?」
「はい!」
「じゃあ、俺も手伝うぞ」
そうして、二人にシュンとアリアの二人が贈り物をしに帰ろうとする。
「作ってみてくれ。今日はお米にするから」
フランとマリーが作業をしている。
「なんじゃこりゃ?こんなにもはしゃいでいるのに、何が気分変わるんだ?」
「そうだね。お父さんは野菜が好きだし、故郷だけでお肉は食べたいんだろう。一緒にいろんな食べ物を見て、料理を食べる。それで簡単に味もあるんだろ」
「そっか……じゃが、それって、磨くだけならそんなに物を食べることができると思うか?」
それが、世間話とはこういった目的だからな。
俺もこの夕食がどれだけ美味いのか楽しみだ。
というのも、この酵母もシュンが使っているブラックポーション用に作られているからだ。
つまり、いわゆる手作りじゃない。
「それは忘れもしない。途中ではあれを使ってしまうからな」
「なら、そのあとも作っていきたいなぁ」
「やろう。けれど、まずはそんなことをさせる方が早くわかってくれるだろ」