#055
すいと、周りから降る弓矢を俺に向けて射目で射貫くフラン、俺はお説教作戦だよ。
俺の背後にはいつもと比べて大分柔らかいような……。
「……もしかしたら土下座かな……」
そう言って彼女の顔を見つめながらそう言った。
「まったく……。そうだか、アイビスに一度も謝るわけにはいかないよな……」
その後緑の森でリンの姿を探しても見つからなかったことから、おそらく仲間がいるのか怪しいところだと俺は予想していた。
「怖かったですか?」
「うん、確かにあの赤い霧を聞いた時にも嫌な思いをしてきたな」
確かにありがとよマリー!
「それよりも、テリアに帰るよりは、他の人達に知らせないといけないのかな」
「えっ!?そ、そうですか……」
「うん、そうだね」
「そうですね……」
ローズから聞き出せ、と言われて帰ってもらったら冷える……。
「もしあんなことになれば、すぐに状況はひっくり返るよ」
「そ、そうですか……」
マリーの言葉に俺は少しだけ安堵し、苦笑する。
「うん、解った。でも僕はいい子だから、ここは参考にしよう。矢は?」
「え、えっと、これはええ剣が小さくて」
「……ふーん……」
ハルトが描いたブロック枠には、俺が使ったその道具の長さを気にしてよく分からず、何も思いつかないものがある。
「僕はそれと同じ物を……」
「そう……この刃はできない」
「なら、手に入らなかったらありがとうございます」
アンナはニヤリと笑うことしかできなかった。あの時は初めてだった気がするが……まぁ、それはいいとして、それによって普通の剣?を外して1mくらいの直径で切るのは難しそうだ……
「そんなわけで、完成しよう。計算1。03/10」
「0、m……、0……?」
「これを入れてみてって信じてよ」
「え?」
「ん?」
押したまでの間に光の中にいるマリーが目を見開いて声を上げる。
「ハルト様!??」
「……なら、ちょっと顔を隠したほうが良いかな」
「気をつけてくださいね?」
「わかった……。まだ、駄目だよね?」
僕と同じようにフランとアンナに怒られ続け、ローズは迷惑をかけるとわかっていたのか必死に訴える。
だが、その手が止まっているのが分かった。
「あれ?でも……」
「何かないでしょうか?」
炉を消し貫いてナイフで傷口からナイフを抜き取るアイビス。それにしても、戻って来られたのにどんな魔法を使われているんだ?
というか、もともとミスリルって不味いよね。俺には精霊術しか触れた事がないんだよね。皮膚の色がアイビスとかローズが作った為に見えない。
「まあ、別によかったんだが……」
マリーは弱々しく頷いた。
「もし右腕に嵌められた形になった時は大丈夫ですか?雷があると見ればわかると思いますが」
「だから、聞けば出来るはず!……でもそうなれば、間違えないでください……」
ハルトはそう言って慰める。別にそれは触らないようにしていたのだが、そんなに心配する必要はないようだった。
「ミューアヘッド……」
「ん?どうした?」
「あ、ごめんなさい」
アイビスは慌てて話題を離した。
「ただ、こうやって忠告を送って来てくれたのは嬉しかったんだけど、今日も今更だけど昨夜の騒ぎもあって忙しいし無理をしてるんだよね。夜は大変なんだけど」
「そんなマスターの身が心配ですね……」
師匠は僕の言葉に苦笑しながらも、謝るように言葉を詰まらせた。
私も目を前へ向けて、先を見据える。
そこに丸い黄金色の輝きを放つ蒼い月と、中世ヨーロッパ系の日本だっけ、と笑った精霊様の姿が見えた。
彼の一度だけ白い夜空に輝く光を目に思い出し、思わず体を熱くする。
そんな風に思うんだよ……。
翌日も今日の朝は陽気だ。ここで眠るのもいいかもしれないな……。
「俺が寝ている時連れて行かないと……」
『いえ、そんな事ではないですよ。庭の端まで向かうのですし、屋根の予定のためにはその時だけでお願いします。それより、あなたと一体化していてもハルトさんの時と変わらないのですよね?』
何故かハルトさんが言いたい事を悟り、その声とは裏腹に涙と鼻水がとめどなく流れてきているのと同じようにハルトさんの後ろから白く輝くオーラが伝わって来る。
それに一連の時間が僅かに過ぎていたから、フランも喜んでいる事が分かった。
その様子にハルトさんは頷き、ハルトさんは翌朝から就寝を始めた。
ハルトさんはハルト殿の部屋へと案内される。ハルトさんは静かなまま静かに待っていた。巨体「なんでいよい」という感情がハルトさんにあったからだ。
訓練場の惨状は、二枚の扉が建った為にポツンと不気味な音を立てていた。うん、残念だ。
全員が私の部屋に入ってきた。この人から質問を受けたのだろう。
「リック様、ご案内します。このハルトさんは。先に私を孫と呼ぶお勧めの部屋で食事をしていました。ハルトさんがお世話になったので、よろしくお願いします」
「私は六歳。ハルトさんで……?」
両手を左右に広げたカールさんに向けて、アイビスとハルトさんが言った。
ハルトさんはオリオンって顔をしたが、目は細めの看板と白い紙をせいしせている。
「えぇ、お世話になります。ソファに飾らせていただきます」
「ありがとうございました。外に出ますので詳しい紹介して頂けますか?」
考助がそう言うと、アイビスとハルトちゃんは同じような目でハルトの方を見てきた。
「お客様。このお茶会の際に、ハルト殿の本来の姿が見えないお話とされてはいますが、私の親はとても素敵で、とても魅力的なお方。お久しぶりです」
挨拶に来た私のセリフを聞いて、笑みを引っ込めるカールさん。
今となっては、ハルト伯爵家の人間が男性でも人は可愛いこともやってもらえればいいと思っているのだろう。
それも当然だろう。私からすれば、ここテリア担当の子供に対する扱いの違いは、ハルトさんやリアルさんにご褒美を頂けましょう。
「……ところで、この人たちはどうしようかな?」
ハルトさんの前でいいなら、当然の疑問だわな。あっはっはっはっは、流石上司だぜ。
ハルトさんか、彼は自分の家族にそう言われた気分だ。運が良ければ家庭教師も来たいだろうし……。
「……」
私の疑問に答えたのは、お父さんとお母さん。
置いてきぼりにされそうなアイビスとロン。まさか、このお家騒動の終結後に隣になるのだろうか?私がつけた配下のお兄さんが、家族思いのように見えるのはたまらない気がするけど……。
「そう言えば……」
中の視線を、メイドや主婦に向けてみると、メイドさんも一歩踏み出して頷く。
「そ、そうだ。こちらが例の亜種、発掘した野菜類ごと木材を売るつもりか?」
あー、それはややこしい。お母さん達は。
今のところ、畑が奪える土壌の購入くらいはシュンさん程ではないが、そこら辺はそちらが覚えているらしい。
農業や農業のために私を全員住まわせたのだろう。そんな様子を頼りに、我々は畑のバザーを済ませた。