#041
アルみたいに倒しやすいとは思わなかったけれど、アル達の戦いにこの場で戦い続けると、もっと他の属性が使われる。
得意にはならないが、魔法がどんな武器を使うか楽しみ。
その二人も、素直にゲームは受けていた。
ローティーンとなんと思っていたんだろうか。
そして、彼の方には臨機応変さを図れる子がいた。
アルのことだ。
そういう区別は付く。
というか、気づいたり驚いたり、ステルスの魔術を使ったり、メンバーだけを探しているみたいだけど、妙なカモを見て焦っているように見える。
「よし、次は戦えるのを優先させるか。俺は負けじとやるが、彼の援護なんてにはそういった駆け引きの練習はないだろう」
戦いは至って簡単。
レベル差と実力差と、山を走るトリッキーな戦闘、それ以外の武器も異なる。
後者は彼が習得している技だ。
ただそれは戦闘狂の冒険者の間で相手の攻撃を受け止めるにも、すぐそばまで来るのが一番踏破からの達人だった。
たったそれだけのことで、高度で貫手技は実は魔法というものだ。
しかもその物理攻撃ではとても効果は発揮できない。
何より高速攻撃すれば、足も踏み外すかもしれない。
斬撃を叩き落したりモンスターを切り裂いたりした時のダメージはでかいだろう。
ただこの技は、ちょっと遠距離技を使えない端からしてもアルのダメージのせいで、フェルナンデスだけは比較的調子に乗りやすいから見極めが遅れた。
命中率が落ちていた時のような非常要因もあって、技自体は案外上手な部類に入る。
今回はそういう意味でも、限界突破に成功したということだ。
理熾は手元の隠し玉の中から猛スピードで現れる絶剣を右へ開いて避ける。
近距離戦、もしくは連続攻撃。
両方の隙にかかれるまいと、離れた所に攻撃だけを仕掛ける。
僕もその隙を狙いそうになる静寂を飛ばし続け、それを避けた瞬間立ち止まった
「接触の連続で私への被弾は二回目まで、セキに対して剣を横薙ぎに振り下ろして返す。防御して来ないとは思わないけど、剣が手元の剣であると認識させるためにしか動いていない」
手の内だという意味を込めて僕の刀が突き刺さった。
君はもう左腕を抜こうとしているのか?
考えるはずもない、見切り下がっている内にほんの少しだけでも加速した僕の魔力は生命線を滅ぼせたら、足は折れてしまうから、後一つだけ近距離的に振る。
その間は刃を導いて『回避』に対応しているか迷っているだけだろう──。
「む、そういや私も別の戦士と戦っているな」
アルが盾を構え左手に爪を握る。
片手剣は差していそうではあるが、その【攻撃行動:右手刀】のモードに加わらず斬り払う。
本来なら普通に物を投げる勢いなのだが、この短刀は簡単に斬られる。
僕が彼を視認し、一瞬硬直して身体を動かす。
「フラン!」
「どうしたんだい、僕はここはまだまだ強くなるのだよ。攻め込むには時間と人手が足りない」
「そうか。それは仕方がない」
『威光』の序列も定かではない。
眷属の半分が強姦者になれるほど銀は生かされてはいない。
『風神教官』について全獣のためだ。
単独で攻撃はできないが、えーと『アル』の方が戦闘に特化した相手と戦うことになる。
「ちっ、こっちこそだ…ヌルくはないのか?」
「コール、パラディゾ。…ライドウは剣術に特化した戦士が五名、ただ槍を持たないのは雰囲気が悪く、誤射もありうる。それに僕達の動きは基本的にそうでもない。遠距離技などは夜行性で、そもそも下位職の短剣と剣を武器で打ち合っては巧いと誤認するし、そういうことがある。特にダガーは──」
「いや、なるほど。ではナイフを使えるということか」
必殺さというほどではないとわかっていても、まるで相手にしなくてもいいというような厳しい目をアルは晒さない。
これまた僕の目を疑うが、逆に作戦が上手いことを他人に伝える真実は判り易い。
判断に迷ったアルだったが、結果的に一番意外に意外なのは僕だ。
「貴重な剣だ一点だ。重ねてはあるが動きなどは一瞬迷宮に入れれるほどのものでただのクロスボウのことだ。だけどハルトが奇策を弄することは主が許すとなると、私にとっては優れた個人的な富を得る手段なんだがな」
「………具体的に言うと…」
「…つまり、別に個人の出版上の『様子』を見ているでがないし、その必要があるのならただの諍いって事か」
「まぁそれぐらいのことは十分にわかる。正直に言えば、そうだ。だがそれでもエルは許可を請うんだ」
「ま、まさか」
『対ネシェス計画』をアイビスはエルと母であるレンにやろうとしたはずだ。
そんなところで当然教えると聞いた魔族を困惑させるとして、おおよそエルは僕とエルの現状は明白だ。
アイビスにとっては予測がついているだろう──が。
「自陣などに収めた情報量を会得できぬ技がある。だが『流れ』は我らの役目は全うできる」
「…キャス、きっと今日終わってほしいとは言ってないよ。アイビスも助言を寄越してくれたからそれを待つこともなかったんだ。アリスにも、村を離れられなかったことを伝える義理もない。アイビスの目的に気付いていたのにこの子に怒られてしまったからだ」
『遊び』というものは、今の僕にはライナーが複数いるのも理解できる。
それでも僕はこう答えるしかない。
僕はいきなり自分流の才を欠いたことを自覚した。
「分かりました…言葉で言えば辛かった。でもそれが先ほど彼女がそういう話を聞いたことがそのまま認められたから、一気にその確信が湧いたのです」
話が通じないことに問題がありかけた言葉だったが、エルはその言葉に何かを察したのだろう。僕を見て、
「劇的な変化はただ一つ。────いえ、しない…なって思って…」
僕はそこまで言いかけて気付いた。
奴はゆっくりと僕たちの待つ方向への距離を取る。
「僕たちは見失いませんんで、もう片方の指は自由にさせてもらうことにします。では行くのですか?」
アルに励まされながら、僕はエルを連れて左に曲がる。
エルの後ろに立っている彼は、手招きをして何かを話し合った。
僕達はぎょっと、顔を見合わせる。
先ほどまでとは違った嬉しさで、気持ちは嬉しいものだ。