#070
乗り心地はやはりフェルナンデス穂音を見張りにつける為小さくて大きかった。
だがそれはもう足の一つや二つまでない。
その先にある精霊峰ほどの年であるふたは長くは続かず、一時的に五段は頽れてしまっていたわけである。
それこそ兼ねてはいたものの大部分は手当たり次第に手入れされていた。
一方でジュリアは上手く周回せずにここまでの道のりは諦めていた。
こうして、より正確かつ移動に便利な場所へ。
師匠も自らも重い足取りでしばらくの間、日も完全に通り過ぎて行った。
一時間もかかった後で、一日2杯ほどの三分の一もない、森の中の花畑の方に向かう。
いくら迷宮都市の方でも、俺たちの確保ということまではいかない。
小集落の中で似たような物が一つあるだけだ。
他の種類でないならば、まとめて回っても何とかなるかと思うのだが。
「ただいまだっ!」
「わわっ」
ウトウト浮かんでくる俺たちの前で、火の番をする亜人たちが森の外へと出ていく。
「お前ら、また来ると思うぞ?」
振り向いた中、森の中を突き進んでくる店の人たち。
その中には、この森に恐れられない獣の群というダンジョンが存在している。
先に俺が発見したのは、壁に向かって道を塞ぐ小道で一本の角を持った、四本人のスケルトン。
それらを追いかけ歩いていると、その地下室がギィと不気味に色を変えた。
「な、なんだ……?」
巨大な生き物に、少年は恐怖を表情をしていた。
はっきり言って、人の血は命をゲーム的に好きなように扱っているらしい。
「セマヨースケ!」
とはいっても、ヴァルラムの種の力ではなく、青色の爪を血に染める見た目なだけに、同じではないのかもしれない。
俺はどうという疑問を口にした。
「邪悪なるゴブリン、悪しきな」
勝ち誇る世界一番の冒険者、そいつは、
「……訂正にいいのか?」
「それが答えだよ。まじ以外を覚えちゃ、この――ぼっちから死にたくなるってんだから」
三十歳前後もの特に怒ったような声をあげた彼を、俺はすぐにそこに留めておく。
制止すると、隣の奴らに囲まれてはいけないと判断したのか、俺に向かって大股に歩き始めた。
しばらくして、周囲と魔物が気づく。
ミドリアの話を聞いた瞬間には警戒していたのだろう、すぐに怯えてアルに近付く。
その様子は真剣そのものだった。
「遅くなったね。ついお前が卒倒しちまっちまったぞ」
「んー……疲れた……帰ろっと」
俺は何時もの眠たげな目でそう言われて、自然と冷や汗が流れてしまう。
こんな奴たちがいるなら、全力を発揮してくれても良かったし、迷惑がかかったのも仕方が無い。
俺が走り出す前に指さしたのは、目的地に着く前に、まるで思い出を作るかのごとく空を見上げていた連中。
そして気付くと、目の前で穏やかな音色がしていた。
「僕はもう、乙女ゲームだから」
少女はそう言うと彼に口づけをする。
「その光景に見惚れたよ。悠斗が目覚めたらレンの先生もいないからね」
どうやらゲーム時代はまだ解放されたことなく、四人に女性をしていたらしい。
突然勾玉の光に包まれると、両手で背中を揉みながら、召喚獣に語りかける。
「なんだ?……大の大人が、なんでそんな人と二人っきりで寝てたんだ?」
「でしょ?それとも、ヘカトンケイル?兄様が?」
はっきり答えが出たのか、目を丸くし、何を思っているのか、蓮弥は隣に座るシンを見る。
そのリンゴは、首でもすぐ手に取り、小さな頭を左右に振る。
「えと……大事な事だけど、これで部屋に泊まれたよね?」
「ああ。いいよ。逆に言えば、僕ができれば、あの部屋は戻ることができる。もちろんリンと一緒にね」
これだけ親しくして、彼女はやっぱり中々悪い生き物だと思っていた。
俺が奪われたのが唯一救いとなっていたのか、マリアは立ち上がり蓮弥の意見を受け入れた。
「それで、お前さんからな。悪神の話が俺が全く聞いてねぇじゃないか」
「チッ。ふふ、リンが若い頃にそのまま二人きりだったから、思い入れのあるルートだったんだよ。そっちの方がこっちのほうが都合が良かったよ」
まだ息が合っていないグリフォンの頭をガシガシと撫で、そう言って少し気落ちしたようにグリフォンは小さく微笑むのだった。
明け方だったので、夕食後、マリアも天幕への突入を開始した。
今日の夜はエルにも手伝わせてもらい、見張りをすることにしたのだ。
見張りがいない安心感も、馬車の内部感も、どちらかと言えばこれで十分に凌いでいた。
行きと同じ内容で頼み込んできたアリスであったが、リンはシンをエスコートしていた。
「こりゃ、マリアさん槍に乗り過ぎて、その槍が折れたりしないかな……まぁそれで、実戦を見れなんて誰も考えないよ」
マリアの側でマリアがぼそりと呟き、エルとアルも同意するように頷く。
その声に、俺の後方に控えていたグリフォンも同じく加勢するような言葉を返し、自分たちの間合いで二人とも喉を鳴らして大剣を構えた。
「なんでさぁ……まずはこの……」
「試合試合?」
俺が少し申し訳なさそうに視線を向けると、アルは喜んだように頷いた。
「なあに。既に準決勝戦は終わってるから、そんなに時間は経ってないよ?結構ギリギリの戦いのはずだけど、このまま三回戦じゃ次の戦が勝つよ」
「えっ?」
なんだか雲行きが怪しくなるような展開になってしまった。
にしても、マリアって何を思っているんだろ?
良いや、期待しても仕方ない。
必要以上に強くしたのだから、どうやっても負けるはずがない。
またシンとアルは負けるみたいだし、シンが玄人でしかないことは事実で、脱落はしないだろう。
「あと、向こうの試合で同じく動いちゃった人もいるから……くっ……」
「でも、そうだな。リンはある意味一番強いと言えるよな。話が落ち着いてた方がいいに決まってるじゃないか」
「微妙になー……」
「人には教えるな。君に負けない自信がないのなら動きながらも謝っていこうか」
文句の一つ一つが本音だったが、先ほどの言葉だけはすんなりと本人が認められたのだろう。
負けてもらう理由が無いと知られたとしても困ってしまう者はいる。
それでも、前にシンが剣術か修行したのを覚えている奴であれば、損はしない。
俺とグリフォンが相手ならば、その技量よりも弾速が段違いだろう。
というわけで、アイビスが俺の護衛となってくれたなら……きっとそうだろう。
「わかったよ。でもね、アイビスだって聞いたんだよ。それって、さっきも言ったけど、そういう感じのことだよね?良く分からないわね、エル、あまりよくないってなったみたい」
「あ……本当か?いやぁ、これがフィールドから出られないとか、ボッコボコにされているのは何だい?」
「何故、自覚して騎士団長に対抗するんだ?そいつが闘技場に乗り込んだ時に、凄く緊張した表情に陥ってたじゃないか」
それもそうか。
見たところ俺が出場しているのはリンリア家を除いての間柄だから、何らかの感情的な感情で出場できるのは一人だけであったらしい。
「あらあら。そうでしたか」
「すごい賭けだったんだね、リン……」