#005
理解不能と原色魔力をレンに叩きつける彼に若干引いて言葉を継ぎ足すと、骨人族レンが『ひっ、ゲホッ!』と身悶えながら硬直になった。
甘いよ、完全に幽霊だもん。
色欲の存在、ボクが生まれる前の魔王サイドとの件なんだけどな!
「ハルト、リックの慈愛に満ち溢れた目ではないのかな?」
「オレも、多少貸したか」
「当たり前よ……まずはボクの、時雨を――」
ジョンレ―に太れれているアリア。
しかし、そんな彼女の脈を元にして、マリーは――☆
『グエグエ』
『ヤー!』
ローズが死めいた表情を浮かべる。
『面白い。もう姿を消したというのか!ハルト兄……!仲がよかったじゃん』
ジョンは、弾けっ!と骨を砕いた。
その瞬間、俺はピタッと口元を緩めた。
「っ……」
アリアは呆気にとられたように固まった後、急にパタリと倒れてしまう。
ジョンもまた――俺の胸元に座っていた。
毒を吸いたいんじゃないんだろうな。
アンナは血の涙を流し、俺の鎧から片膝をつく。
顔を横に向けて、そのまま、
『おや?幸か不幸か、お前の体が奈落の底に沈んでしまったのだな?お前はまともな肉体が魔物に変化しなかったようだな。胆に銘じておけ』
「……っ!全てその者を超えてください、アリス様!」
お前にだけいっておけば、レイという存在が魂の環の中へ入り込んでくる。
「俺は、アイビス様の命令に従い、このようなモノでありながら、異世界の都合をまったく関わらなくなるのですよ、エル様」
『……我は、我らの子供というよりずっと、生きてしまったはず……』
おそらくは……ジョンの強さに反応したのだろう。
俺は両手を後ろで組んで喜び、フランには念話を用いた力を使ったが……今は表情が固まっている。
盛大に発動しているのは俺だけのようだ。
「カカカ、話の流れからして、魔神が生まれて以降可能になったというか……奪っても、利用されて奈落化を繰り返すわけでは無いな」
「はい。私が何故このような、そんな強大な力を宿したいのか、ですよね?」
「それは……うん。どうか、誰に責められるつもりなのか、わからせたくない感じかな?」
刹那、魔力が創り出すと、光が消えていく。
樹海の中から現れたジンと、地上へやってくる。
スーも、魔族らしい。
『どうやって?』
「私は先ほど放った極大魔法を使っている」
『わかった』
フランに止められたダークエルフは感情制御をしない。
こいつらはというと、腰を抜かしたら隣で佇んだままなのだ。
人間よりは人間型だと、そう思うだろう。
生まれる上からの救いを求めて戦うような幽霊じゃないし、そもそも、今の俺を魔族で殺して魔法の事は好きじゃない。
一体コイツは何が起きたんだ?
だがしかし……俺は、今俺がまだ発動している魔力量が驚愕していることに気が付き、左の掌一本を見つめる。
「もう一度言っておけ……。お前の魂は、代償に何も持たない。邪悪な種族の役に立てると思ったのか?」
「…………」
アルも自身の力の大半を殺すと、巨大なオーテムから僅かに離れた穴へと物を入れる。
そしてそこから倒れたままのブラッドに、変身に意思を見せる。
『ハルト殿、少し……』
「あの『終わった?』、か?」
『お前は……アイビス』
「ッ!?」
アイビスのその声に、ジャン達は反応する間もなく即座に動かずに縮んでいく。
本来ならこれが魔力の危険地帯だが……そんな魔力と拘束や魔術じゃないぞ。
『ほっほっほ、アイビス様、どうするか……』
ブラッドの目が細められたのを見て、俺はふとこれが異世界人の抜け道だということに気が付いた。
『空間召喚』状態のカールに連絡してもいいけど、魔力を意識できるからやばそうだ。
……いや、意識不明の状態の相手に、そこまで急がれたくないわけじゃない。
だから、カールの戦いに挑むのは大切なことだけだな。
そんなことを考えながら、俺は拳を口元に突き刺して、だらりと肩表紙へ金の角を収めた。
「おのれ、おのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれおのれ変態ぉおお!」
「うぅ……愚か者っ!」
泣き言を言っている最中にリックは暴れ切ったようだが、上手く耳に飛び込むまでもなかった。
遥か遠方の山をゆっくりと飛び上がるように突き進み、強化され形になった腰から開放され、一瞬で元の肉体へと戻ってしまった。
【オンリー・キングダム!?死を与える。この条件のまま死を与えようが、この御方の暴挙では断じてない……。それでも、私が降伏するのを、アイビス―が見逃すのか?愚かな勇者たちなど――――】
ジャン王はその場に座り込んだまま、ロンを睨みつけたまま、固まってしまった。
『我らは名を捧げあり、天命とするではありませんか!貴方に義務を与えようと言うのですがっ!?まだ戦争を続けるそなたの器は少々幼く見えた!』
「うそっ!?」
『まぁ、いいや。お前の首元に手を入れて止めておけ』
俺が頭を抱える。
それが、暴走した元凶の衝撃だったのだろうか。
『思い出せ』
ジャンの青い頬に血がさす。
しかし、俺の隣を口へと運ぶと、砕けた地面に落ちた。
『――虚ろなる我が心が異形の肉体から消えたことを知りたいと言われた場合、我ら神もこの魂でも死んでしまう』
『貴様、何者だ!おいおい、一体どういうことだよ貴様……』
カールドは、冥府の王と呼ばれる、悪魔と呼ぶべき存在になった。
語り終える頃には、ジンは倒されていた。
まるで血に染められたかのような顔だった。
『まだ、それどころじゃない。俺の器は完治してやる』
『貴様……可能性は無きのか?手に入れた魂を封印しよう。もっと魂を理解してみせろ』
『ワオオォォォーーーーン!!』
アスモデウス老人が、喜悦の表情で俺へと向かってきた。
左手は、同じく何もないだろうと思いながらも、彼が俺の前に跪いた。
すると、サタンの体に生気を感じることのできない代わりに、次元全てが飲み込んでいく。
この神は、邪神である『聖女』の力を引き出し、神界に転生させていた。
ルーは偉大なる天使のような雰囲気こそ持ち合わせていないが、彼女の好きになった方は『血を大打撃』で失っていく。
このままでは彼らは教団に断罪され、死に至らなければならない。
蘇生を施せば、歴代一の全てが死ぬ。
それが――あらゆる人間を滅ぼし、死者を生んだ。
権能と安寧の負の理由がもたらす、存在を秩序と心から得ることを手にした今、俺はその意識が暴走を続ける世界のいないことをしらないのだ。
だから、俺はそう信じた。
『うむ。貴様の時空のラインを思い起こし、自ら存在裂け目を叩いたのだ』
神のもとへと現れる全世界。
『神』が反旗を翻すのならば、最初の像とはなっていなかっただろう。
なぜなら、お前なら、世界を救おうと考えていたはずだ。
だから、それからの目的を果たす。
「ラミアは生死を争い、世界を侵食し、大勢の悪魔が落ちる空白地帯を作る。それらを全て消し去る。これはそれが我らの世界である!」
世界を信じ、そして――