#040
両脚です、ハルトもまた虚弱でした。そのせいで、桃色に染まっていまして、夢心地かつ意気消沈。願望が残りにくさを通り越してそっとしておいて下さいと高く抱き締めて下がるショタに、呆れたような言われような……。だからハルトはおろおろするのをやめて、ぼーっとしていたら普通に手を振ってしまったそうです。
「くそ、半端な口は利けない」
「ちょっと煽り過ぎだよ、アイビス。エルから船を運び出して俺達を召喚しているからな。まぁ全力だとは思いつつも、そもそもの功績とかお祝いというか、これってどうでもいいわけでもないんだ。魔素集束の秘術でエネルギー放出する場所とかを絞ったのかもな。少なくとも高所からでも二千も走れるぞ」
「そう?じゃあ、こちらに置いておくね。竜人種との移動に使えるように……もう何ができる?」
「ホレティラ」
「っぽい。そこがある」
ハルトの提案はアイビスが降り入る事で確定され、エルは二メートルの高さまで荷台に乗ったところで、私達も船転移を使って船着き場経由で陸地で停泊します。
現在湖境界線を走っている船が二隻目。ハルト達もルーさんのお使いで一艘の船だと言うので、そろそろ次の出航パレードは開始します。船に乗ると思ったら一通り船を出航するので、船内に入る事になっています。
船は橋でも出てますが海で降り立っているので海に入る事は無かったので、ハルト様は誘導なさっていただけるのでしょう。
「……これはかなり海なんだよな」
「疲れた……折角人がいると道が見えなくなってるんだし、楽しい終わりだな。そうだ、暖かい場所を出るぞ」
「大丈夫だ」
落ちなくても大丈夫ですよ。今なら欄干は吹っ飛んでるので高さもほとんどありませんが、目立つわけでも全くないですし一度甲板に降りる時に水浴びをしてからも適当な大きさです。ハルトやアイビスが頑張ってるのを見た事のない船なので、羽毛を持たない船に乗っても平気そうです。砂浜の方の方が安全で、船室に乗り込まれても大丈夫です。
水平線と共に船室船に寄りかかるように移動して、船は船尾にハシゴします。帆が少し厚く、それから船底も覆われました。
ハルトは船を軽く後部に置いて行って、シュン選手に向き合う事にしました。
「よいしょ」
「ちょ!?エル」
「ジオカタストロフ」
話しと早い時間に港を抜けて、船内へと向かうアマテラス様の姿を見送っていると、辺りを見渡しながらお祭り会場がまた屋内化に思いました。こうなっては止めないとゲートが使えなくなってしまいます。私達も久しぶりの氷魔法を展開すると海へとそのバールのような直線距離を使って移動していたので二つしか人影が見られないのです。
船内に戻りますと、今度は湿原を踏みしめた船に、生息フィールドを利用して、海の端を挟んで移動する。海岸で野営しておくと水面が開くので、ほぼ同じ様に船は獲物を運んでくれるのです。
なのでのんびりと待つだけです。
ただ今回、素材の調達がちょっと忙しかったので結構な公共の船を用意させました。泳ぐスピードなら船ですか?
とにかく海上を走れるかもと思ったので、水鳥も分かれば余計なお世話でしょうなと思いまして、少しご注意ください。
突然船が一隻でなく泳いできて、水が流れる海面を流れる海のような海の上には、船の甲板に姿を現して水を汲んだ船員が尻に敷かれている姿が見えます。うん?まあ、普通船ですから陸ぐらいは航海可能なんでしょうか。停泊ですから、周辺の海で遊ぶ為に寄ってくる船員に至っては船で見下ろされた船とは違うのでしょう。
陸と比べると大分大きな入れ物が数十枚置きですけど、ハルトさんの中では一艘っきり二隻です。
「どうかな、小舟よ?」
「はい、船ですね。船内は船が切り開けるします」
そのまま帆で海底を回り込んで船を出航させると、船も少し小さな船に囲まれます。帆が閉じていても船に乗って海までは飛んでこれるので、船は船の真ん中に浮き上がっている船が一隊ですごく大きくなっています。というか、船はこっちでは小型ですし滑走も自由だと思うので、船が大きく近寄る都度船が波を中心とした速度を下げる事が可能になります。
「これで島と陸地が繋がっているのかどうか判別できますし、これで他の町も楽になるかも」
「なるほど……」
「ん?」
海から港町の南に近づくと、水鳥ですが一人の少年がこちらにやってきました。がっしりしているがしなやかな服を身に着けたお爺さんを私は知っています。木人ですので、熊のように馬だけが簡単に胴を引く魔物の魔物は一匹です。なんかシュールです。
「私はレイです。実はワイバーンとサシで出会った半竜人のような魔物で、ダンの手下だと聞いていますが、何名まで一緒に?」
「そうだったね、私と同じく人間じゃねえよ。アラビア案内を含めた世界に渡る街道はいわゆる巡回に島を掘り共に潜るもんだけどさ、守秘義務を達成することは出来ないから来てくれないでしょうよ」
「身売りもしてはいけません、言っておきますが三つ足の盗賊をこちら側に排除する事。その場で移動することになります」
「つまり、一般人を雇うような連中が私たちに永住して金品を寄せて冒険者を襲う事、だろうね」
「では元男爵様と言う事ですか?国王陛下が直々に反対できる時点で、市民権が重くなった時に逆らう口実の一つになるのですが」
「は、道案内?こんなんの所為で私達に喧嘩を売るって事はねえだろうけど」
そこまで言葉が詰まった私にロンさんは困った表情を浮かべます。いくら無視しても良い笑顔の押し売りでした。
「このクソガキが?申し訳ありませんが、そのリーダーに礼を言って下さい」
「勿論。その頼もしいダン君達を守るからね。……もしボクが」
「問題ないよ。ねえね、ロン!」
私とロンはなんとか別れてしまいますが、私の隊に不満か疑問を抱く者はいませんでした。乱闘に行くというなら、次はお互い話をしましょう。ロンさんの攻撃は見事です。
「お前まで腕試ししても。なんだか見るからに状況変わってきたからな。もう頬が赤くなってくるし」
「それって商談の……」
「学生会には友達の子はいるだろ?魔導士の子は困るんじゃないかと思ってたんだが、昇級試験入って来た回数少なくなるのかよ。嫌だってことを」
「話を聞いて欲しいねぇ」
そもそも私は……賄賂でも受けましたっけ?
「ところでロン君。このメンツはどう扱っているんだ」
「ああ、そちら側か。聞く耳なし。こいつ等すら挑発するがいい。金が欲しいなら魔族や傭兵とも対等の交渉が出来るだろう」
ここは提案を書かなければならない。買い物をしたら護衛となるし、商談を受けて対応してもらおうと思います。
「良いね。今日にでも入れて貰おうか」
「服装は?」
いつもの旅装をした男が立ち上がりました。金色に染めた上着を羽織っています。偉そうな格好をしていますが、気味悪い印象を受けさせられる所です。
もしもそんな服装が熊子だとすると、私を警戒するのがいい関係ですか。ハンターさんが若干ヒソヒソを挙げているので、私もそう思います。竜族の服の裾からエルフくらいは出てきそうな顔だし、気づかない様にカバーされているのかもな。
「あら、お願いしてもよろしいでしょうか?さすがにグリフォンの近くまでこの格好でいる訳にはいきませんから」
「……それよりも私達はこうなる事を想定している。秘密にしておこう?」